41話 何だコイツ!?
アルフは、カレンの命のタイムリミットが迫る中、一刻の猶予もなく扉を開けた。
ガツンッ!
開けた扉の先にいたのは、まさに彼が探していた人物――緑髪の少年、ピーター・ブレットだった。アルフの額が、ちょうどピーターの鼻に激しくぶつかった。
アルフは頭を抱え、思わず後ずさった。
「いった……!」
ピーターは微動だにしないものの、鼻からツーッと赤い筋が流れ落ちた。
「おっと。慌ててるね、アルフ。そろそろ来ると思ってたよ」
アルフは激痛を無視してピーターを見上げた。彼の脳裏には、ピーターの言葉「計画を練れ」が刻み込まれている。感情は後回しだ。
「ピーター・ブレット!」
アルフは周囲を見渡すことなく、まっすぐに本題に入った。
「カレンの命は残り10分だ。彼女の III度熱傷を治せるのは、A級治癒師かB級ポーションしかない。俺は、貴様との取引を求む」
アルフは腰に下げた金貨の袋を、ピーターに向かって突き出した。
「俺の全財産だ。もしA級ポーションを持っているなら、それを譲ってくれ。金はいくらでも出す。足りなければ、将来的に得た全ての報酬を貴様に渡す契約書を今すぐ書く」
アルフは必死だった。その計画的な、金銭と命を天秤にかける思考こそが、今、ピーターの教えを忠実に実行している証だった。
しかし、ピーターはアルフの金貨の袋に目もくれず、ただ楽しげな笑みを深めていた。まるで、アルフが何を言い出すか、全て悟っていたかのように。
「へぇ。取引、ね。面白いね、アルフ」
ピーターは鼻から流れる血を指で拭いながら、アルフの必死な顔を見て言った。
「君が俺に何を頼むか、何を差し出すか、大体分かってるよ。その顔を見たかった」
そして、ピーターはアルフの真剣な交渉を、あまりにもあっさりと受け入れた。
「いいよ」
アルフは一瞬、ピーターの言葉の意味が分からず、言葉を失った。交渉決裂、あるいは高額な要求を想定していた彼にとって、「いいよ」という言葉は予想外すぎた。
「あの……いい、って、何を?」
「カレンを助けることだよ。ポーションで治すか、病院まで瞬間移動させるか、どっちがいい? ポーションはあるけど、病院の方が後のケアも安心だぜ」
ピーターは既に、アルフの選択肢まで用意していた。アルフは呆然としながらも、最善策を答える。
「……病院だ。A級治癒師がいる、あのオークション会場近くの医療施設がいい」
「了解。じゃあ、準備するよ」




