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星の彼方  作者: 一和遥
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第二の遺書

 私には責任がある。たくさんの責任だが守れるのは一つのみ。     香坂 花癸


 第二の遺書が郊外の図書館の本に挟まれているのが見つかった。死んでも尚文芸にこだわり続けるのは小説家としての性なのか。まだ、事件なのかただの自殺なのかさっぱりわからないが、花癸の出生から死ぬまでの動向を探る必要がありそうだ。

「小鳥遊、花癸の情報を隅から隅まで探してくれ。」

「うえー大変そうな仕事ですね。飛鳥さんにしては珍しくやる気あるじゃないすか。」

「まぁな。」

「香坂の顔がタイプだったからじゃないんですか?」

「アホか俺には美人で帰りを待ってくれる奥さんがいるっつーの。」

小鳥遊に花癸について調べてもらっているうちに、俺はもう一度花癸の自宅に向かうことにした。




 俺は花癸の捜査にあたってからずっと感じる違和感。俺の勝手なイメージに過ぎないが、人が1人で生きるには必要最低限、生活道具が必要だ。女であれば尚更。女が住むにしてはものが無さすぎる1LDK。なんていうんだろうな、化粧道具とか服とかが全くない。クローゼットに上着一枚とスウェット2、3着。その割に冷蔵庫はある程度入ってて人気のお菓子もある。自室には原稿が散らばっていて『the・小説家』って感じ。リビングにある本棚には花癸が過去に書いた本がたくさんある。花癸って絵本も描けんのな。やっぱ天才はすげーわ。まぁ感心するのはここら辺にしておいて、問題は俺の感じる何か足りないような違和感。

香坂花癸、小説家、自殺、何もない部屋、散らばった原稿。


今までの情報を頭に並べる。まだ足りない。


二つの遺書、責任、両親。2、3着の衣服、冷蔵庫は満ちている、絵本。


まだ足りないか。よし、頭の中で反芻しよう。香坂花癸、小説家、とまた並べる。そこで気づいた。なぜ冷蔵庫が満ちているのか。おかしい。服も大して持ってない人がわざわざ冷蔵庫を満たしてお菓子まで用意することがあるのだろうか。このお菓子はデパ地下で一時間並ばなければ買えないやつだ。とてもこの部屋の持ち主が買いに行ったとは思えない。マネージャーに頼んだのか、いや花癸にマネージャーはいないはずだ。じゃあやはり花癸が買いにいったのか。いや、問題はそこじゃない。問題は誰が食べたのか、だ。1人で食べるにしてはとてもじゃないが限界がある。どんなに大食いだろうと流石にここまでは食べれない。可能性があるとしたら、『誰かがいた』場合だ。隠されていた恋人、秘密の関係とかか?だとしたら恋愛に淡白なタイプだったのか?でも大人が出入りしたとしてその人の痕跡が残るはずだ。全くといっていいほど出入りの痕跡などない。ぐるっと部屋を見渡して、はあーっとため息を吐く。あまり進んで自ら行きたくはないが、花癸が死んでいた風呂場に向かう。もちろん、死体は鑑識が調べた後、司法解剖へ回されてもうここにはないが。あったら困るでしょうが、と心の中でセルフ突っ込みを入れて、見て回る。ドラッグストアに売っているシャンプーとトリートメント。ボディーソープに石鹸。窓付近の小棚には、掃除用具が数個。たわしとかそんくらい。もう一回見渡す。シャンプー、トリートメント、ボディーソープ、石鹸。ボディーソープがあるのに石鹸も置いてあるのか。潔癖症だったのか?まあいい。とりあえず一旦所に戻ろう。

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