第二の遺書
署に戻ったところで、紙に今日の発見を書き記す。生活感のない部屋、ぱんぱんの冷蔵庫、人気のお菓子、絵本、バラバラの原稿、ボディーソープ、石鹸、誰かがいた可能性、出入りの痕跡は全くない。今日感じた些細な違和感もふと気になったこともそうでないことも全て書く。俺はどこぞの名探偵と違って頭が悪いから、頭の中で推理して簡単に解決なんていかねーんだぞこのやろう。
「飛鳥さん、おつかれ様でーす。」
「おー、戻ってきてたか。お疲れさん。そこにあるコーヒー持ってっていーぞ。」
「ありがとうございます。」
「ブラックだけど行けたっけ?」
「なめてんすか。余裕っす。」
「落ち着いてからでいいから、今日調べてきたことホワイトボードにまとめてくれるか?」
「わかりました。」
俺は情報をまとめた紙と睨めっこする。最後の二つに関しては矛盾も矛盾だぞ。誰かがいたのに、出入りの痕跡はない。もちろん近隣住民にもバッチリ調査済みってわけだ。
「飛鳥さん、準備できたんで説明しながらホワイトボードに書いていきますね。」
「おー。」
「じゃあ始めますけど、香坂は両親から虐待を受けて麓の町の溜まり場で半グレ集団とつるんでいたそうです。この情報は警察内で補導履歴を探った時に出てきました。中1から高3まで6年間になりますかね。本当は親族に話聞きたかったんすけど両親どっちも行方不明で、2年前から行方不明届が出されてました。一応、弟もいたらしいんですけど、同じく行方不明です。両親は遺書通りに従えば香坂が殺したことになりますかね。明日、半グレ集団に聴取あたってみます。」
「了解、俺も明日ついてくわ。」
小鳥遊がホワイトボードに書いた情報を俺の紙に追加して再度見直しをする。
横から小鳥遊が見ている。
「覗き見か?変態だな。」
「いかがわしいものを持ってきてないかのチェックですよ。」
「その場合は俺が変態なのか、小鳥遊が変態なのか、勝負しようじゃないか。」
「はいはい、飛鳥さんは香坂の事件解決しましょうね。」
「小鳥遊は出入りの痕跡を残さず、部屋に誰かを呼ぶことはできると思うか?」
「それは無理じゃないっすか、多分。私なら無理ですね。」
「だよなぁ。」
「窓から出入りするとか?まあそれなら近隣住民も気づくと思うっすけど。」
「もしそんな跡があれば鑑識が調べてるっつーの。」
「じゃあこれは無理じゃないですか。」
「難しいな。」
「誰かが住んでたならまだしも。住んでたとして出入りはすると隣の人が顔を見てるだろうし無理かと。弟について全く情報もないし。というか両親につても探らないとっすね。」
「待て待て待て。今なんて言った?」
「え。両親についても探らないとって言いましたけど。」
「違う、そのもっと前だ。」
「うーん、と。弟について調べなきゃ的な?」
「もっと前だ。」
「私なんか言ってましたっけ。………あ、そうだ。誰かが住んでたならまだわかるけど無理だって言った気がします。」
「そっっっれだ!!!」
「何がですか・」
「もし、花癸が誰かを匿っていたとしたら、どうだ。自殺する前に誰かのものを処理していたら、あり得なくはないんじゃないか。」




