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ヒエラルキー

トゥーリア星では人との接触を取らない様にしていたマヌカだったが、

ボンタ星ではそうも行かないようだ…


ボンタ星に来て早々忙しく飛び回るマヌカ、

星の住人が食料を確保できる様に各国の中心部の浄化と再生をして回った。

最後に来た国は問題が多そうなパラディオ国、

パラディオ国に着いた時はすっかり明るくなっていた。

パラディオ国の中心は王都になっていて上空から眺める景色は、

中世ヨーロッパの街並みの様だ。

「なんじゃこれ?中世ヨーロッパ?

やっぱり地球の影響みたいのが有るのかな?

王都って事はさ~王様が居るんでしょ?

その下に貴族とかもいて…ヒエラルキーが有るって事?」

そんなマヌカの呟きにボンタが

『ヒエラルキー?』

「階層とか階級って事…縦社会」

『なんじゃそりゃ~』

ボンタの言葉に眉をひそめて睨むマヌカに土地神が

『人間関係に上下があるって事ですよボンタ様』

『上下関係ね~なんの為にそんな風にするんだ?』

「さ~上に居る人が下の者に対して優越感を感じたい為?

あたしにもよくわかんない…

上の者が下の者を守ったり面倒見たりするなら有りなのかとも思うけど…

あたしは反対だねヒエラルキー構造は」

『ここを作ったエレメントは、

そんな概念組み込んで無いからおいらには分からん』

「でしょ~ね!」そう言ってマヌカは軽くため息を付くと、

意識体から声がかかる、

『マヌカちゃん大変だよ赤ちゃんが死にそうになってる』

「え?まじ?停止させといて」

違う意識体からも声が掛けられる

『マヌカちゃんこっちも死にそうな人いっぱいいるよ』

「いっぱいってどう言う事?」

『あっちこっちに居るって事』

「取り敢えず停止しといて、

みんなもそうしてね~~順番に回るから」

『あい~』

『は~~い』

『りょうかい~』

死にそうな人が居るって言うのに…

意識体の返事は軽い、

赤ちゃんの命って聞いて急いでワープしたが…

そこは見渡す限り乾いた土地に古びた家が何軒か建っている農村だった。

王都はレンガで作った家が立ち並んでいたが、

ここの農村の家は木造でボロボロだった。

「これって…人が住んでるの?」

土地神の背中で寝そべっているボンタが、

『酷い状態だな~』

「ボンちゃん他人事かい?」

『そんな事は無いおいらだって心配してるんだ』

周りを見渡してた土地神が

『マヌカ様こちらの土地神も随分と力が無くなっているみたいです』

「え?オオカミさん分かるの?

あっもしかしてここの土地神様も同種なの?」

『いいえ我らとは違う土地神です。

確かここら辺はヘビの土地神が守っているはずだと思うのですが、

ボンタ様そうですよね?』

ボンタが『へっ?』って言ってとぼけた顔をして、

『う~~んここはヘビと何かだった様な~』

「使えねぇ~星の意識はちゃんと把握してるんじゃ無いの?」

『マヌカ!この星は凄いんだぞ!

おいらが把握して無くてもな~土地神がぜ~~んぶやってくれるんだ』

「そんな情けない話偉そうに言わないでよ、

土地神様達が甘やかし過ぎなんじゃ無いの?」

マヌカの言葉にオオカミは焦り

『甘やかすなんて事は無いですよマヌカ様、

この星の土地神達が優秀なんです、

特に龍種は特別な力が有りますから』

「なんだって?龍種って龍がいるの?

ドラゴンじゃ無い龍って事?」

『ドラゴンとは?』

「湖の瘴気からでかいのが出て来たじゃん、

あんな感じをドラゴンって言うの、

でも龍ってのは長くって~空も飛んじゃうみたいなやつ」

『それです、それがこの星にいる龍種です』

それを聞いたマヌカは感動して口をあんぐりと開けて、

「まじか?龍がいるのか?」

『まじだぞ~いるぞ~サクラ達がいる国はその龍を敬っているからな、

だからリュウ国って名前なんだ、

マヌカが浄化した湖に龍が住んでいたから関りを持ってたんだろな』

「へ~あの湖にねぇ~大きな湖だとは思ってたけど…あの湖にね~」

『何だよ、何か意味ありげな物言いしやがって、

何か有るんだったらおいらにもちゃんと説明しろ』

偉そうなボンタを見つめながらマヌカが何か言おうとした時

『マヌカちゃん!赤ちゃんが死にそうだって言ったじゃん、

何でこんな所でだべってるのよ』

突然現れた意識体に怒られて「はっ」っとしたマヌカは、

「ごめんごめん、ここがあまりにも酷い状態だったから、

唖然としちゃったのと…ボンちゃんが偉そうだったので…」

『偉そうってなんだよ、関係無いだろが~~』

ボンタが叫んでいたがマヌカは、

無視して農村に向かって意識体と飛んで行ってしまった。

意識体に案内されながら農村に入り込んだが、

人が住めるような状態では無かった。

家は傾き所々穴が開いていて、

(雨や風が防げるのか?)

