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すみません。適正の説明が不十分でした。
適正必要なデバイス:アトミックバッテリーを使用した軍用兵器、リミッターがあり適正がないと出力を発揮しない。改造しようとすると自壊シークエンスが発動し、安全に自壊する。
核爆発程度の威力を持つ。まさに他の世界では神と呼ばれる兵器。
この世界の軍人は普通に使用できるが適正により威力が変わる。光適正は非常に希少。
適正が必要ないデバイス:検索用兵器 熊位から簡易な集合住宅ぐらいを殺傷、破壊できる。動力源は光子発電で光があれ充電可能。
第五十四世界で災害が起きて四日目。
強い余震が落ち着いた事もあり、今日から災害復旧作業だ。
これまでの三日間はそこまで被害が無かった周辺地域のインフラの復旧や被災された負傷者の治療などの対応に追われていた。
今回のシュミレーターの狙いはこの世界の大幅な反シュミレーター活動家の抑止だ。これはこの世界の人間にはけして話す事は出来ない。
本来ならば災害が起こっても負傷者は一人も出さない事は出来た。
しかし、この世界の情勢から地震が起こるまで全く手が出せなかった。なのでどうする事も出来なかったというのが実情だ。
俺の隊にはたいして作戦は伝えられていなかったが、他の隊には結構入念に立てられていた様だった。
まあ、被災者が六万人を超え、重軽傷者が一万人超えているのに死者が出ていないのはそれが物語っている。
初動は裏でホムンクルスを一万人程導入した様だった。これで五十憶ドル(※通貨の価値は現実のUSドル=百五十円に合わせいています。)が吹き飛んだ形だ。
災害発生時の避難誘導が出来れば後は少数の大隊で対応可能だ。
「にゃ~ん」
今日も瑠奈は猫と戯れている。
まあ、こんな状況で緊張感が無いと言えばそうなのだが、今回怖い思いもさせているし日頃俺が仕事で放置して寂しい思いもさせているので咎める気にはならない。
部屋の映像デバイスから今回の災害の報道が流れている。
対応する予算について、本星と折り合いがついた様だった。折り合いがつかなければこれ以上の対応は出来なかった。なので三日間もあの酷い惨状を放置するほかなかった。半ば強制的な感じである様だがこの世界での復旧費とは桁違いに安価なので納得してもらうしかないだろう。むしろ感謝してもらわなくてはならないか。
それに伴って反シュミレーター勢力への批判が高まっていた。
当初のシュミレーターの対策を受け入れなかった事により、この被害につながったのだ。
この世界の専門家たちも顕著で、シュミレーターの対策を行っていれば災害はここまで大きくならなかったと断言したのだ。
当然と言えば当然だ。
シュミレーターの対策費用十三億ドルに対してすでに八十億ドル以上の費用がかかっている。後の災害復旧費も合わせれは百億ドル程度は超える。
しかし、全く対応してなければ死者数は最低でも三百万人、一千億ドルの被害が出ていたと試算されているので対応は特価なのは確かな事だった。
シュミレーターのシナリオ通りなのだろうが・・・・。
「瑠奈、災害復旧に行ってくる。半日も掛からないと思うが大人しく待ってるんだぞ」
瑠奈はこちらを向いて頷いたが、すぐに視線を戻し再び猫をもふり始めた。よっぽど気に入ったようだ。帰る時が少し心配になった。
災害復旧は我が大隊によって行われる。総勢二十名。光適正を持つ者はその内俺も含めて六名だ。
俺達の世界の人間は他の世界の人間とは違う存在なのだ。簡単に言えば改造されている。
長い年月を掛け、遺伝子を改良・改造されている。
その中でもエネルギーを変換する適正を作り出し、人間にあたえていったのだ。
エネルギーは熱、動力、光に変換できる。
但し、すべての人間が同じようにエネルギーを変換できるわけではない。
もちろん全く変換できない人間もいる。いや、この場合は殆どの人間は全く変換できないといった方が適切だろう。
適正値は普通の人が一とすると、エネルギー変換率は殆ど皆無だ。
同じデバイスを使ったとしても適正値が低ければ全く威力を出す事は出来ない。
軍に所属する人間は適正値が高い人間なのだ。
現地を改めて見る。
酷い惨状だ。
俺は二十名程いる隊員に指令を出す。
「これより、町全体を一括で復元させる。その後、ライフラインの供給を随時指示せよ。不具合はその場で対応するように。少尉、隊の配置分担に不安はあるか?」
少尉と呼ばれた女性、天野咲が答える。
「ありません。準備は万全です」
「大変結構だ。では始めるぞ。各部隊に通知せよ」
俺は町に向けデバイスをかまえる。
「各自、対光フェイスマスクを着用せよ。カウントダウンを始める」
隊員の全員フェイスマスク着用を確認するとカウントダウンを始める。
零と共に眩い光が町全体を覆う。
光がおさまると惨状だった町が被災前の元の姿に戻っていた。
