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【朗報】ワイ元成金、最期に少女を救い異世界送りになった模様  作者: 限界まで足掻いた人生


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34話 一般愉悦人

「黙れッ!」


アズライトが激昂し、長剣を閃かせた。彼のS級スキル『神速』による斬撃は、音速を超え、空気を引き裂きながらピーターへと迫る。


しかし、ピーターは動じなかった。


怒りによる感情の乱れは、S級剣士にとって致命的な**「隙」となる。その一瞬の緩みを見逃さず、ピーターは左手の人差し指を、下から上に、わずかに動かした**。


ヒュン、シュッ―――


アズライトが斬撃を放った直後、彼の右腕と右足から、何の抵抗もなく血飛沫が噴き出した。痛みは、彼の反応速度を遥かに超えた超常の斬撃によって、一拍遅れて襲いかかった。


「……ぐ、ア"ッッ!」


アズライトは言葉にならない悲鳴を上げ、膝から崩れ落ちた。身体の一部が切り離された激痛は、彼がS級として昇り詰めて以来、初めて味わう絶対的な敗北の苦しみだった。


ピーターは、アズライトの苦痛に満ちた姿を見て、さらににやけた笑みを深めた。


「ほら、お喋り止めとけって言っただろ? www」


アズライトは、地に伏せながらも、間髪入れず反撃の可能性を探る。しかし、目の前の獣人の能力は未知数だ。彼は瞬時に意識を切り替え、生き残るための最終手段を選択した。


「くそ……! 羅飢王(ラー・デヴァウアー)!」


アズライトは、自らの血に濡れた顔を上げ、周囲の瓦礫の中にいる人々に向かって、声を振り絞った。


「松明、光を出せる者! 魔導具でもいい! 力を貸してくれ! 光を……私に、集めてくれ!」


アズライトの切り札は、光の魔力を吸収し、自身の身体を急速に回復させる固有の奥義だった。この技は、術者が精神を集中し続けることが絶対条件となる。冒険者たちは魔導具の灯りを、市民たちは光を、一斉にアズライトへと集中させた。


光の粒子がアズライトの体に吸い込まれ、切断された右腕と右足の断面から徐々に再生し始めた。


ピーターは、その光景を見ていたが、何も阻止しようとはしない。彼は面白そうに、近くの瓦礫に腰かけ、興味津々の目でその様子を眺めていた。


「へぇ、面白い技だねぇ。天空の女神とか抜かす奴の加護ってやつ? カッコイイ、尊敬してます。はい!!」


しかし、アズライトの回復が目に見えて進み、殺伐とした雰囲気がなくなり周りの人たちが安堵し、それを見たアズライトも呼吸を整え落ち着いた表情になった刹那。ピーターの表情が一変した。


彼はふざけた笑みを顔に残したまま、目の奥だけをどす黒い憎悪で染めた。


ピーターは、音もなくアズライトの隣に移動すると、無傷の左足を、躊躇なく、全力で蹴り飛ばした。


「ぐはあっ!」


肉体を貫く衝撃と共に、アズライトの集中が断ち切られた。羅飢王の光が瞬時に霧散し、回復は中断される。切断された右手首と右足首が激しく疼き、アズライトの体は抵抗できずに吹き飛ばされ、再び地面に叩きつけられた。


ピーターは倒れたアズライトに馬乗りになると、冷たい笑顔のまま、何の言葉も発せず、その顔を拳で執拗に、無感情に殴り始めた。


アズライトは、回復手段を失い、無防備な状態のまま、ピーターの拳を受けるたびに、新たな骨の砕ける音と、血の味が口の中に広がった。ピーターの攻撃は、憎悪の巨人以上の、屈辱的な残酷さを持っていた。

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