気温が下がったりしたら寒さも防げるのか疑問な家だった。

そんな家の1つに意識体が入って行って、

奥の部屋へとマヌカを案内をして行く。

そこでマヌカが見た物は…


部屋の窓際に置かれているベットには、

産まれて間もないであろう赤ちゃんが横たわっていて、

ベットの横には赤ちゃんの両親であろう男女が祈る様に、

赤ちゃんの小さな手を握っている。

マヌカは赤ちゃんに近付き状態を診て顔をしかめる。

「産まれて数日って感じだけど…」

赤ちゃんを診てから両親に目を向けると、

2人ともガリガリに瘦せ細り目も窪んでまるで生きた屍の様だった。

「このお母さんこんな状態でよくお腹で子どもが育ったね?

出産も大変だったろうに…」

そんな事を呟いているとボンタがフワフワと遅れて入って来た。

土地神は体が大きく入れなかったので窓の外からこちらの様子を伺っている。

ボンタはガリガリの親子の姿を見て愕然として。

『マヌカ…こいつら何があったんだ?』

「ろくに食べられなくって栄養失調のうえに、

子どもが出来て出産したから母親も死にそうになってる、

こんな状態じゃ母乳も出ないだろうから、

折角産まれた子も死にそうにで…」

マヌカは手のひらを赤ちゃんに乗せて体の状態を診てみると、

内臓がちゃんと機能してなく、脱水状態にもなっていた。

「内臓に問題あり…産まれて来たのも奇跡だし、

親子そろって今無事でいるのも凄い奇跡だよ…

ボンちゃん…なんでこんな事になったんだろう?

最初に会ったリュウ国の忍者みたいのは元気だったし、

体格もりっぱだったじゃん、

なのに何でこの人達は食べ物が回って来てないの?

星の実りは平等に与えられてるはずでしょ?」

マヌカの話を真剣に聞いていたボンタは、

『そうだよな…そうなってるはずなんだよ、

なのに何でかっておいらが知りたいよ…

マヌカこいつらは助かるよな?』

真剣な顔でマヌカに詰め寄る、

「ボンちゃん…

何が何でも助けるよ大丈夫」

『おいらさ、ここまで酷い状態だって知らなかったんだよ』

「え~自分の体の事なのに?」

『はぁ~?

じゃあマヌカは肉体に入ってた時に、

頭の髪の毛一本の状態が悪いって感じ取れたか?』

(頭の髪の毛一本?)

「なるほど~そんな感じなのね?

でも名前は分かってなかった?

