地味な雑用
前回、銀色の髪をした謎の男が現れました。「銀の髪の人は、肌が黒いほうが似合う。」と勝手に私は思っているのですが、みなさんはどう思いますか?
そろそろ、次回作はどうしようかなあ、と悩み始めています。以前も申し上げた通り、いま熱心に作成しているものが二次創作なものでして・・・。完成しても、投稿できなさそうです。
ですが、心配しないでください。(それとも、心配されてないかな?)今まで、書いていた分が、多少あります。この物語が終わったら、それを投稿していきたいと思っています。
なお、今回もおまけコーナーを設けるつもりです。「協力したい。」と思ってくださる方は、メッセージなどをくださると、おまけコーナーも充実すると思いますので、ぜひ、ご協力の程をお願いします。
その後、学校でその女が話しかけてくることがなくなった。あんなこともあったから、気まずいのだろうか。俺は、言及することなく本を読む日々を過ごした。読書に集中できるのは久しぶりのことだった。
結局、女と一言もかわすことなく、あっという間に夏休みになった。大した変化はなかった。敢えて言うなら、ときどき養い親が呆然としている姿を見るようになったぐらいだった。その頃辺りから、セイジの成績が下降し始めていたため、それが原因だろう。
「暑いね。夏だね。アイスだね。」
鳶が公園のベンチに座り、アイスキャンディーを齧る。アイスキャンディーから白い蒸気が出ているのが見える。俺はというと、そこから見える喫茶店の出入り口を見張っていた。
「見張りっていっても、そんなに張り切らなくてもよくね?おまえは真面目すぎるんだよ。」
夏休みに入ったことだし、そろそろ仕事見学でもしてみるか。終業式の日、校門の前で待ち伏せしていた鳶が開口一番、そう言った。大丈夫だよ。物騒なところは見せねえから。そう言って笑みを浮かべた。作り笑いだった。
「それで、あの女はどうよ?あの後、デートしたか?」
セイジだけでなく、鳶まで勘違いしているのか。男と女をつなぐ関係は、それしかないと思っているのだろうか。しかし、あんな場面を見られて、彼女ではないという方が信じてもらえなさそうだった。
「あいつ、俺のことを『烏か。』って聞いてきた。あの女、何か知っているんじゃないか。」
「俺に聞かれても知らねえよ。直接、聞けばいいじゃねえか。というより、おまえ、彼女の名前知らないのか?それとも、彼女のこと『女』って呼んでいるのか?」
そういえば、俺はあの女の名前も知らない。鳶に指摘されて、初めて気が付いた。
「調べてくれよ。」
「なんで一般人のこと調べなきゃいけないんだよ。いろいろ面倒なんだよ、情報収集ってのも。直接聞けって。」
鳶はアイスの棒を口にくわえる。俺のときは、調べただろう。そう指摘してもよかったが、鳶の言うことももっともな気がした。直接聞けばいい。ただ、それは相手が情報を隠さない場合に限る。
「それだと、肝心なことが分からないだろ。」
「肝心なことって何だよ。おまえ、あれだろ。聞くのが恥ずかしいだけだろ。」
「そんな馬鹿な。」
「おっ、図星だな。ダメだろ。そんなんじゃ、大人になれないぞ。でも、そうだな。そろそろ、情報収集の仕方も教えるか。」
鳶が笑みを浮かべる。鳶の指摘が的を得ているのかどうか、図星なのかどうか、よく分からなかった。分かるのだったなら、俺はもう少し生きやすかったはずだ。
「おまえ、何か知っているだろ。」
「だから、知らねえって。知りたけりゃ、自分で調べろ。」
「あの女は烏を知っている。だから、なかなか姿を現さない烏を見つけるためには、あの女が必要だ。そうだろ。」
「そうなのか?おまえ、その情報どこで仕入れた?」
鳶の表情は変わらない。ここで、笑ってくれたなら、真偽の判断が出来たんだがな。さすがに、そんなに簡単じゃないか。
「ただの推測だ。あの女に抱かれただけで、烏だって断定されたんだ。ということは、あの女に抱かれるってことが、烏である証拠になるってことだ。」
我ながらくだらないと思う。警察にそんなことを言われて犯人扱いされたら、耳を疑いたくなるだろう。しかしこの場合、可能性の一つとしてはあり得る。世の中、不思議なことがあるものだ。
「なるほどな。そうだろうな。」
鳶は否定しなかった。だからといって、それ以上の説明もなかった。目的の人物が喫茶店から出てくる。身長は高く、180センチはある。濃い緑色のリュックサックを背負っていた。鳶が立ち上がる。俺も立ち上がる。
「それじゃあ、まあ、人通りのないところに出たら、通行人のふりしてぶつかるなりなんなりしてくれよ。ターゲットが戸惑っている間に、俺が近づくから。」
今回の任務は、その男が持っている荷物を奪う、ということだった。いきなり鳶が近づくと相手に勘付かれる、らしい。鳶曰く、地味な雑用、らしい。




