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【朗報】ワイ元成金、最期に少女を救い異世界送りになった模様  作者: 限界まで足掻いた人生


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51話 冷徹な取引と、逃亡の再開

銀色のスイッチを弄ぶピーターを、ルビーナは殺意の籠もった眼差しで睨みつけた。だが、その足は一歩も前へ出せない。


(……ここで残りの4分の3まで失えば、私の責任問題どころではない。ギルド支部の運営が立ち行かなくなり、私のこれまでの積み上げがすべて無に帰す……!)


ルビーナにとって、爆破された病院にいるアどベンチャラーたちの命は、単なる**「資産」**に過ぎなかった。資産が目減りすれば、自分の評価が下がる。それだけが、彼女を縛る唯一の鎖だった。


「……総員、武器を収めろ。追撃を中止する」


絞り出すようなルビーナの命令に、衛兵たちが動揺する。


「しかし、ルビーナ様! あの少年は指名手配犯で、隣の男は……!」


「黙れ! 病院の被害を拡大させるわけにはいかないと言っている!」


ルビーナは表向きは**「人命を優先する高潔な上官」**を演じながら、内心では歯噛みしていた。ピーターはその虚飾を見透かし、唇を吊り上げて笑う。


「話が早くて助かるよ、ルビーナさん。やっぱり君は『話がわかる』女だねぇ」


ピーターは屋根から軽やかに飛び降り、アルフの隣に降り立った。アルフは、先ほどの爆発の衝撃とピーターの非道さに、言葉を失っていた。


「……ピーター、貴様。本当に爆破したのか? あそこには、俺たちを助けようとした奴だっていたかもしれないんだぞ」


アルフの震える声での追及に、ピーターは南部せんべいの最後の一片を口に放り込み、面倒臭そうに答えた。


「ああ、効率の問題だよ。ハッタリじゃこの手の女は動かないからね。四分の一の犠牲で済んだことを感謝してほしいくらいだ」


「貴様……ッ!」


アルフが掴みかかろうとした瞬間、ピーターはハルトに目配せをした。ハルトが音もなく二人の背後に立ち、それぞれの肩に手を置く。


「じゃあね、ルビーナさん。昇進試験、頑張って。あ、この銀色のスイッチ……実はただの空き缶のプルタブを加工しただけの偽物なんだ。あはは!」


「なっ……!!」


ルビーナが激昂して剣を抜こうとした瞬間、空間が爆ぜるように歪んだ。


隠れ家:静寂と不信感

次の瞬間、三人はカレンが眠る隠れ家のベッドルームに戻っていた。


「……はぁ、はぁ……」


アルフは床に膝をつき、激しい吐き気と戦っていた。一瞬でエネアッドの惨状を見せられ、自分がB級犯罪者に仕立て上げられたことを知り、さらにはピーターによる無差別な爆破。


少年の精神には、あまりに過剰な刺激だった。


「さて、アルフ。君も自分の置かれた状況がよく分かっただろう?」


ピーターは鼻血を拭いながら、平然とした顔で椅子に座った。


「君はもう、この国のどこにも居場所はない。ギルドも王族も君と妹を狙っている。そして君の余命はあと一ヶ月。……絶望的だねぇ」


アルフは顔を上げ、ピーターを睨んだ。この男は邪悪だ。自分たちを助けたのも、単なる気まぐれか、あるいはもっと酷い実験のためだろう。


だが、それでも。


「……カレンを、特B級の指名手配から外す方法はあるのか?」


アルフの問いに、ピーターは楽しげに目を細めた。


「あるよ。王族そのものを『黙らせる』か、あるいは君たちが彼らにとって『手を出せない存在』になればいい」


ピーターはそう言うと、次の南部せんべいの袋を開けようとして、ふと手を止めた。


「そのためには、まずそのボロボロの体をどうにかしないとね。アルフ、君に**『地獄の教育』**の続きを施してあげよう。死ぬより辛いかもしれないけど、どうする?」


アルフは隣で眠るカレンの寝顔を見た。彼女を二度とあのような目に遭わせないためなら、悪魔と手を組むことすら厭わない。


「……やってやる。俺を、これ以上『ふがいない』ままでいさせないようにしろ」


ピーターは満足げに頷き、暗い部屋の中にその不気味な笑い声を響かせた。

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