二萬~麻雀部結成⑪~
どうやら、『親』が連荘する度に、ボーナスとして300点ずつ加算されるらしい。(二回目=300点、三回目=600点)
「くそ…! 生徒会長より早くアガらないと、このループからは抜け出せないってことか…!?」
三巡目で手牌を完成させた生徒会長より、もっと早くアガらなければならない――でも、一体どうすれば…?
先程、俺の手牌はアガリまで3つ手前の状態だった。 これでも遅いってことは、配牌時に手牌がテンパイしてるか、完成してないと勝てることはできない――。
(って、さすがにそれは無理だろ…!)
狙って、最初の14枚でアガリ牌が完成できるなら、麻雀というゲームが成り立たない。 ――ん? 狙って?
そもそも、先程から気になっている点があった。 ――それは、生徒会長が必ず石岡くんの捨てた牌を『ポン』しているということ。
牌が34種類ある中で、毎回『ポン』できるものなのか…?
俺は思考錯誤するが、何の対策も思い浮かばないまま、非情に二局目が開始される――もちろん、最初の手番は生徒会長からだ。
「ん~♪ 今回の配牌は、特にいいのがきた」
鼻歌交じりで満面の笑みを浮かべる生徒会長――彼は、河に捨てた牌を横にしていた。
「リーチ!」
「「な、なにぃいー!?」」
俺と雀は驚愕のあまり、叫び声がハモッてしまったが、驚くべきポイントはそこではない。 まさかの、配牌時にテンパイしていたという事実…! 先程、俺が狙ってできるものではないと思案したものが、現実として実現してしまった…!
しかも眼鏡先輩が言うには、一巡目のリーチなので『ダブルリーチ』というらしい。 この『ダブルリーチ』をすると、『二翻』(一翻2つ)を獲得することができるらしい。 麻雀では、『一翻』を沢山獲得するほど、アガった時の点数が増えるそうだ。
(このままでは、まずい……!)
俺たちが、生徒会長が欲している最後の牌を川に捨ててしまったら、一気に点数が引かれて差が広がる一方だ。
それだけはなんとしてでも避けなければならないので、俺はなるべく生徒会長が川に捨てた牌と同じものを捨てる、という対策を思いついたその時――。
「ロン」
「「ッ!?」」
俺と雀は一瞬、何が起こったのか分からなかった。 だって、自分たちの手番すら回ってきてないのだ――それなのに、アガったということは。
石岡くんが「六萬」を川に捨てており、その牌でアガったということだった。
「…えっ? なぜ、石岡くんから?」
麻雀にはアガリ方が二種類あるらしい。
一つ目は『ツモ』と言って、テンパイ時に山から牌をとって、自分の力で手牌を完成させること――この場合、点数は他3名が分割してアガった人に支払う仕組みになっている。
二つ目は『ロン』と言って、テンパイしている状態で、必要な牌を誰かが川に捨てたのを貰うことで手牌を完成させること――この場合、点数はその牌を捨てた人が責任払いとして支払うことになっている。
つまりこの場合――チームである石岡くんが生徒会長に点数を奪われるという状況だった。




