ヒール・浄化・再生
問題無いと思っていた森…寄生虫の被害は結構広がっていた。
すっかり日が落ちて森は暗闇に包まれているが、
マヌカの体から発光される光でマヌカの周りは明るくなっていた。
『マヌカちゃんこっちこっち~』
次の意識体の場所にワープしたものの草や木で視界が悪く
何処に人が居るのかなかなか見つからない。
「どこ~見つけられないよ…ん?あそこか?」
草をかき分けかき分け進んだ所に彼女は倒れていた。
「倒れていたから分からなかったよ」
そう呟きながら倒れている首長族の女性から寄生してる虫と触手を取り除き、
彼女の体の状態を観ると…
「酷いな…」
こんな草藪の中に居たせいか体中に傷があり、治療などするわけも無いので傷が膿んでいた。
服は辛うじて残っている部分も有ったが殆ど裸状態だ。
「こんなかっこで草むらうろうろしてたら傷だらけになっちゃうよね」
そう言いながら彼女の体を綺麗に拭き服を着せていく。
『この人生きてる?』意識体が聞いて来た。
「大丈夫生きてるよ、でももう少し遅かったら危なかったかもね」
そう言いながらマヌカは透明の玉を出して、そこに彼女を寝かせて異次元ポシェットにしまった。
『なんでトゥーリアさんはポシェットに入れないの?』
「だって直ぐ目を覚ますかもしれないでしょ、だからこのままでいいんだよ」
トゥーリアさんの入った玉は風船の様にフワフワ浮かびながらマヌカについて来ていた。
『どっか飛んで行っちゃったりしない?』
「大丈夫、ちゃんとついて来る様に設定してるからさ」
そう言って次の人の所にワープしようとした時
『マヌカちゃんマヌカちゃんなんか変な子がいるよ』
「え?」そう言われた方を見ると狐の子どもの様な子が
『きゅ~きゅ~』と小さな声で鳴いていた。
マヌカは狐の側に駆け寄り
「どぉ~ちたのぉ~?触ってもいい?」と狐に声を掛けた
子狐の様な子はマヌカの声に答えたかの様にマヌカの側で体を伏せた。
マヌカはそっと驚かせない様に狐に触れてみる
(随分痩せてるが病気や怪我はないみたいだな…親は何処だ?)
マヌカはそっと狐を撫でながら治癒のエネルギーを送る。
エネルギーは狐の体を包み込み栄養を十分に行き渡らせる。
『きゅ?きゅっきゅっ~』と狐は何が起きたんだろうと不思議そうにしてたが、
何かを思い出したかの様に急にマヌカに飛び掛かり
『きゅ~きゅ~きゅ~』と何かを訴えているようだ。
「う~~ん?どちた~何か言いたいみたいだね、ちょっと君の記憶を見せてね」
そう言って狐の頭に手を置いて狐の記憶を覗いてみると…
ここから少し先にある湖の周りにぐったりとした動物達が倒れている、
その中に狐の親と兄弟たちも倒れていた、
マヌカ達がここにワープして来た時の光を見た子狐は何とかして家族を助けようと、
光に向かって歩いて来たらしい。
(え?どうゆう事?なんで動物達がこんな事に
前の大陸と違ってここの森は木々も生い茂っていたので安心と思っていたが…)
マヌカはポシェットにしまったさっきの女性を出して彼女の体の記憶を探ってみる。
寄生された彼女は森の恵みを食べまくっていた、
生命エネルギーを吸われ続けられた為に普通の何倍もの栄養が必要になっていたのだ、
本当であったら500歳の寿命と聞いていたが、
こんなに吸われ続けていた事で寿命は半分位になっていた。
『マヌカちゃんど~したのぉ~?』意識体が能天気に聞いて来る
「虫に寄生されてた人達が森の恵みを食べまくってたお陰で動物達の食料が不足してたみたい」
『え~たった数百人で食べ尽くせるの?』
「そうだよね~そっか!
地面の下を這っている本体の触手も大地のエネルギー吸ってたのかも、
それで森の実りが少なくなってたのかもね。」
『じゃあまだエネルギー吸われてるの?』
「それは大丈夫、さっき本体の確認した時に本体の時間も止めたから」
『さすが~』
(いや、褒められるような事では無い…
森に入って来た時の重い空気は動物達のエネルギーが落ちてたからだ…)
「もっと早く気が付いていれば…」
マヌカは子狐を抱き上げて湖のほとりまでフワフワと飛んで行った。
湖のほとりにはお腹を空かせた動物達が水を飲んで空腹をごまかしていたのだろう、
凄い数と種類の動物達が倒れていた。
子狐をそっと下ろすと駆け足で親元に行き『きゅ~きゅ~』と悲しげに鳴いている。
それを見たマヌカは空高く浮かび上がり両手を広げ
「ヒール」と叫ぶとマヌカを中心に光が広がり動物達に降り注ぐ、
光を浴びた動物達はさっきの子狐と同じように
怪我や体調不良も治癒されお腹の中も満腹になった。
何が起きたのか動物達はキョロキョロし始め空を仰ぐと、
光輝くマヌカからエネルギーが降り注いでいた。
『きゅ~きゅ~』
その声の方を見ると元気になったさっきの狐の親子が嬉しそうにマヌカに向かって鳴いていた。
他の動物達も元気になりマヌカに向かって色々な鳴き声て呼び掛けている。
それを見てマヌカは「よかった」と呟き目を瞑り
マヌカは「浄化」とささやくと大地が浄化され、
「再生」とささやくと大地の恵みが所狭しと実りだした。
マヌカは動物達に向かって
「森は元にもどったよ~みんないっぱい食べてね~」
そう叫ぶと動物達も答える様にマヌカに向かって鳴いていた。
(ここの大陸全部とはいかないか…何度かに分けてやらないと)
「手の空いている意識体のみんな~聞いてる?」
凄い勢いで返事が返って来る
『はいはい』
『あいてま~す』
『なになに~』
答え方は色々だった。
「あたしが今いる大陸と隣のまだ行ってない大陸の子達、
元気の無い動物達を探して、
今までと同じ様に一時停止して守ってくれる?
