とあるバレンタインデーのマッドサイエンティスト
本編読んでないと分らないと思います。どうぞ本編からお読みください^^
この世界にも、所謂【想いを伝える日】が存在する。
幼少期はケイマに強請られ、十歳まではルーナに強請られ、それなりにイベントとして成り立っていたその日、それは今日。
…いやね、俺もまさかね?
…貰う側になる日が来るとはなぁ…。男のままだったならばどれだけ喜ばしいことだったであろうか。
「リース様、国内でも最高峰と呼ばれる菓子職人に作らせた最高の逸品ですわ。はい、あーんしてくださいな」
「そんなのよりこのブレスレットのほうがいいよ。国一番の細工師に作ってもらったんだ。僕が刻印を彫った腕輪なんだよ」
「お姉ちゃん、あのね、ルーナ頑張ったの。一番に食べてくれるよね?」
「…私もケーキを作ってきたのですけれど…胃薬のほうが宜しかったでしょうか?」
今、俺の目の前には見た目にも高級品と分るチョコレート(カカオ豆ではなくカカ根という根菜を粉末にして作られる甘いお菓子)とシンプルでそれでいて品の良いブレスレット(周りの声によれば物凄い魔力が込められているらしい…何してんだケイマ)と昔医者の待合室で読んだジャ○プに出ていた暗黒物質に良く似た目にも鼻にもキツイ物体とそれらを差し出す自称婚約者と自称婚約者と最愛の妹がいる。
あと、心配そうに俺とダークマターを見比べる心優しき親友もね…。
…バレンタインってこんなに命の危険を覚えるものだったっけ?
ルーナ…今度料理勉強しような…。
思わず現実逃避をしたくなった俺はなぜか旦那さんから欠勤を届けられたクレイル先生の事を思った。
…昨日、明日は何を実験する?といい笑顔だった先生がバレンタインを覚えているとは到底思えないわけで…。
…合掌。
「お姉ちゃん、はいあーん」
可愛い顔で見上げないで。まだ俺心の準備できてn。
…ルーナに頬張らされたダークマター。
…合掌。
~~~後日~~~
「ルーナ、チョコは直火にかけないで!お湯を使っt…違う、お湯を混ぜるんじゃないから!なんでチョコに唐辛子を混ぜるの!?あぁぁぁぁ!どうしてそこで海藻を混ぜるんだぁぁぁぁぁ!」
「…大変だねぇ、まさかリースの妹が料理が出来ないとは…」
「思いもよりませんでしたわね。ところで先生?」
「何だいシオル?」
「何作ってらっしゃるんですの?(とっても禍々しい色をしてますけれど…)」
「ああこれ?これはね…うちの亭主に飲ませようと思って」
「何に効くお薬なんですの?」
「…夜良く眠れる薬かな…ふふふふふふ…(イ○ポになればいいんだ、あいつなんか!)」
マッドサイエンティストの師弟は身内に困った人が多いようです。