二萬~麻雀部結成⑩~
『一翻』を持ってない俺がアガるためには、『三元牌』と『自風牌』を3枚揃える必要がある。
重要な事実を知った俺は、麻雀卓の真ん中に存在する『山』を見る――この中から、自身の手で掴み取らなければならない。
雀が「ヨンソー」を捨てた(俺がポンしたやつ)ので、手番は生徒会長となる。
「ふーん…、君の名前は「竜伍」って言うんだね」
……なぜだろう。 ただ単に、俺の名前を生徒会長に憶えてもらっただけなのに、なぜこんなにも背中に寒気が走るのだろうか。
「残念だけど、竜伍――。 君が『一翻』を持ってようが持ってまいが、このターンは私の――『勝ち』だ」
え、いまこの人なんて――。
「ツモ。 1000オールは2900」
宣告した生徒会長は、自身の手牌をパタパタと倒してアガっていることを証明していた――ば、ばかな…!? まだ、三巡目だぞ……?
衝撃の事実に場は静まり返る――俺は驚きのあまり、助けを求めようとパートナーの雀の方を見るが、雀も目の前の出来事を受け入れずにいた。
眼鏡先輩の他にも、こんなに強い人がいるなんて――!?
俺は金縛りにあったように、立ち上がりかけの中腰の姿勢で固まってしまった――それを見た生徒会長が、喜々として告げる。
「おいおい、竜伍くん――そんなに物欲しそうな目でこちらを見るなよ」
頬を朱に染めて興奮する生徒会長。 その反応を見て青ざめた俺は、即座に椅子に座ってお尻の穴に蓋をする――あの人、色んな意味でやべぇよ!
ただまぁ、このターンは1000点の消費で済んでよかったのかもしれない。
今現在の4人の点数――生徒会長「27900」、橋本竜伍「24000」、菅崎雀「24000」、石岡ペス「24000」。
うん、これならまだ逆転できる――次に『親』になるのは誰だろうか。 そう思って生徒会長の場をみると、彼はまだ『親』の役割を受け持っていた。
「えっ、なんで…?」
「ああ、実はな竜伍。 『親』がアガった場合は、『連荘』と言って継続されるんだ――つまり、親以外の誰かがアガらないと倍状態は続き、差は広がっていく一方だぞ」




