58話:イカしたメンバーを紹介するぜ!!
昨夜の静かな決意など、どこへやら。翌朝、地下の隔離区画に現れたピーターは、まるで別人のようにテンションを爆発させていた。
「よっしゃあああ!! 修行だ修行だ修行だああ!! モーニング・デストロイの時間だぜベイベー!!」
ピーターは奇妙なダンスを踊りながら、アルフの前に二人の人物を突き出した。ハルトとさっき、その空間転移能力でどこからか「適当に拾い集めてきた」者たちだ。
だが、ピーターは彼らをアルフの前に並べるなり、目を見開いて叫んだ。
「っていうか、誰だお前らああああ!! 名前を名乗れ! 職業を言え! 」
自分が連れてこさせたにも関わらず、あまりに理不尽な問いかけに、連れてこられた二人は呆然と、あるいは恐怖に震えながら口を開いた。
強制招集の犠牲者たち
一人は、鋭い眼光を宿した褐色の女性戦士だった。彼女は腰の剣に手をかけ、ピーターを激しく警戒している。
「な、なんなんだ貴様は……! 私はシエナだ。傭兵をやっていて、貴族の護衛任務に就いていた。エネアッドで暴走した巨人を止めようとして失敗し、ようやく傷が癒えたばかりだというのに……!」
彼女は病み上がりのアルフを一瞥した。かつての「依頼人」の顔は覚えているようだが、目の前の少年があの巨人の正体だとは微塵も気づいていない。
そしてもう一人の少女は、ガタガタと膝を震わせ、今にも泣き出しそうに身を縮めていた。
「わ、私は……ニコ・モレノです……。パ、パン屋の娘で……お父さんはルカ・モレノと言います……。お父さんの手伝いをしてただけなのに、急に目の前が真っ暗になって……」
彼女はあの心優しい老パン職人の娘だった。父譲りの慈愛に満ちた瞳は、今やパニックで泳いでいる。
理不尽な自己紹介の結末
ピーターはフムフムと深く頷くと、間髪入れずに隣にいたアルフの胸ぐらをつかみ、至近距離で絶叫した。
「で、お前は誰だああああ!! どこから来た! 好きな食べ物はなんだ! 言え!!」
「アルフだよ!! さっきまで一緒にいただろうが!!」
アルフは反射的に、全身全霊のツッコミを込めて怒鳴り返した。
(……この男、本当に大丈夫なのか? 修行の相手として連れてきた奴の名前すら知らないのかよ。)
アルフは怪訝な、あるいは同情に近い目でピーターを見つめた。昨夜のあの、異世界の地図をなぞっていた時の「静かな決意」を宿した男と、目の前で支離滅裂な叫び声を上げているこの男。
どちらが本物なのか、アルフにはもはや判断がつかなかった。
「よーし、メンバー紹介は完璧だな! シエナは攻撃、ニコは食糧担当、アルフは……サンドバッグ担当だ!!」
ピーターは誰の同意も得ることなく、勝手に修行の開始を宣言した。その背後の壁には、昨日まではなかった「世界地図」と、アルフには読めない「漢字がびっしり書かれた情報ノート」が、無造作にピンで留められていた。




