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HAWK  作者: 大藪鴻大
12/19

フリーラン

 最近、仲間が欲しいなあ、とか思ったりします。「友達、いないんですか?」と言われそうですが、そんなことはありません。友人はいます。ただ、「親しき仲にも礼儀あり」というように、自分をすべて曝け出している訳でもなく、気を使うこともしばしばです。

 友人にも、いろいろなつながり方があると思います。いま、私にあるのは、「生活する上で遭遇し、形成されたつながり」のみです。

 他にどんなつながり方があるかといえば、twitterやFacebookのように、「自分の伝えたい情報だけを伝えて、それを受信した人が応答するつながり」です。この場合、受信する側は、ある程度「騙される」ことになりますが、伝える側は、比較的容易に「理想の自分」になって他人とつながることができます。また、不特定多数の人とつながりを持てるのも、長所の一つですね。

 長くなってしまいました。話を冒頭に戻します。私がいま、求めているのは、「どこの誰かは分からないけれど、話していて楽なつながり」です。本音を言ってしまえば、「そろそろ感想やメッセージが欲しいなあ。」ということです。

 でも、なかなか面倒ですよね。うーん。何かいい手はないものか・・・。

 鳶の弟子ということになったらしいのだが、それと言って大きな変化はなかった。いつも通り、学校に通い、その後部活の代わりにジムに通ったり、鳶に会って修業したりした。就業といっても、サンドバックを叩き続ける、何の意味もなさそうなものばかりだった。そのときの鳶の口癖が、「止まっているものを動いているように殴るのも、難しいだろ。」だった。よく分からない。

「大切なのは、想像力なんだよ。想像力のないやつは、成長も遅いんだ。危険な目に会わなきゃ、危険だと思わねえ。」

 だからといって、別の方法があるのではないか。そう鳶に訴えたこともあった。鳶は即答した。

「あるだろうな。あるけど、いいじゃねえか、これでも。」

 そんな答えで納得できるはずもなかったので、そのうち勝手に練習メニューを組んで、それに取り組んだ。鳶はそれに関して何も言わなかった。

「ああ、それと勉強はしとけよ。知識がなけりゃ、想像のしようがないからな。」

 言わずもがなだった。俺は、高校に入ってからも好成績を修め続けた。こんなことなら、素直に弟子になるって言えばよかったな、と思うぐらい、平和な日々だった。


 事件が起きたのは、それから数週間後、夏休みの直前だった。相変わらず、俺は鳶のところで修行していた。流石に、サンドバックではなくなっていた。公園の遊具で筋トレみたいなことをしていた。

「これをかっこよくとび越えたら、かっこよくねえか。」と鳶が言うので、俺はかっこよく鉄棒を飛び越える。「これから、かっこよく飛び出せたら、かっこよくねえか。」とブランコを叩きながら言うので、ブランコから何回転か回って、飛び降りた。

 公園で遊んでいた子供たちが、ヒーローみたいだと尊敬の眼差しを向け、母親たちが、子供が真似したらどうするの、と嫌悪の眼差しを向けてきた。一体、俺は何になろうとしているのだろうか。

「よし。俺も暇だし、そろそろ一緒にやろうぜ。」

 俺がタオルで汗をふき、水分補給をしていたとき、鳶がそう提案してきた。辺りはすっかり暗くなっていた。

「あんたもヒーローごっこをするのか?」

「かけっこしようぜ。」

「冗談だろ?」

「冗談じゃない。俺は本気だぜ。」

「その、なんとかだぜ、というのは何なんだ。」

 マイブームなんだぜ、とまたしても「ぜ」を付ける。いつものことだが、鳶の考えていることは、よく分からない。

「ただのかけっこじゃねえよ。それじゃあ、子供と一緒だ。俺らがやるのは、あれだ。フリーランってやつだ。知っているか?」

 俺は頷く。見たことはあった。いつだったか、たまたま食事中にテレビで流れていた。街中のあらゆるところを、例えば高い壁をよじ登ったり、屋根から屋根に飛び移ったりなどして駆けまわるやつだ。現代版忍者といったところだ。

「それで、応用力を身につけるんだ。やったことないから出来ません、じゃ困るからな。いかなる状況でも咄嗟に動く。それが大事だ。俺も昔よくやったよ。屋根から飛び降りた瞬間に、車が飛び込んできたりしてな。あれは流石にヒヤヒヤしたな。」

「分かった。それで、どっちが追いかける?」

「俺が逃げる。おまえは俺についてくればいい。」

 分かった、と俺は頷く。最初は軽めにしてやるよ、と鳶が言ったので断った。おまえのそれは、勇敢なのか、それとも無謀なだけなのか、と鳶が言い、どうなっても知らねえぞ、と付け足した。勇敢でも無謀でもない。どうなってもいいだけだ。

 鳶が走り出す。いきなり、公園のフェンスを飛び越える。俺も後に続く。フェンスから飛び降りると、鳶は塀の上を走っていた。俺も塀の上に上る。練習の成果か、何の問題もなさそうだった。ただ、こんなことをしていて、警察に捕まらないのか、とは思った。


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