まっいいか、心配しないでちゃんと健康な体に治すから、

意識体ちゃんここには他の住人もいるの?」

『いるよ、全部の家に家族が数人で住んでいる、

みんなガリガリで死にそうな感じは有るけどね~』

「そっそうなのか…まっまずはこの親子から健康体になってもらおう」

マヌカは浮かび上がり親子3人に向かって治癒エネルギーを注ぐ、

3人は光に包まれて行くと、

骨が浮かび上がっていたガリガリの体に肉がついていき、

血色の良い顔色になり、

赤ちゃんは赤ちゃんらしいふっくらほっぺになっていく。

そんな様子をみていたボンタが、

『おお~顔に肉が付いて行くな~』

マヌカはニッコリと笑って指を鳴らして一時停止を解除した。

親子3人の時が動き始めると最初に声を上げたのは、

赤ちゃんの力強い泣き声だった。

『オンギャ~~オンギャ~~』

その鳴き声に母親はビックリして赤ちゃんを抱き上げる、

その時ベットの上でニコニコ笑いながら浮かんでいるマヌカに気付き、

『えええ~~天使様?』

父親もマヌカに気付いて

『ああ…俺達とうとう死んでしまったのか…

産まれたばかりの子どもを助ける事が出来なかった…』

そう言ってオイオイと泣き始めてしまった。

そんな父親の姿を見ていた母親も泣き始める。

親子3人が泣き始めてしまったのでマヌカが口を開く、

「あの~赤ちゃんがお腹空かせて泣いているので~

母乳を飲ませてくれませんか?」

マヌカの言葉に母親が

『飲ませてあげたいのですが…

私は栄養不足で母乳が出ないのです』

「え~~良く見て下さい、

お胸が母乳でパンパンになってて漏れてますよ~

服にもしみ込んでいるし~」

そう言われて母親は自分の胸を見て

『ああ…母乳が出て来た』そしてまた涙を流す。

「赤ちゃん泣いてますよ、早く飲ませないと」

母親は『はっ』として赤ちゃんに母乳を与え始めた。

父親は勢いよく母乳を飲む我が子を見つめて、

『良かったな~良かった…』そう言って大粒の涙を流している。

ボンタが父親に近付いて、

『アランド良かったな~』そう声掛けた。

父親は突然現れた人形に声を掛けられて驚き、

『え~え~え~この人形はなに~

なんで俺の名前を知ってるの~』と叫ぶ、

『人形って失礼だな~アランド、

おいらは星の意識だぞ~星に産まれた子の名前ぐらい知ってるぞ~』

『ほっほっ星の意識って~何だよ~』

そう言いながら父親は何かの気配を感じ窓の方を見ると、

『ひゃ~大きなオオカミが~~~』そう叫んでしまった。

その叫びに母親も窓を見て硬直してしまった。

そんな騒ぎを気にもしないでゴクゴクと母乳を飲み続ける赤ちゃん、

さっきまでの暗く重い空気は何処かへ飛んで行ってしまった。

「ア~ハハハハハ~人形さ~ん~」

『マヌカ笑うんじゃね~』

「お父さんもお母さんも心配しないでいいですよ、

このお人形さんは本当に星の意識様で、

窓の外のオオカミさんは土地神様です」

硬直したまま母親が聞いて来た。

『星の意識様に土地神様…

やはり私達は死んで天界に来てしまったのですか?

それと…あなたはどなたですか?』

そう言ってマヌカに尋ねる、

「あたしですか?え~~とあたしはですね~

土地神様は精霊みたいな感じだから…

ん~~~あっそう妖精です~~」

その言葉にボンタが呆れて

『何が妖精です~~だ~~~お前の正体は~~』

マヌカはボンタの言葉を遮り、

「ボンタ!うるせ~よ、だまれ」

『はぁ~~?』

2人は顔をくっつけて睨み合い両手を掴み合い硬直状態になる、

窓の外から土地神が呆れた感じで、

『ボンタ様とマヌカ様今はそんな事やってる場合じゃ無いでしょ、

この家族は元気になったけど、この先の事考えないと』

マヌカはチラっと赤ちゃんを見ると、

お腹がいっぱいになったのか幸せそうな顔で眠っている。

「そうだったね、ボンちゃんと遊んでいる場合じゃないか」

そう言ってボンタから手を離して母親に向かって声を掛ける、

「これでもう大丈夫安心して子育て出来るからね」

マヌカはそう伝えると窓から外に出て行き、

村の中心から治癒エネルギー流す、

「これで村の人達の体は健康体になった」

満足げにしていると土地神が

『マヌカ様、ヘビの土地神が苦しそうなので、

ここら辺の土地も浄化して頂けないでしょうか?』

「あっそうだね浄化も再生も今すぐやるよ」

そう言って高く浮かび上がり両手を広げ浄化と再生をしていく。

宇宙から降りて来るエネルギーを土地神は感じ、

またもや遠吠えをするのであった。

干上がった元畑には野菜が実り、

近くの森からは青葉の香りが運ばれてくる。

何が起きたのかと若い夫婦は外に出て来て周りの変化に驚いていた。

『これはいったい…何が起こったのか…』

夫婦は周りをキョロキョロしている。

ボンタも家から出て来てマヌカに向かってフワフワと飛んで行き、

周りの土地の変化を眺めて、

『マヌカ、畑になってる野菜はなんだ?

