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悲劇の公爵令嬢に転生したはずなのですが…なぜかヒーローでもある王太子殿下に溺愛されています  作者: Karamimi


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第42話:あの女の思い通りにはさせませんわ~カーラ視点~

「それで一体、何があったのだい?まあ、カーラが僕の事を忘れるくらいだから、きっとリリアナ嬢に関係する事だろうね」


 さすがカシス様、私の事を熟知していらっしゃるわ。


「はい、実は…」


 今日令嬢たちから聞いた事を、カシス様に話した。話をしている途中、怒りがこみあげてきて、つい感情的になってしまった事は仕方がない。


「なるほど、もしかしたら証言している令息たちは、イザベル嬢と関係を持っているのかもしれないね。実は僕も以前、イザベル嬢に誘われた事があってね。僕にはカーラがいるから、もちろん断ったが、不愉快極まりなかったよ」


「まあ、カシス様を誘うだなんて、これは私に喧嘩を売っているという事ですね!増々イザベル嬢が許せなくなってきましたわ!」


 確かにカシス様はお優しいし見た目も素敵だし、勉学も武術も優れている完璧な方だ。でも、私という婚約者がいるのに、カシス様を誘うだなんて!


「カーラが僕の為に怒っているなんて、嬉しいな。僕はカーラ一筋だから安心して欲しい。でも、あの女、確かに許せないね。リリアナ嬢には僕もお世話になっているし、何よりも可愛いカーラをこんなに怒らせるだなんて。学院に撮影機を付けるのもいいが、もっと確実にあの女の悪事を暴く事が出来るよ」


 にっこり笑ってそう言ったカシス様。


「それは一体、どうすればよろしいのですか?教えてください、カシス様」


「そんなの簡単さ。あの女にスパイを付けさせればいいだけだ。僕に当てがあるあるから、任せてもらってもいいかな?」


「まあ、その様な当てがあるのですか?さすがカシス様ですわ。ですが、これ以上リリアナ様の評判を落とす訳にはいきません。早急にお願いしたいのですが」


「任せておいて、今日中に手配するよ。という訳で、この撮影機はもう必要ないね。さあ、僕の家に着いたよ。2人でゆっくり過ごそう」


 いつの間にか、カシス様の家に到着していた。確かにカシス様がスパイを手配してくださるという事だから、撮影機はいらないか…


 それにしてもあの女、私のカシス様にまでちょっかいを出していただなんて。絶対に許しませんわ!


 増々闘志がわいて来た。


 こうして私は、カシス様の協力の元、あの女の悪事を暴く事にしたのだった。


 そして数日後。


「聞きましたか、カーラ様。今度はリリアナ様がイザベル様に水を掛けたそうですわ。お可哀そうに、びしょぬれで泣きながら令息と私たちの元にやって来たのですよ。令息も止められなかったと、後悔していらして…」


「私はリリアナ様が、イザベル様を鞄で殴ったと伺いましたわ。お可哀そうに、顔が腫れておられましたわ。どうやら令息と一緒にいるところを殴られた様で、止められなかったと令息が嘆いておられました」


「まあ、イザベル様は随分と色々な令息と仲が良いそうですね。そうそう、私、面白い映像を入手いたしましたの。ご覧になられますか?」


 にっこり笑って令嬢たちに話しかけた。


「まあ、どんな映像ですか?是非見せて下さい」


「それではまずはこちらをご覧ください」


 食いついて来た令嬢たちに、ある映像を見せた。その映像には、自分で水を被っているイザベルの姿が。さらに令息に


 “リリアナ様に水をかけらえたという事にして下さいね。お願いします”


 そう言うと、笑顔で令息に口づけをしたのだ。すっかりメロメロになった令息が、嬉しそうに頷いている。


「次はこちらですわ」


 今度はイザベルが自分の顔を思いっきり殴ったのだ。


 “痛いわ…でもこれで、殴られた様に見えるでしょう?あなたはリリアナ様に殴られたところを目撃した、止めようと思ったけれど止められなかったと証言して頂戴ね”


 そう言って、またまた別の令息に口づけをしたのだ。こちらの令息もメロメロで、嬉しそうに頷いている。


 さらに自分で教科書をびりびりにしている映像や、他の令息とイチャイチャしている映像も合わせえて見せてあげた。


「イザベル様は、随分と演技派なのですね。全て自作自演だっただなんて、驚きですわ。そういえばこちらに映っている男性、あなた様の婚約者ではなかったかしら?」


 コテンと首をかしげて、1人の令嬢に問いかけた。


「はい…間違いなくマックス様ですわ…まさかイザベル様と、こんなふしだらな事をしていただなんて…カーラ様、この映像をお借りする事は出来ますか?」


「ええ、もちろんですわ。それにしても、酷い婚約者ですわね。こんなにお可愛らしい婚約者がいるのに、他の令嬢にうつつを抜かすだなんて。でも、誘ったのはイザベル様の様ですわね。随分令息がお好きな様で」


「本当ですわ。まさか令息たちと体の関係を持ち、その男たちに嘘の証言をさせて、リリアナ様を陥れようとするだなんて、信じられませんわ」


「リリアナ様がそんな酷い事をするはずがないのに、私ったらまんまと騙されておりましたわ。なんと恐ろしい方なのでしょう」


「私なんて、婚約者を陰で寝取られていただなんて…」


「カリアン様、しっかりしてください。それにしても、イザベル様、許せませんわ!」


「皆様、落ち着いて下さい。きっとリリアナ様はお優しいので、誤解が解ければいいとお考えですわ。どうかあまり大事になさらずに。ただ、もしまたイザベル様の嘘を信じていらっしゃる方がいらしたら、真実を教えて差し上げて下さいね」


「「「「はい、もちろんですわ」」」」


 よほどこの映像にインパクトがあったのか、あの後リリアナ様を悪く言う人はいなくなった。そして密かに、イザベルの評判はがた落ち。


 婚約者を寝取られた令嬢に至っては、婚約破棄の事態にまで発展している様だ。


 まあ、自業自得ね。リリアナ様を陥れようだなんて、百億年早いのよ。これでやっと、平和に暮らせるかしら?

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