最初の遺書
私は両親を殺しました。 香坂 花癸
そう書かれた遺書と彼女の代表作がアパートのお風呂場の床に置いてあった。
風呂に沈んでいた死体はぶくぶくとふやけてもはや誰の死体かもわからないくらいに膨れ上がっていた。洗面所まで腐敗臭が漂っており死体からは蛆虫や蠅の幼虫が沸いているから死んでからだいぶ時間が経っているのだと推測された。
「飛鳥さん、ご遺体の身元がわかりました。香坂花癸で間違いないと司法解剖から特定されました。」
「お、ナイス小鳥遊。香坂花癸ってあれじゃねーか。有名小説家の、なんだっけ、や、やー、ん?ゆ?」
「夕闇に溶けて、ですよね」
「おーそれそれ。星の妖精と孤児の少年が旅をする話でしょ、ネットで爆発的にヒットしてから今は映画化も期待されてたよね。」
「飛鳥さん、もうその話はいいです。」
「あら、そーう?
にしても、香坂花癸の両親を殺したっていうのは謎だよな。」
「そうですね。それらしき事件もご遺体も見つかってもいませんし、この情報自体が嘘の可能性だってありますもんね。」
「いや、それは多分ねぇぜ。」
「理由を伺っても?」
「刑事の勘ってやつ。」
「、、、飛鳥さん。あなたの刑事の勘が当たったことありましたっけ。」
「ねー、いやあったか?うーんあったような気もするが。」
「まあいいです、やることは山積みなのでさっさと調べちゃいましょう。」