おいらも見た事も無い野菜がはえているんだが…』

「今はお腹がいっぱいになる事が大事でしょ、

だからあたしが知ってる野菜を植えたって事、

ま~季節をガン無視した状態ですけどね~」

そう言ってマヌカは腰に手をあて「はっはっは~」と笑う。

『マヌカ…意外と考え方がどんぶりなんだな~』

ボンタの言った事をガン無視して農村の真ん中に降りて行き、

農村全体の一時停止の解除をした。

暫くすると家の中から驚いたような声が聞こえて来て、

その後慌てた様に家の外にみんなが出て来た。

その中の初老の男性が村に流れて来る空気が変わり、

土地の様子も変わってる事に驚いていると、

赤ちゃんを抱いた若夫婦に気付き、

『アランド~~赤ん坊はどうした~~』

その声に気が付いた若夫婦は急ぎ足で初老の男性に駆け寄り、

『村長~助かりました、

おっ俺達の子ども助かりました~』

そう言いながら若夫婦は号泣し始めた、

そんな2人の背中を撫ぜながら村長と呼ばれた者も号泣している。

そんな所にボンタが近づき、

『よかったな~よかった~』そう言いながら泣いている。

村長は泣いてるボンタに気が付くと…

『こっこれはいったい…新しい魔物か?』

そう言いながら村長はプルプル震えている。

そんな村長を見た村のみんなも後ずさり怯えた顔でボンタを見つめる、

次に騒ぎになったのは勿論土地神の大きなオオカミに気が付いた時。

そこら中から悲鳴がし出した。

『かあさん、あの大きなオオカミはなに?』

『え~~村長大変です』

『きゃ~~~』

そう騒ぎながら村人達は村の隅っこに固まってしまった。

そんな姿にショックを受けたボンタが泣きながらマヌカに言う、

『マヌカ~~何とかしてよ~~』

そんなボンタの姿に「ぷっ」っと吹き出して、

みんなの前にフワフワと飛んで行ったマヌカは、

「みなさん、お騒がせして申し訳ないです」

マヌカはそう言ってペコリと頭を下げて、

「こちらにいらっしゃるのは皆さんの住む星の意識様です。

そしてあそこにいらっしゃる白く神々しいオオカミ様は土地神様です、

そして私は土地神様のお手伝いをしに来た妖精です」

マヌカの話にボンタが呆気に取られて、

『マヌカおまえ~~ずうずうしくも妖精で通すつもりか?』

マヌカは冷たい笑顔をボンタに向けて小さな声で囁く、

「ボンタ余計な事言うんじゃないぞ~」

ボンタは『むっ』とした顔になったが…

マヌカを妖精で通す事を了解した。

そんなやり取りの中アランドの妻が、

『みんな~この方々は私達を助けてくれたの、

魔物なんかじゃ無いんだよ~~

そんなに怖がらないで!』

アランドの妻が涙を流しながらにみんなに叫んでくれた。

村長達はアランドの妻の涙の訴えに、

『そうだったのか?』

『私達の体がこんなに健康体になったのも?』

それぞれが色々言い始めると村長が、

『モニカ、その話を詳しく話してくれ』

モニカと呼ばれたアランドの妻が『コクリ』と頷いて、

産まれたばかりの赤ちゃんが今にも息を引き取りそうな時に、

突然目の前にマヌカが現れた時の話を聞かせた。

話を聞いた村人達は、

自分達の体も変化していたので疑う余地も無かったが、

そんな中ボンタが口を挟んで来て、

『それだけじゃ無いからな!

