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【1】

私は 坂田 華穂 【さかた かほ】といいます。

高校2年生、得意科目は国語、そして、今日私は落ち込んでいます。


まあ、それは、ものの見事にテストのヤマカンが外れて、いい点数を採れなかったからなのだが...。

裏庭で1人落ち込む私、これといって特徴はなく、茶色の髪に茶色の目。せめて可愛いかったら良かったのに。


「はぁ....。」


「どうしたの華穂? 中間テストの結果が総合500点中326点しか取れなくて落ち込んでるの?」


「.....なんで春菜が知ってるの?」


「だって、親友だもん。 華穂のことなら、朝起きてから夜寝るまで、全部知ってるよ。」


「........春菜、ストーカーやめて。」


「Yes」 


そうは言いつつ、春菜は私をきずかってここまで来てくれたのだろう。

春菜は私の中学からの親友で、高校でも一緒だ。

ハーフで、金髪で、可愛い、私の自慢の親友。

此処は学校の後ろ側の中庭で、普段誰も来ないため、落ち込んでいる時にはもってこいの場所なのだが、春菜もそれを知っていて此処に来て、私を見つけることが出来たのだろう。


「ちょいちょい、華穂、あんな所に扉なんてあったっけ?」


春菜が私の肩をつついてきた。

春菜が指差した先を見ると、確かに、学校を囲んでいる白い壁に木の扉がついていた。


「私、よく此処に来るけど、あんな扉初めてみたよ。」


「......そんなに華穂よく落ち込んでるんだ。」


「私のハートは硝子で出来てんのよ///」


それにしても、校長先生は何も言ってなかったと思うんだけど、いつの間に出来たんだろう?


「華穂、あの扉開けてみよ!」


「えっ、ダメだよ、もし開けちゃいけない扉とかだったら......」


「大丈夫、大丈夫! もしかしたら近未来型猫型ロボットが置いていった扉だったりしてww」


「近未来型猫型ロボットって....(-_-;)」


春菜は私の手を引いて、あの扉へと向かう。

本当に大丈夫なのだろうか?

もし見つかったら春菜に無理やり引っ張られて開けてしまいましたって言おう。


春菜が扉の木の取っ手に手を掛ける。


春菜がゆっくり扉を開くと────、



「「わぁ.......!!」」


春菜と私の声が重なる。

それほどまでに目の前の光景は幻想的だったのだ。

扉から一歩踏み出したそこは、白い花の花畑だった。

風がふくと、一斉に花が吹雪き、舞い上がる。

花弁の根元は薄らピンクで、柔らかさを感じさせ、優しい印象を与える。


「キレイだね....。」


「う....ん...。」


中々感想がでてこない。

まるで白昼夢でも見ているようだ。


「あれ、あそこに....」


花畑のずっと向こうに、女の人が佇んでいる。

その人の顔は遠すぎて見えないが、白い修道服を着ているようだ。

近くの教会のシスターさんなのだろうか?


『ザハルタカンナ ハバタサルタ』


────?


今、シスターさんが呟いた言葉が聞こえたような?

でも、この距離でシスターさんの声が聞こえる訳.....。


「ねぇ、春菜、あのシスターさん──」


春菜にもシスターさんのことを教えようとして振り向くと───、


「.....え?」


一瞬の内にして学校の中庭に戻っていた。

なにがなんなのか全く分からない。

隣をみると、春菜は空中を見つめたままボーッとしている。


「は、春菜、大丈夫?」


「えっ、あ....れ? 私、何して...。」


春菜はパッと現実に戻ったようで、何度か目を瞬かせた。

その時──


キーコーンカーンコーン


学校の、昼休みの終わりを知らせる鐘がなった。


「春菜.....帰....ろう。」


「.......うん。」




***********************



「───っていうことがあったの。」


「お姉ちゃん、狸に化かされたんだね。」


「狸って....。」


「だって、狸でもなかったら、現実逃避したかったお姉ちゃんが作り上げた幻としか──。」


今、私の事を凄く馬鹿にしているのは妹の

坂田 菫 【さかた すみれ】だ。


姉に対さして、この口の聞き方なのは、もう諦めている。

菫は髪をツイテールにしていて、はっきりいって可愛い。なのにこの毒舌だ。

私はお風呂上がりに今日あったことを菫に話していたのだが、さっきのがその反応だ。


「そんなことよりさ、明日、理事長の孫が転校してくるらしいよ。」


「ふぇ~~。」


「....全く興味なさそうだね。」


「だって、私だからね。」


「イケメンらしいよ。」


「ふぉ~~。」


「お金持ちらしいよ。」


「ふぅ~~。」


今日も妹との対話が過ぎていく。


「お姉ちゃんって、本当に──。」


「───?」


「ううん、なんでもない。 もう寝るね。」


菫は足早に自分の部屋へといってしまった。


今日のことは、いったい何だったのだろうか?

疑問は募るばかりだ。

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