前の大陸の手の空いている子達もこっちに来て手伝って~」
『ラジャー』
『オッケ~』
『御意』
(色々だな…)
『ね~ね~マヌカちゃん元気の無い人はどうする?』
「え?元気の無い人てどんな感じ?」
『え~~とね~ガリガリでフラフラでぐったり座ってる』
「虫に寄生されてる人じゃない?」
『今あたしがいる大陸はマヌカちゃんの居る大陸の隣で
ここでは虫に寄生されてるような人は居ないよ、
大陸の中心にある大きな集落に20人位の人が居るんだけど…
みんなガリガリのフラフラのぐったり~~』
「え~~~~そこの集落20人しかいないの?
それでフラフラ?他には誰も居ないの?」
『う~~ん森もいっぱい見たけど人はここに居る人だけだったよ』
すると他の意識体が
『人の死体はいっぱい見たよ~洞窟に積み上げられてる』
「え?どゆこと?死体は1か所に有るって事?誰がそこに運んでるの?」
『誰も運んでなかったよ、最後に洞窟に来た人自分で洞窟に入って死体の上に倒れたの見た。
急いで一時停止したんだけどもう死んじゃってたの~ごめんなさい』
「何も悪くないから謝らなくていいよ、きっともう肉体は死んでたんじゃないかな、
肉体からエネルギーが吸えなくなったら洞窟に寄生虫が誘導してたんだよきっと、
でもなんでまたそんな事するんだろ?
洞窟には誰か行っててくれる?後で見に行くから、
それとここの大陸にも同じ様に死体が集まってるかもしれないから見つけたら教えて、
集落に居るフラフラの人達も一時停止して守ってあげて」
元気な返事が返って来た。
「まだまだ分からない事だらけで、やる事もいっぱいって事か、
先ずは森に住む動物達を何とかしてから寄生虫駆除だな…時間がかかりそうだ」
『寄生虫もさっき森を浄化したみたいに一度に出来ないの?』
「脳に触手が絡みついてるからね、丁寧に取っていかないと脳に傷がついたら大変だから」
『そっか~じゃああたしも動物達探しに行って来ま~~す』
「おう!よろしく~」
2つの意識体が勢いよく飛び去って行った。
(働き者だねぇ~さてとあたしも頑張るか)
マヌカは空高く飛びあがった、トゥーリアの玉もそれに伴い凄い勢いで付いて来てるが、
中のトゥーリアは心地よさそうに眠ってるだけ。
大陸の全体が見渡せるまで飛び上がりまじまじと見つめる。
(見た目は何事も無い森に見えちゃうのが怖いよね、
この大陸の大きさだと7か所位で浄化すれば終わりそうだな)
マヌカはワープを繰り返しヒールと浄化と再生を繰り返し、
大陸全てが終わった時にはすっかり日が昇っていた。
(結構時間かかっちゃったな、トゥーリアさん何でまだ起きない?まっいいか)
次は寄生された人達の救助が再開されて314人全て終わった頃にはすっかり夜になっていた。
救助された人達を異次元ポシェットにしまい、
まだ寝ているトゥーリアさんを連れて集落に戻ると集落は皆寝ているのか静かだった。
(じーさん達寝てるね、邪魔されずに作業が出来るフフ)
マヌカは集落の中心にあるアースクリスタルの横に
トゥーリアが大好きな『奇跡の木』を植えた。
前回の奇跡の木より大きい大木の下のゆっくりとトゥーリアの入った玉を置いて。
「これで良し」そう言ってマヌカはそそくさと作業を始めた。
集落の端っこに大きな建物を創造して中に救助して来た人達を丁寧に並べる。
(これで治療が終わった人は自然に目が覚めるだろ)
建物から外に出ると外はうっすらと明るくなって来た。
「あ~~ひと段落だ~温かいお茶でも飲むかいな~」
何て呟いてたら
『おい子ども、随分遅かったな』
げ~~と思い振り返ると、ここで最初に会ったじーさんアナダスが居た
(爺は早起きなんだな…)
「ただいま~」
『何がただいまじゃ、心配したたんだぞ、
トゥーリア様は何であそこで寝ていらっしゃるのだ』
「あ~ここで起きている事の真実を知って倒れちゃったんですぅ~」
『何が倒れちゃったんですぅ~じゃ、この建物も気になるが…
後でみんなの前で説明してもらおう、
ここに住んで居る者全てを呼んで来るからトゥーリア様の所で待っておれ』
「ほ~~い」
『全くのんきな返事をしおって…どんだけ心配したと思っているんじゃ
無事に帰って来て…本当に良かった。』
爺さんはちょっと目を潤ませながら呟いてヨタヨタと歩き去っていった。
それを眺めながらマヌカは思った。
300年間も辛かったよね…クスン
読んで頂きありがとうございました。




