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二萬~麻雀部結成⑫~

「11900点。 ん~、絶頂エクスタシー!」


 恍惚とした表情で満面の笑みを浮かべる生徒会長。 彼がオープンした手牌には合計『4翻』あり、さらに連荘としてのボーナス300点が追加されていた。


 現在の順位は――生徒会長「39800」、橋本竜伍「24000」、菅崎雀「24000」、石岡ペス「12100」。


 俺たちは生徒会長に約1万5千点ほどの差をつけられてしまった――しかしそれよりも、石岡くんだけがトップとの差が約3万点ほど開いている。


「おい…! どうして、石岡くんから点を奪うようなマネをしたんだよ!?」


 仲間を裏切るという信じられない行動を起こした生徒会長に、俺は問い詰める――そして返ってきた言葉に愕然とした。


「ふふ…、ペスは飼い犬だからね。 飼い主の為に忠義を尽くすのは、当然のことだろう?」


 奴は石岡くんのことを仲間とすら思っていなかった。 ただの道具としか見ていなかったのだ。


「お前……!」


 視界が赤く染まったような気すらした俺は、椅子から立ち上がって、生徒会長の胸ぐらを掴もうとしたその時。


「橋本氏…! これは、仕方のないことなんだ…! 一度負けた者は、負け犬として勝者の命令に従う他ないんだ…!」


 石岡くんに腕を掴まれた俺は、歯が割れそうなほど奥歯を噛みしめる。


「分かった…、殴るのはやめてやる。 だが、賭けの追加をさせてもらう…! 俺たちが勝ったら、石岡くんの解放を約束しろ!」


「ふふ…いいけど、その代わり私が勝ったら、竜伍――君の唇をもらうけどいいのかい?」


「好きにしろ!」


 俺が負けたら穴という穴を好きなようにしやがれ! そう思いながら、怒りを収めて再び席につく――そして三局目がスタートする。


 配牌が終わると同時に、再び生徒会長の手番から開始される。 彼は麻雀卓を指でトントンと叩きながらどの牌を捨てるかを逡巡していた。


 ――ん? てか、待てよ。 さっき怒りで我を忘れてたけど、俺が負けたら唇を奪われる…?


 そうなった場合、俺はDTを卒業する前に、DT(大好きチン○ン)にクラスチェンジしてしまう可能性があるわけで、そうなると俺とマリアさんの愛情育成計画が破綻するわけで――。


 今更ながらに恐怖した俺は、膝が尋常ないほどに震えだし、バイブレーションのようにガタガタという音を立てながら貧乏ゆすりしてしまう。 後ろに立っていた眼鏡先輩が「…小水か?」と口にしていたが、そんなことはどうでもいい!


 ようやく生徒会長は、川に「七萬」を捨てて、石岡くんの手番となる。 ――くっ、結局アイツが毎回ポンできる謎を解明しないと、俺に勝目が――。


 思考錯誤している最中に、石岡くんは「ゴソー」を川に捨てたが、生徒会長の『ポン』という言葉は出なかった。


(あれ…? さっきまでのは、マグレだったのか…?)


 そう思って生徒会長の顔を見ると、明らかに石岡くんを責めるかのように睨んでおり、石岡くんは萎縮しながら謝っていた。


(思い通りにいかなかった、てことか…?)


 2人は何かしらの合図を送っており、それで意図的に捨てる牌を操作してるとしたら――? その場合、どうやって相手に伝える?


 喋ってる様子はなかったし、口パクで読唇術とか? いや、無理だと思うし、そんな素振りもなかった。 じゃあ、モールス信号とか――。


 その考えに至った際に、体に衝撃が走るほどの閃きが浮かんだ。 ――そうだ、ずっと気になっていることがあったんだ。


 生徒会長は毎回、指で麻雀卓を叩いてた。


 多分、1~9回叩いた場合は「マンズ」の数字で、10~18回が「ソウズ」の数字といった感じだろう。


 それが先程、俺が異常なまでの貧乏ゆすりでガタガタという音が邪魔をして、石岡くんにトントンという音の回数が聞こえなかっのだ。 ナイス、貧乏ゆすり!


 よし、これで奴の『ポン』は防ぐことができる――!



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