2-1 勲章をもらう人達は何をした人達なのか
電子タバコを吸う若者達。ビルの前の広場の真ん中で、ぐったりしている。あれは、トブ大麻を吸った姿である。今、ボクはそれを売った金で暮らしている。
「ああいう連中とはつるまないほうがいいぞ。身を亡ぼす」
そうボクに言ったのは知溜さん。ボク達、深紅王のメンバーは大麻を育て、蒸留処理をして、高濃度大麻オイルを精製して、それを様々な形で売っている。今、知溜さんと共に向かっている場所は、ヨガスクールである。そこのヨガスクールでは、大麻オイルアロマを使い、生徒達をトリップさせているのだ。なんとも悪質な感じであるが、今回、ボク達が向かう理由があった。それは、金の未払いが生じていたからである。ヨガスクールは儲けているはずであるのに、支払いを渋っている。それは契約違反なのだ。
「いいか、そこのヨガスクールの講師、オマエカワ大菩薩と呼ばれている人物は癖のある人物だ。気を付けるんだぞ」
知溜さんはそういうのだが、どう気を付ければいいかよくわからん。とにかく、そのヨガスクールのある雑居ビルに到着。ボク達はエレベーターに乗り、3階に上がり、ヨガスクールのドアをノックした。中からどうぞと声がする。ボクらはドアを開けて入る。
「あれまあれま、これはこれは~・・・えーっと・・・」
「馬萩田だ」
「あ、ああ~、馬萩田さん、お久しぶりです~・・・それと・・・」
「こっちは新入りの夏水だ」
「あ~はいはい、夏水さん、はじめまして~」
なんか、おっとりとして、とぼけた感じの女性だ。でも、スポーツウエアを着ていて、体のラインはスマートで綺麗だ。
「わたしが~、ヨガ講師をしています~、オマエカワ大菩薩です~。よろしくお願いしますね」
尾前川さん?はお辞儀した。
「そんな事より、オレ達が来た意味、わかんねえのか?」
睨みをきかせる知溜さんに反して、尾前川さんは笑顔を浮かべた。
「何を言っているのですか?お金なんてもう、必要ありません。すべては、神仏の名のもとにおいて平等であり、万物は分け与えられるもの。そう、あなた達は大麻を別けてくれているのです。それが、あなた達のカルマを落とすのです。さあ、もっとカルマを落としましょう」
ああ、いかれてやがる。ヨガスクールがカルト化しておった・・・
「人類皆兄弟です。皆の物は皆の物です。全人類の財産は共同の財産です」
「何ふざけたことぬかしやがって!」
知溜さんが尾前川さんにつかみかかろうとした時だった。
「ヨガ火炎放射!」
尾前川さんの口から炎が噴き出した!そして、ボクらがひるんだすきに、尾前川さんは座禅を組んで、空を飛び、窓ガラスを破って外へ飛び出した。
「な、なんですかあれは!」
「追うぞ!金を払ってもらうんだ!!」
割れた窓から外を見れば、繁華街の上を座禅を組んだまま尾前川さん飛行している。その後頭部には光の輪が出ている。後光だ。しかし、あれをどうやって捕まえればいいのか・・・足元にあったヨガマット。これを勢いよく投げつけて見た。ヨガマットは回転しながら一直線にオマエカワ大菩薩目掛けて飛んで行く。
「無駄です」
オマエカワ大菩薩は手をかざし、ヨガマットを念力で止めた。ヨガマットが宙に浮いたまま制止している。だが、これはチャンスかもしれない。ボクは素早くそのヨガマットに飛び移った。そして、ヨガマットを踏み台に高く飛び上がり、オマエカワ大菩薩の頭上に至る。重力に身を任せ、オマエカワ大菩薩めがけて一直線に落下する。
「ヨガビーム!」
オマエカワ大菩薩は目から光線を放つ!ボクは素早くハンドバッグの中にあるコンパクトファンデーションを取り出し、その鏡で光線を反射させた!
「テクマクマヤコン返し!!!」
反射した光線を浴びたオマエカワ大菩薩は煙を上げながら落下。ボクも落下。オマエカワ大菩薩はそのまま地面に激突。ボクはにゃんぱらりと掛け声をあげつつ体をひねり、回転させ、体制を整え着地する。キャット空中三回転である。
ボクは少し小麦色に日焼けしたオマエカワ大菩薩を捕まえた。日サロより効率よくこんがりとやけたものである。
この後、駆けつけた知溜さんがたっぷりと尾前川さんをしぼって、何とか資金は回収できたのであった。
「いや~、やっぱり、葉月くんを連れて来てよかった・・・」
「でも、こんな超能力使う相手なら、事前に言ってくださいよ~・・・」
「ああ、すまんな。あそこまでやれるやつだとは思っていなかったものでな」
兎に角、無事に集金出来てよかったぜ。めでたしめでたしだぜ。




