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【書籍二巻・コミックス三巻発売中】ヒロインが来る前に妊娠しました~詰んだはずの悪役令嬢ですが、どうやら違うようです  作者: ロゼ


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本日は卒業試験初日。


ヤマを張った場所が必ず出題されると豪語する、もう流石エスパー(違う)なミューゼ様にしっかりと対策を取ってもらった私は余裕綽々で試験に臨み、「あ!これミューゼ様が出したのとほぼ同じだ!」って問題ばかりだった為に「あれ?私、事前に試験問題解いてたんだっけ?」って程にサラサラと解けてしまい、終了時間20分前には全問解き終わり、2度も見直しする時間プラスボーッとする時間まで確保出来た。


本日3教科、明日3教科の計6教科の試験が行われるのだが、妊娠7ヶ月が過ぎた私のお腹は結構膨らんで来ていて、普通に座っているだけでも腰に負担がかかり怠くなる(体力なさすぎて)為に特別措置的に監視の先生付きで保健室で試験を受ける事になり、疲れたらベッドを使用してもいいという、妊婦に優しい方式にて試験を受けさせてもらっている(当然ミューゼ様も一緒)。


多分これもミューゼ様が学園に掛け合ったんだと思うんだ。


本来、規則にはないけど妊娠や結婚をしたら退学するのが暗黙の了解なこの学園で、私は妊婦だからという事で必須科目のみ授業を受け、試験に合格出来れば良いという特別待遇を受けている。


前例のない事で学園側は相当困ったと思うんだけど、私を受け入れてくれた事はとても感謝している。


そうなるように働きかけたであろうミューゼ様にも当然感謝である。


まぁ、当のミューゼ様はちゃっかりと授業を受けなくても試験さえ合格すれば卒業出来るなんてチート行為を学園側に許可させちゃってるんだけど。


私よりも随分と早くに試験問題を解き終えたミューゼ様の視線を感じながら問題を解き、解き終えた私にミューゼ様が口だけ動かして「体は大丈夫か?」と聞いてきたので頷いたらホッとしたようにふんわりと微笑まれた。


はぅっ♡全身の骨がぐにゃぐにゃになりそう(意味が分からない)。


試験と試験の間の15分の休憩時間にはミューゼ様が座ったままの状態での腰のマッサージを施してくれて、「辛くなったら無理をするな!」という念押しを耳タコ状態でされながら初日の試験が終了。


帰りの馬車の中、何時ものようにミューゼ様の膝の上に座らせられて、ミューゼ様が優しく私のお腹を撫でていると、お腹にポコポコと突っ張るような、中から何かに小さく押し上げられるような感覚がした。


「今動いた!!動いたぞ!!」


「はい!はい!動いた!動いたぁ」


実は私、7ヶ月にもなっているのに胎動を感じた事がなかったのだ。


ミヤ様が言うには普通は妊娠5ヶ月か6ヶ月頃から感じ始めるそうなのだが、我が子がのんびり屋さんなのか私が鈍いのか、全く胎動を感じた事がなくてちょっと心配していた。


診察してくれているミヤ様には「心音も問題ないし、とっても元気な子だ」と言われていたのだが、この世界ではお腹の中の赤ちゃんの様子を見る事が出来る機械なんてないからお腹の上から聴診器を当てて赤ちゃんの心音を聞いたり、お腹を触ったりして赤ちゃんの状態を確認しているだけな為、元気な子だと言われてもイマイチ信じられない部分があったのだ。


