表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知恵の輪  作者: ふくろう
1/1

知恵の輪


「皆さま、ご多忙の中お集まりいただきありがとうございます。

本日は日々ご活躍されている皆様の為のちょっとした慰労会となっております。

ぜひ、ごゆるりとお楽しみください。」


都内一等地にある高級ホテルのパーティー会場で、この会の主催である望月賢也の挨拶をきっかけに

パーティーは始まった。


周りの人々を見渡すとモデル、俳優、プロスポーツ選手、政治家など著名人ばかりが出席している。

望月は先ほど ちょっとした と言っていたが並んでいる料理はどれも高級感に溢れている。

数歩先には別世界の景色が広がっているのだが、こっちは警備員として入口に立っているだけである。


「お前は中の警備かよ。こっちは外の巡回だぜ。俺もひと目見てみてーな」


とさっき先輩にいわれたが、目の前に華やかな世界を見せつけられのもそれはそれで辛い。


望月が挨拶周りをしているのか、各テーブルを順番に回っているようだ。最初は一人だと思っていたのだが

隣に美女を伴っていた。おそらく奥さんなのだろう。こうまで完璧だと望月に対して嫉妬心さえ湧いてこない。完全に別世界の人だ。


入口付近のテーブルに彼らがやってきて、なにやら楽しそうに会話を始めた。ほんの一瞬だが彼女と目があってそして、驚きの表情を浮かべながらこっちへ向かってやってきた


「あなた、私のことが見えるの?」


非常によくないと思う。さっき 別世界の景色が広がっている とかは思っていたけど、行きたいとは言っていない。個人的に今の生活で満足しているのだ。


「今更、無視はできないんじゃない」


「なにか御用でしょうか」


「いえ、今のところはないわ。今回は楽しみね」


それじゃ。と言って彼女は立ち去ってしまった。今の会話はなんだったのだろうか。今のところ と彼女は

言っていたけど、いつか用がある時がくるのだろうか。それにあの質問の意図はなんなんだろうか。

そんなことを考えてるうちに仕事は終わった。さっきのことは忘れよう。仕事中の妄想と現実を混同してしまったに違いない。


「お仕事、お疲れ様」


恐る恐る振り返ると案の定、例のあの人が立っていた。


「お疲れ様でした。素晴らしいパーティーでしたね」


「あら、それは何より。それでね、これなんだけど次のパーティーの招待状。今度は自宅でやるからぜひ


来てちょうだいね。」


と言って、そっと赤い封筒を僕に手渡してきた。


「仕事の依頼は会社を通して頂きたいのですが・・・」


「仕事じゃないわ。プライベートで友達どうしでやるから」


彼女の纏う雰囲気といい怪しさは満点で断ろうと思っていたのだが、そんな思いとは裏腹に

行きます と返事をしてしまっていた。もう僕は引き返せないところまで来てしまっているのかもしれない


後日、一張羅のスーツに身を包んだ僕は望月の家に来ていた。都心の一等地に建てられたその建物はとても荘厳で美しく、簡単には人を寄せ付けないような魔力みたいなものを備えているように感じた。なかなかインターホンを押す勇気を持てず、玄関の前でウロウロしていると


「そんなに怖がらなくてもいいじゃない」


とあの時の女性が僕を迎えてくれた。不意を付かれた僕は焦りながら手土産を渡そうとしたのだが


「もっと怖い目にあうのに」


どういう意味ですか、と聞き返す間もなく僕の意識はなくなっていった。


気がつくと強烈な光が目に飛び込んできた。思わず手で光を遮ろうとするも全く動く気配がなかった。どうやら縛られてるらしい。


「おい、なんで意識を取り戻してる」

「この子は霊感が高いみたいだからね。いろいろ経験させてからにしようと思って。」

「ふーん。というかその能力は俺に必要なのか?」


ギロリと音が聞こえてきそうな強烈な視線に僕は思わず目を逸らす。

才能なんてあればあるだけいいんだから と彼女は微笑みながら僕の頭を撫でる。まるでペットのように


「じゃあなんでここに連れてきたんだ?」

「さっき思いついたから。今日はもう作業はないわ」


時間を無駄にした と舌打ちと共に言葉を吐き出した彼はどこかへ消えていった。

助かったのか・・・この女の人はどうやら僕に危害を加える気はなさそうだ、すくなくとも今は。

ガシャンという大きな音が響いたと同時に体が軽くなった。どうやら拘束が解かれたようだ。

心の中では今すぐにでもこんな場所から逃げ出したいと思っているのだが、体が全く動く気配がなかった。

それからどれくらいの時間がたったのだろう。ある程度の心の落ち着きを取り戻し、改めて周りを見渡すといわゆる病院の手術室みたいなところだった。個人宅にこんな部屋があるのもおかしな話だが、周りにたくさんのカプセルがありその中に脳みそが浮かんでいた。


「これは・・・なんですか」


「私の実験材料ね。ヒトの脳味噌同士で記憶の共有が可能かどうかのね。」


「どういう意味ですか?」


「あなたが理解する必要はないわ。とりあえず着いてきて」


そこからはいわゆる お化け をたくさん見せられた。それらが実在することもビックリなのだが、彼女曰く有名なお化けは人の精神エネルギーを利用して?出現することができるらしい。また、オカルトの勉強をたくさんやらされた。やる気なんて微塵もなかったが、それしかやらされなかったので少しずつだが知識は増えていった・・・





こんなこと書かせて何の意味があるんですか


ヒトって意味を聞くのが好きね、私の趣味よ。ヒトの感情を知るのに便利だしね。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