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幕間:発熱
体の芯の熱が、引かなかった。
まるで、体の中で融解が始まってしまっているのではないかという錯覚を覚えた。
そんなはずはないことはしっている。
けれど。
無いとも言い切れない。
以前なら、そんな不安はありえはしなかった。
こんな気持ちはありはしなかった。
しかし今は。
この体の中には、得体の知れない物が動いていた。
この体の中で、今も脈動している。
それが、熱を持ち始めているのだ。
熱い。
吐いた息は熱を帯びていて。
潤んだ瞳から溢れ出る涙はすぐにでも塩化してしまいそうだった。
今すぐにでも足を止めて、倒れてしまいたかった。
それは叶わず。
今もこの身は、ほら。
絶えず、加熱していく。