「あれは、足か?」


「蹴ったのかな?」


「そうかもしれない。とても小さい」


ミューゼ様が触れていた部分をタイミング良く蹴ったようで、ミューゼ様の手に小さな足っぽい感触が伝わって来たのだそうだ。


「あんなに小さいのだな...愛おしいな」


「この中で確かに生きているんですね」


「あぁ。...おっ!また動いた!今度は何処だ?また足か?それとも手?」


「何処でしょう?お腹の中で暴れているのかな?」


「早く出たいのかもしれないな。フェリーに会いたいのだろう...だがまだ早過ぎるからな、もう少しのんびりと過ごすんだ」


とても優しく穏やかな声でお腹に語り掛けるミューゼ様の姿が涙が出そうな程に尊く、切なくて胸が詰まるようでいて胸がほわっと温かくもある不思議な感覚に包まれていた。


ポコポコ、グリンと様々な動きを見せる小さな命。


今まで胎動を感じなかったのが嘘のように激しく動き回っている。


「こんなに動いてて...大丈夫かな?」


「元気な証拠じゃないのか?」


「だって、今まで全然感じなかったのに」


「...ミヤを呼ぶか」


という事でミヤ様が呼ばれ急遽診察を受ける事になった。


「胎動を感じたんだな」


「はい」


「それの何処に問題が?」


「感じたと思ったらそこから凄く動いてて...もしかして苦しいのかな?と」


「今まで感じていなかった方が不思議なんだ。触診している時も普通に動いているのが分かったのに」


「え?!そうなんですか?」


「あぁ。元気に動いていた。存外鈍いぞ、君は」


どうやら私が鈍かったようだ。


「お腹が張ったり痛かったりはないな?」


「ないです」


「では何も問題はない」


「良かった...」


「マッサージや体操も続けているようだし、順調そのものだ」


ミヤ様に太鼓判を押されてホッとした。


「これからの時期は早産も起こりやすい。ストレスは溜め込まず、栄養バランスの良い食事を心掛け、異常を感じたらすぐに私を呼ぶように」


「はい」


「適度な運動も大切だ。過度なものは絶対に駄目だが、散歩等は体調が良ければ積極的にやれ。但し、お腹が張っていたりする時は控えるように」


「はい、分かりました」


「まぁ、君には君以上に君の体調を知り尽くしていそうなやつが常に傍にいるからな」


チラリと私の隣に座っているミューゼ様に目をやったミヤ様をミューゼ様は涼しい顔で見て「当然だ」と言った。


そして今、ズラリと生地が目の前に並んでいて、ニコニコ顔の商人が今にも胡麻を擦りそうな勢いでこちらを見ている。


「あ、あの...これは?」


「俺が呼んだ」


「何で?」


「子供の肌着の素材をフェリーに選んで欲しくて」


なるほど、それで目の前にあるのは白い生地が多いのか。


ってそこじゃなぁぁぁい!量よ、量よ!


今から店でも開きますか?!って程に大量の生地がドッカンと並んでるのっておかしくない?!


シルクから木綿までありとあらゆる生地がこれでもかって並ぶ光景の恐ろしさよ!


「ここから、選ぶの?」


「足りなかったか?」


「逆!多過ぎるでしょう!」


「そうか?」


釈然としないって顔されても!!


取り敢えず選ぶ事になりましたよ、生地。


シルクは手触りも良くて通気性とかもいいんだけど、赤ちゃんが動くようになったら手足を少し動かしただけで袖や裾が寄って手足が出ちゃいそうだから却下。


綿素材のものが無難なのかな?と思ったけど、この世界の綿素材の生地って前世の物よりも固くてゴワゴワしていて赤ちゃんの肌に悪そうなので却下。


麻は触った瞬間に「ない!」と思う手触りだった為に却下。


もっとこう、ふんわりとしていて丁度良さげな物はないのかな?


というか、大量に触り過ぎて感覚が麻痺しつつあるんだけど。


テイスティングし過ぎて味が分かんなくなる感じ?


微妙な違いがよく分かんなくなってる気がする!


生地を触り続ける事30分以上。


もうどれでも良くない?!なんて投げやりな気持ちすら浮かんで来た頃、やっと「ん?これは?!」な手触りの布に出会った。


「これ、いいかも」


私が手にした布をミューゼ様も触り「いいな、柔らかいし適度な伸縮性もある。これは通気性や吸湿性はどうなっている?」と商人に問い掛けた。


「おぉ!流石お目が高い!そちら、つい最近開発された生地なのですよ!柔らかく、多少ですが伸縮性もあり、吸湿性も通気性も良く保温性もあります!」


「それの素材は?」


「綿です」


「綿?綿でこれか?!こちらの綿とはまるで違うぞ!」


「ですから、新開発された新しい織り方の綿なのです」


「ほぅ」


ミューゼ様の目の色が変わった。

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