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【朗報】ワイ元成金、最期に少女を救い異世界送りになった模様  作者: 限界まで足掻いた人生


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21話 過去の影と、贖罪の刃

アルフは時間との戦いだった。貧民街での情報収集の結果、カレンが連れ去られたのは、近隣の都市の地下で行われる、裏オークションであることが判明した。彼は手に入れた金貨の半分を使い、移動手段、偽装工作、そしてカレンの情報を得るための賄賂に費やした。


彼はまず、自らの力を強化した。


「『権能石』を使う……!」


アルフは躊躇なく、ダンジョンで手に入れた『権能石』を自分の手に押し当てた。光が彼の体に流れ込み、新たな後天的スキルが発現する。


【スキル獲得:戦闘予測Lv.1】


(戦闘予測だと!? なぜ、最高の剣術スキルではない! くそっ!)


アルフは落胆したが、すぐに『鑑定』で詳細を確認した。このスキルは、相手の動きから次に取る行動を予測する能力で、彼の知能と組み合わされば、非力な体でも致命的な攻撃を避けられる。


「いいだろう。この頭脳が、このスキルを最強にする」


そして、彼は残りの金貨を全て、最高の護衛と情報網の構築に投じた。かつての成金王は、金で全てを解決する術を知っていた。


数日後。アルフは偽装した身分で、裏オークション会場へと潜入した。豪華だが薄汚れた地下の会場は、かつてリリアを救った場所と全く同じ、吐き気を催す闇の場所だった。


壇上では、奴隷としての商品が次々と競り落とされていく。そして、アルフの心臓が止まる。


「次が、本日の目玉商品でございます。希少な金髪碧眼の少女―――カレン」


光を浴びせられたカレンは、怯えながらも、懸命にアルフを探すように会場を見回していた。その瞳には、絶望と、わずかな希望が宿っている。


オークションは白熱した。豪奢な服を着た男たちが、カレンの値段を吊り上げていく。


その光景を見た瞬間、アルフの意識が歪んだ。


(ああ、そうだ。この景色だ……)


アルフの視界に、幻影が映り込む。壇上のカレンが、翠の瞳を持つリリアに変わる。そして、観客席には、**高級なワイングラスを傾ける、退屈そうな田中豪(アルフの前世)**の姿が見えた。


「―――くだらない」


幻覚の豪が、グラスを傾け、つまらなそうに呟く。


アルフは、自分の体の中で、過去の自分が嘲笑しているのを感じた。


「あの時、お前は何をしていた? 金に飽きて、退屈しのぎに他人を弄んでいたクズだったぞ!」


その時、オークションは最終局面を迎えた。カレンの値段を吊り上げたのは、腹の出た、いかにも成金といった風貌の男だった。


「1億5千万で、この少女を我が物としよう!」


その男が、カレンを品定めするような、下卑た視線を送った瞬間、アルフの頭の中で何かが弾けた。


(その目だ! その目だ、田中豪! お前がリリアを見ていた、あの退屈で汚い目だ!)


アルフは、その男の姿に、金に溺れ、人の命を弄んだ過去の自分自身を重ねた。


「―――殺す」


アルフは、護衛たちを振り切り、壇上へ向かって走り出した。


「待て! このクソガキ!」


彼が懐から取り出したのは、ダンジョンで拾った錆びた**銀の短剣(財宝庫の鍵)**だ。彼は、その短剣を、カレンを買おうとした成金男の胸めがけて、全力で突き刺した。


「グアッ!」


男は悲鳴を上げる間もなく、その場に崩れ落ちた。アルフの瞳には、過去の自分を葬り去ったような、狂気と、悲しみが混じり合った複雑な感情が渦巻いていた。


「お兄ちゃん!」


カレンの悲鳴が響く。アルフは壇上からカレンを抱き上げると、会場全体に向けて、怒りと憎悪を込めた声で宣言した。


「この子は、誰にも売らない。誰にも渡さない! 金でも、命でも、絶対に渡さない!」


会場はパニックに陥った。アルフの周りに、オークションの護衛たちが殺到する。しかし、アルフはすでに、カレンを救うという最終目的を達成した。

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