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田中太郎物語  作者: レッドキサラギ
第一章 ヴァンパイアガール
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008

「ヴァンパイア伯爵でしたか」



「そうだ」


 俺の病室には、ナナミが見舞いに来てくれていた。しかも、丁寧なことにフルーツの入ったバスケットを持って。



「伯爵と言えば、かなりの強敵でしたでしょう。そのせいでこんな傷まで」



「いいんだよ。俺が引き受けたんだから」



「すみません……」


 ナナミは無表情ではあるが、そこからは反省の念が伺えた。



「ところで、わたしと入れ替わりに出て行ったあの方は?」



「ああ……えっと」


 少しだけ、言葉が詰まり。



「友達だ」



「そうですか」


 七節迷花のことを、友達と呼べる日が来るとは、微塵にも思っていなかった。

 このまま、一生関わることはないと思っていたのだから。



「ところでナナミ、本当にこの世界に現れたヴァンパイアは一人だけなんだよな?」



「そうですよ。ヴァンパイアは一人です」


 だったら。だったら、七節迷花は、一体何なのだろう。

 彼女もヴァンパイアのはずだ。しかし、時空の歪みで現れた訳ではない。



(「わたしのことを知りすぎないことね。これはわたしの為じゃない、あなたの為よ」)


 一体、七節は何者なんだ?アイツは、何を隠してるんだ?

 考えれば考えるほど、答えが分からなくなる。

 本当に、本当に、不思議なやつだ。



「何を飲んでるんですか?」



「ん?これか?」


 缶の中には、赤い液体が入っている。しかし、それは血ではない。



「トマトジュースだ。美味しいぞ?」


 それは、ヴァンパイアの少女が置いていった、お気に入りの一品だった。

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