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歴史とは、知性が感知出来る諸印象を時間、空間、因果律の形式で表す事が出来る。
あの世界の何かで小難しくそんな事をうたってたが、要するにいつ、どこで、誰が、どうして、そうしたか、を誰かが見て、そう思ったか、だ。
最後の部分が本人なら歴史は心表性があるが第三者ならかなり不確かなものになる。
その歴史で魂の根源、心は成長し、衰退する。
世界とは何か。
超新星爆発から再生し生まれ、そして超新星爆発に終わり再生する。
全ての星と呼ばれる存在は超重力体の核を中心に、物質を引き寄せ成り立っている。
恒星が超新星爆発の終わった後、姿を露わにした核をブラックホールとか呼んだ人間もいた様だがただ重力で物質を引き寄せ、再生している途中を観測したに過ぎない。
まだ未熟な世界は超新星爆発の因果の渦の中にいる。
恒星が起こした超新星爆発のエネルギーは光を超え、物質の時間を巻き戻す。
そう、あの世界は五十六億七千年の周期で超新星爆発を繰り返し、因果の渦にいるのだ。メビウスの輪から抜け出せない。同じ魂の根源が何度も何度も同じ事をくり返す。それを変える事は通常出来ない。
もう十万回以上は同じ様な歴史を繰り返しているのだ。
鶏が先か、卵が先か、とか、くだらない議論がある様だがどちらも不正解でどちらも因果の渦の中にいるが、もっとも近い答えだろう。
そしてそれが今回の犯罪の元になる。
一人の事象観測者がある世界の事象ポテンシャルを監視していた。
「ん?」
「どうしたの?」
同僚が声を発した人間に問いかける。
「新しいパターンが連続しているの。ポテンシャルは同じなのに」
「どういう事?」
「解らない。事元犯罪かも?」
「でもポテンシャルは同じなんでしょ?干渉があったらポテンシャルが変わるはずよ?」
「とりあえず、予測者に連絡するよ・・・」
また、面倒な事になりそうね・・・。
報告を受けた事象予測者、美月は頭を抱えていた。
事は最上級であるシュミレーターまで上がってきたのだ。
まだ、大丈夫な段階だけど、もしこのまま新しパターンが生まれれば・・・。
シュミレーターを操作しながらため息を吐く。
新しいパターン。これが良いものだとは限らない。最悪の結果は幼児への集団殺害だった。
もうすでに取返しのつかないものもある。
こんな事をするのはヤツしか考えられない・・・。兄さんなら何とかしてくれるかも・・・。
美月は輝の端末にすがる思いで情報を流すのだった。
「疑似タイムリープか・・・」
連絡を受けた輝は顔をしかめる。
疑似タイムリープとは事象を観測が終えている世界の人間に同じことを繰り返す人間の情報を記憶として与える事だ。つまり未来の記憶を与えたのだ。
なぜこの世界の人間が事象を予測できるのか?
それは何十万回も繰り返した世界の情報を端末に記録し、ポテンシャルから未来に起こる事を予測するからだ。
その精度は何もなければほぼ百パーセントだ。
通常は同じことを繰り返すので観測程度で済むのだが、今回は新しいパターンが生まれてしまった。
それが出来るのはこの世界の人間に他ならない。
「瑠奈」
隣に居た瑠奈が頷く。
視界が変わる。
本当はもう瑠奈にはゆっくりしてほしいのだが、こればかりは仕方がない。
「ヤツめ・・・」
輝の表情が厳しくなる。
「ありがとう瑠奈、戻って休んでな」
消える瑠奈を見送りながら輝は対応を頭の中で構築するのだった。
読んで貰ってありがとうございます。
あの世界とは現実世界の事です。