その光景を見た隊員は息をのむ。
相変わらず桁外れな能力だった。
町は元通りに巻き戻されたが、巻き戻せないものもある。
それは命をもつものたちだ。
主にペットなど救出できなかった亡骸を処理する必要があるのだ。他にも復元する範囲を最小限に留めている為、それを目視しながら復元する必要がある。
これが大変な事なのだ。
俺は隊に指令を出す。
「これより、行動を開始せよ。端部にはまだ巻き戻していない箇所もある。注意するように」
「「ハッ」」
二十人い隊員達は敬礼をすると各地に散っていった。
俺は対策本部に戻り、部下たちの報告を待つ事にした。
本部に戻ると一人の女性が複数人連れて騒いでいるのが見えた。確かこの世界に時空移動してきた時に見かけた活動家だった。
「復旧作業が行われたと聞きましたが何故私達のビルは元に戻ってないんですか!他は元通りになってるのに!」
受付している隊員が困っている、というより鬱陶しがっている様に見える。
「私には答える権限をもち合わせていません」
「じゃあ、答えてくれる人を呼んでください!」
全くもって五月蠅い。
「あのビルは緊急対応で消滅させた。元に戻す事は不可能だ」
フォトン・イレイサーを使った物質は理論上復元は出来ない。これはどうする事も出来ない事だった。
「は?、貴方はあの時の!。どうしてくれるんですか!私達はあれが無いと困るのですけど!」
「どうする事も出来ない。それだけだ」
「何故消滅させたのですか!。あれが無いと私達は困るんですが!」
「ではあのまま多くの人間が死んでいても貴方はあのビルを優先せよと?」
「そんな事を言ってる訳ではありません!。あなた達の対応が不味かったのではないですか!?」
「ここでその話をしても仕方ないと思わないか?頭を冷やせ。おい、この方々にお引き取り願え」
俺は、その場にいる部下達に指示を出す。
「ちょっと!何ですかあなた達は!離して!」
俺の答えに納得せず騒いでいた活動家達は俺の部下達から強制的にこの場から出て行ってもらった。
「少佐、お疲れ様です」
「全く五月蠅い連中たちだったな」
「あの様子だとまだ活動を続けそうですね」
「もう無駄なのにな」
俺は溜息をつきながら、席に戻った。
その後は順調に復旧作業が行われていった。
特に問題になるような事も無かった。
町の復旧作業が終わり、住民が次々と自宅に帰ってゆくのを瑠奈と眺めていた。
皆笑顔で感謝の声が聞こえてくる。
「あ、きなこ!」
小さな女の子が、瑠奈が抱いている猫を見て走って来た。
「にゃ~ん」
猫も女の子の事を見ると鳴きだした。
それを見た瑠奈は女の子が飼い主だと悟りに猫を渡す。
「おねいちゃん。きなこを助けてくれてありがとう!」
小さな子が瑠奈にお礼を言っている様だが、瑠奈は喋れないので俺の方を見る。
瑠奈の代わりに俺が女の子に話しかける。
「すまないな。こいつは喋れないんだ。どういたしましてってこいつは思ってるから」
「ありがとう!。おじさん!」
「ああ、気をつけてな」
俺は帰って行く女の子に手を振ってやった。
瑠奈も手を振っているが、髪飾りが少し青くなっていた。
俺はそんな瑠奈を見て、そっと頭を撫でてやった。
災害から数日たち、災害復旧の仮設も引き上げられ町はいつもの日常を取り戻していた。
元通りになった様に見えるが、住民の心境は大きな変化があった。
これまで自分達は他の世界から侵略を受けていると思われていたが、今回の災害で思い知らされたのだ。
あの世界とは争わず、仲良くやった方が良いという事に。
そして災害対応してくれたあの世界に心から感謝をしていた。
しかし、そんな中でも全く変わらない者たちもいた。
「私達は騙されています。シュミレーターと言われる人達に従うべきでは無いのです!」
街角でまだ現状を解らず騒ぎ立てている者がいた。
旧政治家だった活動家だ。
彼らは必死に住民に訴えかけているが、震災前は応援してくれていた住民に今までと全く違う反応に戸惑っていた。
全然相手にされないのだ。
それどころか、五月蠅いとヤジを飛ばされる事もしばしば見受けられた。
「どうして・・・・?」
今まで人気だった活動家はつぶやく。
今まで甘い言葉だけで人々を先導し、手を汚さず懐を潤していた者たち。
もう自分達が全く通用しない事を受け入れる事が出来ないでいる。
彼が現実を受け入れるのはまだ当分先の様だ。
俺達は本部に戻り、定期検査を受けた。
俺の検査結果は問題なく全て正常だった。
瑠奈の検査結果を見る。
最近はそれを見るのが怖くなっていたが、これは仕方の無い事なのだ。
検査結果
瑠奈 (ホムンクルス)
性別 女性
身体 問題なしA
精神 問題なしA
技能 問題なしA
年齢 二十八年 十一カ月
残り生命力 0.25%
推定寿命 約三百九十日
読んで貰えて有難うございました。
これで前章は終わりです。
後章は一応すぐに始めたいと思います。




