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田中太郎物語  作者: レッドキサラギ
第三章 ファンタジーガール
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001

 二年前の五月頃だっただろうか、俺がまだ、普通の青春を謳歌するため、言わずと知れた某人気バスケットボール漫画に影響され、バスケットボールをしていた時代。

 初めての、高校での後輩。その中に、遠山報瀬はいた。

 当時の遠山は、バスケットボールに関して、とてもじゃないが、無知だった。

 ルールも分からなければ、基本の動きすら何も知らない。

 他の一年生と、何も変わらない初心者だった。

 二年生の女子部員の数より、一年生の部員の数の方が多かった関係から、一部の二年の男子部員も一年生の女子部員を指導することになり、その一部と言うのが、つまり俺だった。

 そして、その時指導に割り当てられた一年生が、遠山だった。

 俺は、遠山にルールから基本の動きまで、一つ一つ教えてあげた。

 一度だけ。

 遠山は、一度だけ教えてあげれば、次の日にはその全てを習得していた。

 しかし、彼女は天才という訳ではない。

 秀才にして、努力の天才。

 あの時、遠山の目の下には、くまがあった。体には、傷もあった。

 それだけ、彼女は一生懸命だったのだ。

 だから、今の栄冠がある。

 初心者だった彼女は、天才と謳われるようになった。

 現在では、全国的にもバスケットボールプレーヤーのトップになっているとか、いないとか。

 俺からしてみれば、普通の後輩であるのだが、傍から見ると、彼女はスター。

 普通の俺とは、天と地の差があった。

 人間、努力次第でなんとかなるというのは、まさにこの事だ。

 感服。

 そして俺は、そんな誇れる後輩から、高校の文化祭に是非来てほしいと誘われた。

 勿論、誘いを断ることはなかったのだが、男一人で高校の文化祭を歩き回ったところで、楽しい思い出など、一欠片も出来るはずがない。

 残るのは、虚しさだけ。

 そう考えた俺は、ある約束を使って、友人を同行するようにした。

 本当のところ、少し勿体無いと躊躇したのだが、冴えない男一人だけでは、あまりにも画にならない。

 それに、つまらない。

 何でも願いを一つ叶える。

 ここまで慎重に考えていたのだが、まさかこんな事に使ってしまうとは。

 本当に、もったいない。

 だが、いつまでもそんな事は言ってられない。その分、楽しまないと、損するだけだ。

 六月二日。

 文化祭当日。

 俺は、湯川高校の校門付近で、友人が来るのを待っていた。

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