表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

灰色の海に投げた指輪は冬の陽に鈍く光った。

 

 べたべたした潮風を受けながら、私は銀色の指輪を投げ捨てた。

 遊びだと勘違いしたのか、サムが銀色の軌跡を目掛け私の脇を弾丸の様に突っ切り、高く跳ぶ。

 大喜びで指輪をくわえて駆けて来た愛犬の頭を撫でて、いっそ小気味よい程ヨダレまみれのソレを、力いっぱいまた海に投げる。

 その私の薬指には昔あなたのくれたビーズの指輪がはまっている。

 私はこれがあればいい。

 あんな指輪サムが飽きるまでおもちゃにして、気が済んだら捨てよう。

「……バカ」

 綺麗なままの思い出だったら良かったのに。

 噛み締めた唇は、潮風と同じようにしょっぱかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