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チョビ髭の屋敷その1

チョビ髭の邸宅に捕まっている人達を保護に向かったマヌカが目にしたものは…

間もなく日が暮れる夕暮れ時に、

チョビ髭の邸宅前にワープして来たマヌカの目に留まったのは、

高く何処までも長い塀だった。

(なんじゃ~こりゃ~刑務所みたい…

それに…夕日のせいかみょ~に物悲しい感じがするんだけど…

あれ?意識体はどこ?意識体を追ってワープして来たのにいないじゃん)

そんな事を考えながらキョロキョロしていると…

突然この場所に似合わない大きな声がして来た。

『キャ~~~~はっはっはっは~~~』

『プゥ~~~』

『ア~~ハハハハハ』

『もう一回もう一回今度は勝!』

(なんだ~~?塀の向こうから聞こえる)

マヌカは怪訝な顔をしながら、

フワフワと浮かび上がり塀の中を覗いて見ると、

塀の中で5体の意識体が円陣を組んで、

色々な動きをしながらお互いを煽っている様だ、

(塀の端っこで何をやってるんだあいつら…)

マヌカは意識体に近付き大きな声で驚かす、

「バァ~~~~」

マヌカの大きな声に驚いた意識体達は一斉に吹き出す、

『ブッハ~~』

『キャ~~~』

『なに~~~』

マヌカに気が付いた意識体達が、

『やだ~~マヌカちゃんか~』

『あ~~驚いた~』

マヌカは驚いてる意識体をガン無視をして、

「こんな所でな~にをやってるの?

誰も居ないから心配してたんだぞ~」

『だって~ここさ~マヌカちゃんも分かるでしょ?』

『そうそう居心地悪いんだよね~』

『屋敷の中なんか最悪なんだよね~

だからみんなで外に出てマヌカちゃんを待ってたんだけどさ、

静かに待ってると空気が重くなるって感じ?』

『重くなるし苦しい感じ?

だからみんなで誰が一番静けさに耐えられるかゲームをやってたわけ~』

「なんだそりゃ?」

『だから何も言わないで黙ってて、

一番先に声を出した人が負けってゲーム』

『そうそうこの静けさが耐えられなくなって声を出しちゃうの』

『暗かった気持ちもいつの間にか笑えるゲームになってたんだよね~』

興味なさそうにマヌカが「なるほどね~」と答える、

マヌカの反応を見た意識体達は、

『なに~マヌカちゃん!

待ってる間私達本当に辛かったんだから、

来るの遅すぎ~~』

「え~トゥーリア星では待たせても何も言わなかったのに」

『何言ってるの、

ここはトゥーリア星と全然違うよ…何かがキモイって言うか』

「ま~この星に入り込んでた奴らが純粋悪で、

700年かけて色々やってたみたいだからね~」

その言葉に意識体達がプルプル震え出し5体で固まると、

『だからあんな事平気で出来るんだ』

『うんうん』

『純粋悪って本当に存在するんだね』

「そんなコソコソ話しないであたしにも聞かせてよ」

意識体達はマヌカを囲んで、

『私達からは説明したくないし…

それよりも口にしたくない』

意識体達は『そ~だ、そ~だ』と言いながら、

マヌカのフードの中に入ってしまった。

「ちょっと何してるの?」

『あ~やっぱり中はこんな感じだったんだ』

『ローブで周波数抑えてる事は分かってたけど…

ローブの中はマヌカちゃんのエネルギーでいっぱいなんだね』

『はぁ~~いい気持ち~~』

意識体達は温泉にでも浸かっているような事を言い出した。

「そんなに酷いの?