村の外の畑を見て来いよ、野菜が所狭しと実っているぞ』

ボンタの話に何人かが走り出して外の畑を見に行くと、

『なんだこりゃ~~~』

『村長大変な事になってますよ』

見た者は大騒ぎしている、

村長がマヌカに近付いて

『村の者が失礼な態度を取ってしまい申し訳無い、

そしてわしらの体をこの様にして頂いた事心から感謝します』

そう言って深々と頭を下げる。

「村長さん、頭を上げて下さい、

まだまだやる事はたくさんあります、

それには村長さん達の協力もお願いしたいので…

協力してもらえます?」

『それは勿論協力させて頂きます、

ただ…わしらには…自由が無いもんで、

どこまで協力出来るか分かりませんが…』

「自由が無いね~もしかしてだけど、

この村に向かって来ている闇のオーラを背負った方のせい?」

マヌカの言葉に村人達が騒ぎ出した。

『村長、ボナーバ侯爵様が来るのは今日でしたか?』

『いや…違ったはずだ、

妖精様、村に向かっている方はどんな方でしょう?』

そう聞かれてマヌカは村の入口の方を指さし

「ほらあの馬に乗って偉そうなチョビ髭のおやじの事ですよ」

マヌカの指先の方を見ると冷たい目をした意地悪そうな男が、

馬にまたがりこちらを見ている。

その男の後ろにはフラフラしながらついて来ている鎧の兵士が4人、

その姿を見たとたん村人全員が跪き項垂れた。

チョビ髭のおやじは手に持ってる鞭をブンブンさせながら、

村人達を見て『フン』と言ってニヤリと笑う、

チョビ髭がまたがっている馬は、

地球にいる馬とちょっと違って少し小さめであった。

毛の艶も悪く元気なさそうで…

ちゃんとケアーされて無い感じだった。


村人達はブルブルと震えて、

チョビ髭と目が合わない様に俯いている、

そんな村人達の姿を見たマヌカは、

チョビ髭が乗っている馬の前まで素早く飛んで行き、

馬の顔を小さな手で優しく撫ぜて、

「可哀そうに…何でそんな気持ち悪い男を乗せているの?」

声を掛けられた馬は『ブホッ』と小さく鳴いて首を傾げる、

「分かるよ君の言葉、君の気持、君の体の状態もね」

そんなマヌカを見たチョビ髭が、

『なんだ、このガキは?

飛べるガキが居るなんて聞いて無いぞ…』

そう言って村人達に向かって怒鳴り始める。

『おい!聞いているのか?

お前らこんなのを隠していたのか~

そんな事したらどうなるか分かってるだろ~』

怒鳴り声にますます村人たちが緊張し始めた時、

モニカの子どもが泣き始めてしまう、

『オンギャ~オンギャ~』

アランドとモニカは慌て出して赤ちゃんの口を手で押さえる、

マヌカは一瞬でモニカの側に行き、

口をふさいだ手を優しく口から外して、

「おかあさん、そんな事したら大事な赤ちゃんが呼吸できないよ、

赤ちゃんは泣くのが仕事だから、

きっとお腹が空いたかおむつが汚れてるかどっちかだから、

ちゃんとお世話しなきゃ」

そう言ってマヌカはパチンと指を鳴らすと、

アランドとモニカと赤ちゃんがその場から消えて行った。

村人達はビックリしてマヌカの顔を見る、

「心配しないで、安全な場所に行っただけだから」

そう言ってまた馬の側に飛んで行くと、

チョビ髭が般若の様な顔をしてマヌカを睨み付けて、

『おい、クソガキお前はなんだ?

俺様の許可なく勝手な事をするとどうなるか分かってるのかぁ』

そう叫びながら鞭をマヌカに向かって振り下ろそうとした時、

その行為に怒った土地神が立ち上がり、

ちょび髭に向かって飛びかかろうとした時、

マヌカの小さな手が静止する、

「オオカミさん大丈夫、

あたしの為にありがとね」

チョビ髭は鞭を振り上げた状態で止まっている、

マヌカはチョビ髭の事はガン無視で、

馬にまた声を掛け始める、

「お腹空いてるんでしょ?喉も乾いてるみたいね、

ちょっと待ってて」

マヌカはそう言ってフワフワと浮かび上がり、

ちょび髭の髪の毛を無造作に掴むと、

「ブンッ」と地面にたたき落した。

村人はマヌカの行為に真っ蒼になって見つめている。

マヌカは馬に取り付けられた鞍など全部外して、

「さ~さ~こっちに来て」

そう言って端っこに連れて行って、

飼い葉おけを3個出し、

1つには飼い葉を入れて残りには野菜や果物を入れて、

最後には水を用意した。

「何を食べるのか分からなかったから…

地球の馬さんが食べるであろう物を出したの、

良かったら食べてね~」

馬はマヌカの顔にスリスリしてから凄い勢いで食べ始めた。


そしてマヌカは両手を合わせると、

マヌカの手が光出しその光を馬に当てる、

光は馬の全体を包んでいき、

光によって馬についていた小さな傷の数々が消えて、

体調も整っていき毛並みもみるみる内に美しくなっていった。

ずっと静かに見ていたボンタが叫ぶ

『マヌカ~~~何だよ~~何が何だかわからね~よ』

「え~~~ボンちゃん分からないの?

