表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1.恐怖体験:1日目


 -1979年.冬-


 当時、わたしは山間の住宅地に住んでいた。



広島市内から峠を一山越えた、その一画にある新興住宅団地。

似たような住宅が立ち並ぶその一軒にわたしは住んでいた。


父と母、そしてわたしと弟、一匹の雑種犬。そんな家族構成。



---


一年ほど前、父方のおじいちゃんが定年した事で我が家は増築された。


2LDK平屋の小さな旧家の玄関部分に、二階建てをくっつけた形で増築された経緯もあり、

おもちゃのブロックでなんとなく作ったみたいな構造になっていた。


わたしが嫌いだったのは、接合部分となる元玄関付近である。

そこは窓の無い昼間でも暗い踊り場のようになっており、

納戸とトイレ+増築側のトイレが取り囲んでいる形の一画だった。

(しかし、恐怖体験はこの場所ではない)



増築側の造りは、玄関から真っ直ぐ伸びる廊下で始まり、その横に大きめの和室がある。

廊下が右へ折れたところで二階へ続く階段が現れる。

クランクのように再び廊下は左へ折れてその横にわたしの部屋がある。


田舎のおじいちゃんとおばあちゃんが隠居するための増築だったので、わたしの部屋の隣には台所部屋があった。

結局、おじいちゃんたちはこの家に隠居はしなかった(田舎の家を引き払う事ができなくて)。


廊下の突き当たり部分には洗面所があり、廊下は左に折れて暗い踊り場部分に繋がる。


我が家の配置はそんな感じである。


---


 当時、わたしは小学5年生だった。

音楽家の父の影響でクラッシックを聞いていたわたしは、この頃から普通の音楽に興味が移り始めていた。

テレビよりもラジオを好んで聴いたのもこの辺りである。

オフコース、八神順子、アリス、サイモン&ガーファンクル、クリストファークロス、オリビアニュートンジョン、カーペンターズ・・・

興味は尽きなかったし、一つ一つの曲が心に染み込むようだった。

多感な時期だったのだ。



 ある晩、わたしは勉強机で音楽を聴きながらいじいじと勉強をしていた。

(もしかしたらエロ本を読んでいたのかもしれない。まったく覚えていないが)



 聞きなれない物音がしたのは、そんな時である。


玄関のドアが、かちゃんとカギの開閉する音がしたのだ。


わたしは誰かが帰ってきたのかな、と思った。


しばらくして再び同じカギの音が聞こえる。


何をしてるんだろう、とわたしは思う。


気になりだしたわたしは障子(真ん中から下が磨りガラス)をそっと開き、玄関を伺う。

(その位置からは玄関が見えないが、物音はしない。)

何か変だな、とは感じたものの、その日はそのまま眠ったと思う。

(ひょっとしたらエロ本を布団の中に持ち込んで懐中電灯の灯りで見ていたのかもしれない。まったく覚えがないのだが)


---


 次の日、わたしは学校の授業中に唐突に思い出す。

昨夜のカギの音を。


 そのようにして、わたしの6年間にも渡る恐怖体験は始まった。


挿絵(By みてみん)


本作は実話です。

いつもは【タロと今夜も眠らない番組】を書いています。

余裕のできた時に更新したいと思っております!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