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夢ではない?

「・・・救世主様。何て素敵な方なのか。」


ゾワッとするセリフ。

普段殴られ蹴られた奴にそんな事言うか?

コスプレ野郎は変○だった。

○態ドM野郎だった。


右手がズキズキと痛みだす。


現実で1度はムカつく奴を素手で殴ってみたいと思っていたが、小心者の私は殴った事は無い。

何度か蹴りは入れた事はあるが、それは今は置いておこう。


あまり認めたくはないが、まさか、これは夢ではないとか?

頬を少しつねってみる。


「あ、痛い。」


えっと、ちょっと待て。

ひょっとしてこれは現実?

でも、このふざけたコスプレ仕様は何?

よくよく見たら皆西洋人ぽいけど?

でも、流暢な日本語を話してるし?



「きゅ、救世主様。どうか勇者様のお怒りをお鎮め下さい。

そして、ミスト、他の者達もしっかりしてくれ。」


この中で一番威厳のありそうなコスプレ王様仕様

がそう言うと、皆引き締まった態度になった。


「救世主様。貴男・・いえ、貴女をこの世界にお呼びしたのは━━━━━。」


ダラタラダラと訳わからない事を長ったらしく話し出した王様。

話でこの国で一番偉い王様だとわかった。

あまりにも長すぎて聞き流してしまったが、ここは日本ではないし、地球でもないらしい。

簡単に言えば、小説で読んだ事があるような無いような内容で勇者を呼び出し、見事魔王を倒し再び平和を取り戻した。

はい、めでたしめでたし。

みたいな話だ。


しかし、誤算が生じたらしい。


魔王を倒したあかつきに、国王の愛娘との婚姻を約束していたらしい。

だが、その愛娘は勇者との婚姻を認めず、しまいには生理的に受け付けないと皆の前ではっきり言い放ったと言う。

勇者は、自分好みの可愛い愛しい愛娘との結婚を下心込みで誰よりも楽しみにしてたが、こっぴどく振られ馬鹿みたいにヤケになり、そこらじゅう壊したい放題迷惑し放題して大暴れているらしい。

そんな情けない男だが、あの魔王を倒した勇者。

誰も止める事も出来ず困った王様は、禁忌でもある魔法でこれまた再び異世界《地球》から救世主《私》を呼び出した。


大まかそんな話だ。



てか、何で私がこんな所に呼び出される!?

とてつもなく理不尽なおかつ大迷惑だ。


さらに衝撃な事実が。

この世界に呼ぶ事は出来るが還す事が出来ないと言う・・・。

何て迷惑極まりない。

勇者もこいつらの被害者だ。

好き勝手に面倒事押し付けられて、でも、自分好みの女の子と

結婚出来ると思ったら、皆の前で振られるとか。

まぁ。ヤケになるかな。


「救世主様。勇者の怒りを鎮めたあかつき私の息「お断りです!」・・なっ!」


今、断るって言ったの私じゃないよ。

王様の隣にいるもう一人のイケメンコスプレ。


「父上!私には将来を誓い合った婚約者がおります!ましてや、ミストほどの上級騎士をいとも簡単に殴る蹴る男女とは妻に迎える事は出来ません!無理です!恐ろし過ぎます!」


・・・・おいおい。本人を前によくそんな事言えるな。

しかも、男女って?ケンカ売ってるの?

何だろう。面白くないのに顔が自然に笑顔になるのは。

きっと、私の瞳は笑ってないと思うけど。


「大丈夫。私も貴方とはどうなろうと考えてないから。こっちこそお断り。てか、無理。」


「え?無理・・って。私の妻になりたくはない・・ひぃっ!!」


こらこら、 女の子の笑顔を見て悲鳴をあげるって何事?

すごく失礼だよね。

まぁ、足が勝手にイケメンコスプレの腹に向かって伸びてしまったのは仕方が無いけど。

何気に避けるなんて。男してどうよっ!


「うわっ!!」


また避けやがった。


「きゅっ、救世主様!どうか怒りをお鎮め下さい!!アサリフト!!救世主様に謝罪の言葉を!!」


私は別に怒ってないよ。怒ってない。怒ってないのよ。

でもね。このイケメンコスプレに一発蹴りをお見舞いしないと気が済まない私の乙女心が、わかってくれないのかしら。


「あぁ・・何て素敵な姿。羨ましい・・・もう一度蹴られたい。」


全身にゾワッとするセリフを言う変○ミスト。

うん。止めよう。うん。冷静になろう。

ほら、周りも引いてる。

私もすぐ蹴る癖を直そう。うん。そうしよう。

えっと、取り敢えず落ち着こう。

一応、ここは現実の世界なのだから。



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