そこのチョビ髭さ~この星の者じゃ無いじゃん」

『それは分かってるぞ、

おいらこんな奴知らないからな、

だ~か~ら~こいつが誰なんだって事を知りたいんだよ』

マヌカはボンタに向き直り。

「ちょっと待ってろ」って言うと、

チョビ髭に向かって飛んで行った。

マヌカはチョビ髭の顔に自分の顔を近づけると、

チョビ髭が苦々しい顔で、

『クソガキ~~こんな事をしてただで済むと思うなよ』

マヌカは涼しい顔で、

「うるさい、臭い、気持ち悪い、うざい、黙ってろ」

そう言ってマヌカは小さな手を、

「パチン」と音を立ててチョビ髭のおでこに当てると。

「お前が何者で何をやって来たか全部見てやる」

『見るだと、フンっそんな事が出来るか』とチョビ髭が怒鳴ると、

マヌカは目を細めてニヤリと笑う、

「そう思ってろ、

肉体と魂の記憶を両方見てからお前の処分は決める」

『処分?そんな事をしたら困るのはここの村人達だからな』

「へ~人質取ってるから?」

『そうだ、私が屋敷に戻らなかったら、

クックック、屋敷にいる連中は全員酷い死に方をする事になるな』

その言葉にチョビ髭が連れて来た鎧兵士達がオロオロし始めた。

オロオロしている兵士に気が付いたチョビ髭は、

『お前達は分かってるみたいだな、

家族が酷い目にあうのが嫌なら私を助けろ』

兵士はオロオロしながら幼子に剣を向ける事を躊躇している、

村人達も酷い汗をかきながらこちらの様子を見ている、

土地神は緊迫した状況に、

マヌカを守るべく姿勢を低くしいつでも兵士に飛びかかれる状態だ、

マヌカはそんな緊迫状態など気にも止めずに、

チョビ髭のデコから情報収集しているがマヌカの顔に変化が、

ポンタはマヌカの顔の変化にビックリして、

『マヌカ!お前目が変になってるぞ~~』

そうマヌカはチョビ髭の非道な記憶を見て怒りが沸き上がっていた。

『マヌカ~マヌカ~おい、おいらの声が聞こえないのか?』

マヌカの目が線になった時、

ボンタは思わず『ブッフォ』と吹いてしまったが…

本能がこのままでは駄目だと思ったのか、

マヌカのおでこにチョップを食らわせる、

『オリャ~チョップ!』

ぬいぐるみのチョップなど撫ぜられた位にしか感じないマヌカ、

『クッソ~このままでは』ボンタはそう言って、

マヌカの頬っぺたを両手で摘まんで勢いよく上下に動かしながら、

『マヌカ~~戻ってこい~~』

ボンタの動きが激しかったお陰でマヌカは「はっ」と我に返った。

「ボンヒャン、ニャニオやってる…」

頬っぺたを摘ままれていた為言葉が変になってる、

『は?マヌカ何を言ってるかわからんぞ』

「オマヘがホピュタツマンヂュルカラ」

『何を言ってるんだよ!』

マヌカは頬っぺたを摘まんでいる手を払って、

「お前がほっぺ摘まんでるからじゃろがぁ~」

ボンタは『ケッケッケ』と変な声で笑いながら、

『あ~良かったな~どうなるかと思ったぜ、

でもあの目…クック~笑えた』

ヘラヘラしているボンタを見ながらマヌカは真面目な顔で、

「ボンちゃん、ヘラヘラ笑ってるけど…

このチョビ髭酷い事してるんだよ」

マヌカはそう言いながらチョビ髭に顔を近づけて、

「おっさん、長い間酷い事をして来たみたいだな、

もっと酷い事してるのは…お前のにーちゃんだ、

このままで済むと思うなよ」

チョビ髭は兄の事を言われて動揺して、

『なっなんで兄の事を…何を知ってる』

「お前の知ってる事は全部見たからね」

チョビ髭はガキの張ったりなのか?本当なのか?

どう反応すればいいのか悩んでいるようだ、

「ま~おっさんは邪魔だからそこに立ってろ」

マヌカはそう言ってパチンと指を鳴らして、

チョビ髭を直立させ、顔以外は動かない様にした。

そして振り返り村人達にニッコリ笑いかけて、

「さ~忙しくなりますよ~

村長、この村を大きく改造しても良いですか?」

『大きく改造ですか?』

「そうです!これからは生活が豊かに平和になっていきます。

先ずはここから初めて行きましょ~

みなさんの協力お願いしますね~」

マヌカの軽い口調に信じていいのか分からない村人達、

でも今は信じるしか無いと思ったのか村人全員が、

『勿論です』と答えていた。

チョビ髭の記憶を見たマヌカは

(なるべく人とは関わらない様にしたかったが、

そんな事は言ってられない状況だ…)

マヌカはチョビ髭を睨みながら決心を固めるのであった。










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