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幕間:思案
僕のこの目で、何を見てきたのか。
仕方がないことじゃないか。
そんな言葉が許されるのは、どこまでなのか。
付き合いが浅いとか。
深く関わろうとしなかったとか。
他人だとか、自分だとか。
解るには、時間が足りなかったのだとか。
そんな、曖昧な境界を言い訳にできるのは、誰相手になのか。
知らなかったんだ。
僕はそんなことを、言って。
自分の視界を塞いでいた両手の向こう側に聞こえていた泣き声を、無視していたんだ。
仕方がないこと。
そういって事を済ませるのには、それほど僕は自分に優しくはしない。
甘えるな。
誰かがそれをするのは良い。
他人がどう成ろうと、知ったことではないのだから。
でも、自分がそうなるのは、赦しちゃいけないことだから。
僕の両手は、何のために使うべきなのか。
よく考えてみよう。
それが、間違ってしまった僕にもできる、贖罪の方法。