さっき浄化も再生もしたから良くはなったと思うんだけど…

確かにこの敷地内は感じ悪いね~、

だからこそさっさと村人の保護に行こう、

先ずは牢屋に入れられてる方を保護したいんだけど」

『あ~~あの方たちね…

屋敷の裏に大きな広場?裏庭?みたいのがあって、

そこに建ってる木造の建物が牢屋と兵舎とか言ってたかな』

ちゃんと説明するのが嫌なのか…

思い出したくも無いのか…

意識体達は冷たい声で答えていた。

「おっけ~~じゃあ屋敷の裏に行ってみよう」

意識体達はお化け屋敷に入るかの様に、

フードの中で『キャ~キャ~』言ってる、

「うるさい!そこで騒がない!」

マヌカは意識体を叱りながら周りを見渡してみるが…

屋敷の前は花壇や植物の無いただの殺風景な広場、

地面は水分を含んでない砂地になっている、

「おかしいね~浄化と再生の効果があまりない?」

『そんな事は無いよ、

浄化の前はなんかドロドロ見たいな空気が漂ってたし』

「ふーん」

そんな会話をしながら屋敷の裏に向かってフワフワと飛んで行くと、

屋敷の裏庭について最初に目に入ったのが凄い数の倒れた鎧、

「何だこりゃ?ゴミ捨て場?」

『違うよそこの鎧は浄化前は、

動いてたし中に人が入ってたみたいだったよ、

それが浄化のエネルギーが流れて来た途端、

ガラガラって倒れたんだよね~』

『そうそうあれだけは面白かったよね~』

意識体達は『ケラケラ』笑いながら、

『あそこに建ってる建物が牢屋だよ、

私達は中に入りたくないな~』

「それじゃあフードから出てってよ」

マヌカの言葉に

『イヤイヤ~』と我儘を言っている、

「どっちなんだい!」

マヌカは意識体を無視して、

牢屋と言われた建物に近付きドアをゆっくり開ける、

ドアを少し開けただけで凄まじい悪臭がして来て、

思わずドアを閉めてしまった。

「本当にここが牢屋?ゴミ捨て場じゃ無いの?」

『だから入るの嫌だって言ったじゃん』

『牢屋だって~中は酷いもんだよ』

マヌカは「まじか~」と呟きながら、

自分の周りに結界を張って悪臭対策をした。

そしてドアをゆっくりと開けて中を覗いて見るが、

小さな窓が1つしか無く換気も出来ない状態で、

夕暮れのせいもあって中は暗く何も見えない状態だった。

「これじゃ良く見えないね」そう言って、

光の玉を出して建物の中に放した。

明るくなった部屋には大きな鉄格子があって、

その中に人が3人項垂れた状態で並んで座っていた、

近付いて良く見てみると…

汚いトランクスの様なパンツ1枚だけの姿、

体中に血や泥がこびり付いていて年齢も分からないような状態、

左に座っている人は左手を肘の位置から切断され、

左足も膝から切り落とされていた、

真ん中の人は両足を切断されている、

そして右に座っていた人は両手を切断、

切断された場所は何の治療もされて無く、

止血の為に布で縛ってあるだけだった。

「酷いな…壊死も始まってるみたいだけど、

いつ切られちゃったんだろ…

相当な痛みだったろうに…」

『きゃ~きゃ~マヌカちゃん怖いよ~』

『ここに残ってる思念が~~』

「何言ってるの、

フードの中まで思念なんか入って来ないでしょ、

急いでこの場所から彼らを連れ出すから」

マヌカは鉄格子に触れると、

鉄格子は音も無く消え去って行く、

座っている人達の側に行って顔を覗かせて見ると、

彼らはまだ若く22、23歳に見えた、

マヌカは目が細まり「直ぐに助けるからね」と声を掛けると、

地面に両手を当てて、

「エリアワープ」そう呟くと光を放しその場から消え去って行く、

ワープした先は農村に作った治癒用の魔法陣の上、

魔法陣の上に姿を現した途端に3人の治癒が始まる、

3人の体が光出し切り落とされた手や足が元の状態に戻って行く、

魔法陣の周りで待っていた村長達が突然現れたマヌカ達に驚いていたが、

光の中にいる3人の人の顔が見える様になると村長が、

『ジョーイ~カイル~ユージン~』

そう叫んで魔法陣の中に走り込みそうになったのを、

魔法陣の周りで控えていた分身体達が村長を止める、

マヌカも村長に気が付いて、

「村長さん、治療が終わるまで待ってて」

『治療ですか?いったい何が』

村長はそう言いながら心配そうな顔で彼らを見つめる、

そこへ鎧兵士だったアルベル達も来て、

『あああ~~ジョーイさんカイルさんユージンさん

良かった~~良かった~』

そう言ってうずくまり泣き出してしまった。

治癒が終わって光が収まって来ると、

意識体達がフードから出て来て

大きく息を吸う『スゥ~~~ハ~~~』

『あ~生き返った~~空気がいい~~』

『ほんとうだね~~ああ~~あそこ見て』

『おおおお~大きなオオカミがいる~~』

きゃ~きゃ~騒ぎながら意識体達は、

土地神迄飛んで行ってしまった…

呆れた顔で意識体を見送ってたマヌカは

「相変わらず自由だな~

村長さんもう少し待ってて~」

マヌカは分身体達に向き直って、

軽く頷くと分身体達も頷き保護した3人の体を軽々持ち上げて、

風呂に向かって走って行ってしまった。

その姿に村長が『あああ~~』と叫んでいる、

「村長、彼らパンイチで凄く汚れてたからちょっと待ってて、

彼らはもしかして息子さん?」

『そうです、私の息子たちです』

そこへアルベル達もやって来て、

『村長!ジョーイさん達僕達を守る為に酷い目にあって…』

そう言いながらまた泣き崩れてしまう、

「その酷い目は全部綺麗に治療出来てるから安心して」

マヌカの言葉にアルベル達は顔を上げて、

『だって…だって手や足が…』

「大丈夫、妖精の力で元に戻ってるから」

マヌカはそう言ってウンウンと頷いて見せた、

そこに関係ないボンタが凄い勢いで飛んで来て、

『マヌカ~~何で置いていった~』

「え~直ぐに戻って来るからいいじゃん」

『それでも連れてけ~』

「分かったよ、でも邪魔しないで、

それとあたしの側から離れない事を約束して」

ボンタは嬉しそうに『分かってるって』答えている、

そんな中、村長の息子たちは綺麗になってこちらに歩いて来た。

村長やアルベル達は走り出して息子たちに抱きつき、

泣いたり喜んだり忙しそうにしている。

マヌカはそんな村長達を嬉しそうに眺めながら、

「ボンちゃん行くよ」

そう言ってボンタの手を掴むと、

また屋敷に向かってワープして行った。

すっかり日が暮れてしまった農村に、

ワープの光が輝きマヌカとボンタは消えて行った。




読んで頂きありがとうございました。

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