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二萬~麻雀部結成⑬~

 勝利の兆しを見つけた俺は、自身の手牌を改めて見直す。 ――今回の手牌は、アガリまで残り3つの状態で、「西」の牌が2つ。 俺の席が西に位置するので、「西」を自風牌として扱うことができる。


 すなわち、誰かが「西」を川に捨てれば、ポンし放題――!


 俺は「一萬」を川に捨てたあと、右の席に座っている雀をじっと見つめて、俺が待っている「西」を捨ててくれるように願う。 きっと、幼馴染だから俺の思いは伝わるはず――!


「な、なに竜伍……、急に僕の顔をじっと見つめて……」


 ダメだ、こりゃ。 俺の気持ちなんて、これっぽっちも伝わっていなかった――てか、野郎同士が見つめあっただけなのに、なぜ雀は顔を真っ赤にして照れているのだろうか。 雀の後ろに立っているマリアさんもニヤニヤするのは止めてほしいです。


 雀は俺と顔を合わせないように、麻雀卓の中心へと向き直り、手牌から牌を捨てていた――その牌は「西」だった。


「でかした、雀…! 『ポン』!」


 俺は雀が捨てた「西」を取って、自身の手牌にある「西」2枚を組み合わせて、右端へと持っていく――今回は『一翻』を獲得してるから、問題はない!


 それを見ていた生徒会長は、苛立ちながら前髪をクリクリと捻っていた。 よし、さっき石岡くんからポンできなくて相当焦ってるな?


 この局が反撃の狼煙になると予感した俺は、生徒会長の手番になった瞬間、全力で貧乏ゆすりを始める――ガタガタガタガタガタガタ!!


「ええい、うるさい…! その不快な貧乏ゆすりをやめろ…!」


 生徒会長は堪らず、俺の貧乏ゆすりについて非難してきた――だが、それでやめる俺ではない…!


「すいませんね、俺ものすっごい集中するときって思わず貧乏ゆすりしてしまうクセがあるんですよ――あれ? それとも、なにか不都合でもあります?」


「くっ…!」


 生徒会長は反論できず、顔を歪めながら開きかけの口を閉じる――さすがに、指トントンの回数でイカサマしていることをバラすことはできないよな?


 俺はにっと白い歯を覗かせて笑った――この局は、俺がもらった!


 それ以後も生徒会長は俺の貧乏ゆすりに頭を悩ませ、ポンすることができなかった。 一方、俺は順調に手牌を進めて、見事4巡目で生徒会長の捨て牌に『ロン』をすることができた。


「ロン! これでお前の『親』は終わりだ…!」


 やっと、地獄のループから抜け出せたことに俺はひとまずホッと息をつく。 ――そして、お待ちかねの点数申告!


 俺の代わりに点数申告をしてくれる眼鏡先輩の言葉に耳を傾ける――。


「ふむ…。 竜伍のアガリ点数は「2000」点だ」


 しょぼいな!


 今の順位は、生徒会長「37800」、橋本竜伍「26000」、菅崎雀「24000」、石岡ペス「12100」。


 生徒会長と俺の差は、まだ1万2千点ほど差がある――果たして、これほどの差を埋めることはできるのだろうか…?



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