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【朗報】ワイ元成金、最期に少女を救い異世界送りになった模様  作者: 限界まで足掻いた人生


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第95話 戦闘の再開と“噛み合わなさ”の固定化

白装束の男が放った無の波動が、広場の石畳を白く塗り潰していく。存在を消去しようとするその圧に対し、アルフとアズライトは同時に地を蹴った。本来は追う者と追われる者の関係であるはずの二人が、今は同じ「修正対象」として、世界の拒絶反応を迎え撃つ。


だが、その光景は共闘と呼ぶにはあまりに無惨だった。


交差しない刃と影

アルフが右手を掲げると、その足元の影が猛然と伸び、白装束の背後の空間へと突き刺さった。それは、敵が数瞬後に回避するであろう「未来の座標」をあらかじめ制圧し、逃げ道を塞ぐ影の拘束だ。


「そこだ」


アルフの意識は既に数秒先の決済けっさいを終えている。影は確定した未来の位置に、黒い杭となって出現した。


「逃がすかよ!」


同時にアズライトが踏み込む。彼は今、この瞬間を極限まで削り取ることで得た爆発的な速度で、白装束の喉元を狙って羅飢王ら・でヴァうあーを真一文字に振った。


しかし、その刃は空を切った。


アズライトの体感する速度は、どこまでも「現在」に縛られている。アルフが影を仕掛けた「未来の位置」にアズライトが到達した時、そこには既に実体化した影の杭が障害物として居座っており、アズライトの踏み込みを微妙に阻害した。


「……チッ、影が邪魔だ!」


アズライトは舌打ちし、強引に軌道を変える。だが、その一瞬の迷いが、必殺の斬撃から鋭さを奪った。白装束の男は、ただ静かに一歩横に揺れるだけで、二人の猛攻を紙一重で回避し続けた。


強いのに、届かない

「……非効率だな。お前の『今』に固執する動きが、俺の描く投資曲線をことごとく断絶させている」


アルフは無機質に言い放ち、半拍遅れて動く自分の影を手繰り寄せる。


「うるせえ! お前の気味の悪い影が、俺の踏み込むべき場所を先に埋めてるんだろうが! 先回りしてんじゃねえ、今ここを見ろ!」


アズライトの咆哮と共に、さらに激しい剣閃が広場を埋め尽くす。しかし、アズライトが現在を削って研ぎ澄ませば研ぎ澄ますほど、その動きは「今」という時間軸に強く固定されていく。

対するアルフは、意識が先へ行き過ぎるあまり、アズライトの現在の動きを捉えきれず、影の配置がことごとくアズライトの進路と干渉し合う。


個々の力は白装束を凌駕している。シエナの薄い影、ニコの重なる影、マラカイトの冷徹な魔力。そのどれもが決定打になり得る出力を持ちながら、その位相のズレが致命的な摩擦を生んでいた。


確定しない結末

「……無駄な足掻きを。噛み合わない歯車は、回れば回るほど自らを破壊し、熱を失っていく」


白装束の男は、攻撃を躱しながら淡々と告げる。


「あなた方の力は、互いを否定し合っている。未来を盗む者と、現在を削る者。その間に『共存』という帳簿は存在しません」


男が再び無の波動を収束させる。その中心で、アルフとアズライトは互いを睨みつけながらも、迫りくる世界の自浄作用を、バラバラな拍子のまま迎え撃つしかなかった。

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