二萬~麻雀部結成⑤~
「え…、私?」
俺はマリアさんの方に手を差し伸べる――だって考えてみて欲しい。 もし仮に、勝負に負けたとしたら、『裸』になるのは誰だろうか?
結論、勝負で負けてしまった人物が責任として『裸』になるべきだ。 ならば、俺が取る選択肢はただ一つ――マリアさんと組む他ない!
「ちょっ、竜伍!? なんで僕じゃないの!?」
雀は俺の素晴らしい策略に気付いてないようで、反対の意を示していた――この愚か者…! 万が一、負けたとしたら野郎2人の裸を見せなきゃいけないんだぞ…!? そしたら得をするのは、『ゲイ』の生徒会長のみ! それだけは避けなければならない…!
…と言いたいところだが、最初から負けを想定していることが眼鏡先輩にバレたら、きっと軟弱者!とか罵倒されるに違いない。 だから、俺は違う理由を述べて、雀が勝負の場に赴くのをなんとか避けようとする。
「あー…。 雀は、麻雀のこと知らないって俺に嘘ついてたからなぁ。 そんな奴は信用できないからな」
「う、それは…!」
よし、少し言い過ぎたかもしれないが、これで雀は引いてくれるだろう――俺はマリアさんの手を取ろうとしたその時。
「…待って! もし、竜伍と僕が一緒に戦って負けたら――僕は何でも言うことを聞くよ…!」
なんでも…? 俺の耳がピクリと動く。 なんでもってことは、例えば宿題をやらせたり、女子のスカートをめくってこい! とか命令できるのか…!?
俺は雀の方を見てニヤリと笑うと、何を勘違いしたのか、雀は赤面しながら胸の前で腕をクロスさせながら、
「も、もしかして、竜伍も僕の裸を…!?」
「俺はゲイじゃねぇよ!」
変な誤解をされる前に、俺は強く否定する。 ――そして、マリアさんへと伸ばしていた手を雀の方へと向けて、俺たちは握手をする。
「よろしくな、相棒」
「竜伍こそ、足引っ張らないでよね」
こうして、俺たち幼馴染の共闘が決定したのだった。
「ふふ…、ようやく対戦相手が決まったようだね――じゃあ、麻雀卓のある君たちの部室へと移動して、麻雀の勝負をしよう」
戦いの幕が切って落とされる――!!