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HAWK  作者: 大藪鴻大
14/19

誤解

 本当は、前回と今回を合わせて一つだったのですが、少し長くなりそうだったので、二つに分けました。なので、始まりが少し唐突な感じがしますが、その点はご了承ください。

 さて、話は大きく脱線しますが、最近、『歌い手』というものを知りました。私の解釈では、動画サイトなどに自分が歌ったものをアップしている人たちのことです。(間違っていたら、すいません。)同じ歌でも、歌い手によって雰囲気が変わっていて、とても興味深く、楽しませてもらっています。上手かどうかは様々な意見があると思いますが、みなさん、それぞれの個性が出ていて、とても素晴らしいと思います。

 私も精一杯、楽しみながら自分らしい物語を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 そのとき、空気が大きく動くのを感じた。女の肩をつかみ、一緒にしゃがむ。腕が上を通過する。通過したかと思うと、左足が飛んでくる。咄嗟に左腕でガードする。踏ん張ることが出来ず、体勢が崩れる。すぐに立ち上がり、相手と対峙する。

 そこに立っていたのは、またしても男だった。銀色の長髪の男で、首の付け根まで後ろ髪を伸ばしていた。男は黒いコートを着ていた。

「案外簡単に見つかったな。」

 男の細い眼が鈍く光る。黒いコートに、相手を威圧する眼。今までに、何度か見てきた。この男も、あのスーツ姿の三人組や鳶と同じ人間だ。

「おまえ、烏だろ。」

 無意識に女を見る。案の定、女の眼が期待で光っていた。誤解を解くのがどんどん困難になっていく。

「違う。」

「嘘つくなよ。その女、おまえに抱きついてたじゃねえか。」

 男は俺より年上だが、鳶より年下のようだった。一体どういう根拠なんだ。なんで、この女が抱きついたら、俺が烏になるんだ。

「とにかく、おまえとその女を一緒に連れていく。」

 その言葉を残し、男は消えた。腹部に衝撃が加わった。思わず、膝をつく。

「悪いな。神隠しされちゃあ、洒落にならないからな。」

 えーっと、どこやったかな、と男がコートをまさぐり始める。その隙に、男の腹部に右ストレートをくらわせる。不意打ちが成功し、男も声を上げる。

 すかさず立ち上がり、今度は顎をめがけて、右ストレートを放つ。さすがに、男はそれを避け、右腕を伸ばしてくる。後ろに飛んでかわす。男が続いて飛び込んでくるので、膝を曲げ、男の腹部にくらわせる。男はまたしても、呻き声を上げる。そのまま、地面に倒れる。倒れたかと思いきや、右腕をつき、回し蹴りを放つ。右足に直撃し、あまりの痛さに膝を折る。顔を上げると、拳銃が向けられていた。

「あぶねえ。なかなかやるじゃねえか。だが、最後まで『神隠し』をしなかったのは間違いだったな。それとも、この女の前じゃできないのか?」

 俺は銃口を眺めた。だからどうした。すぐには撃ってこないはずだ。隙を窺え。怯えるのは、撃たれた後だ。

「おい。人のデート邪魔するなんて、野暮なやつだな。おまえ、モテないだろ?」

 目の前の男が振り返る。その隙に男の腕を力を込めて、つかむ。男の手から拳銃が落ちる。それを蹴飛ばす。男は羽交い絞めにされていた。

「よく頑張ったな、鷹。そのまま、そいつを連れて逃げろ。」

 鳶が男の後ろから顔をのぞかせる。俺は女の手をとり、逃げようとする。そのとき、男が鳶を振り払う。振り払うと同時に、商店街の大通りに飛び出し、人混みの中に消えていった。鳶はそれを追うことなく見送っていた。

「鷹?」

 初めに口を開いたのは女だった。

「俺の仇名だよ。ほら、俺の名前、鷹西だろ。だから、オシャレに鷹って呼んでもらってるんだ。」

 そう言った後に、しゃべりすぎだと思った。普段の俺からすると、こんなにしゃべるのは違和感だらけだった。

「ごめんな。鷹とお兄さん、ジムで知り合いになってな。今日もランニングの途中だったんだけど、さっきの男に喧嘩売られてな。俺が謝っているときに、こいつ、どっか行っちまったもんだから、あの男怒っちゃって。まさか、拳銃まで持ってるなんてなあ。怖い世の中になったもんだよ。」

 女は鳶の出鱈目を真に受けているようだった。確かに、即興で作った割には不自然ではなかった。彼の人生には、似たような場面がよくあったのだろう。

「てなわけで、おまえはこの娘を送ってやれよ。」

 俺は、女の肩を抱くと大通りの方にそっと押しやる。振り返ると、鳶が笑みを浮かべていた。作り笑いだった。

「じゃあな。またランニングしような。」

 今日のことは、後日聞くことにしよう。女を連れて、そう思っていると、女が口を開いた。

「ごめんね。私のせいで。」

「いや、俺が勝手に首を突っ込んだせいで、面倒なことになった。申し訳ない。」

 女がこちらを向く。口で何かを言っていたが、それが声になることはなかった。声にはならなかったが、何と言ったのかは分かった。

―そうじゃないんだよ―


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