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幕間:想い
土埃が舞い、激しい剣戟の音がする。
―――不安が無い時間は無かった。
吠えるケダモノ。唸るトカゲ。耐えるニンゲン。
―――伝えようにも他人しかいない世界。
血が冷えていくのがわかる。
―――気持ちばかりが、膨らんでいた。
ぞわり、と背筋が粟立った。
―――耐えきれなかったのは、なんだったのだろう。
その手に残る、無機質な感覚。やってはいけないことをしてしまったという、焦燥感。
―――あふれてしまったのは、なんなのだろうか。
目の前に迫るだろうものは気にならなかった。頭の中が、真っ白で、何も考えられなかった。
―――あぁ。
まるで―――
―――悪い夢を見ているよう。