2.恐怖体験: ~1週間後の異変~
特にグロはありませんのでご安心を
当時のわたしは、怪談やユーレイのたぐいが大変に好きだった。
出来ることなら一度会ってみたいなどと願っていたのである。
これには理由がある。
本心はとても怖がりだったのだ。
怖すぎて夜のトイレにも行けないほどだったのだ。
もっと小さい頃から、闇はわたしの強敵だった。
トイレのドアまで忍者のようにそっとたどり着き、じっと何かがドアの向こうから出てくるのを待ったりもした。
(もちろん、本物に会ったことはないけれど)
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最初の異変から一週間。
わたしは毎日のように同じ”カギ”の音を耳にするようになっていた。
その時刻は一定ではなかったが、22時以降だったと思う。
そしてわたしはいつものように音楽を聴きつつ机に向っていた。
かちゃん。
玄関のドアから、カギの音がする。
わたしは今日こそ見てやろうと思っていた。
だから、机から離れ、足を忍ばせ、電気を点けたままの廊下で監視したのだ。
玄関が見える位置まで移動する。
じっと待つ。
この状態を親に見られたら、どう言い訳したらいいのか。
(そんな事を思ったように記憶している。)
冷え冷えとした廊下に裸足で佇むわたしは、とても寒かった事を覚えている。
「かちゃん」「かちゃん」
わたしは、玄関のドアのカギが開閉するのを、見てしまった。
(それはとても自然に目の前で起こった)
それを見たわたしは自分の部屋に駆け込み、そのまま布団をかぶって寝てしまったのだ。
寝入ってしまってから何時間経ったのだろう。
わたしは玄関付近から聞こえる、じゃっじゃっと言う音で目を覚ました。(午前0時前だったと思う)
その音から、わたしが連想したのは「母さんが玄関を掃除してる」であった。
そしてわたしは再び眠りに落ちた。
そしてその冬の異変を境に、わたしは毎晩その音を聞き続ける事になったのだ。
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