7 先輩、クレープ食べに行きませんか?(3)
お待たせしました!(3)です!
「クレープなんて久しぶりに食べたけど、やっぱりおいしいな」
クレープを受け取った俺たちは、近くのベンチに座りその味を堪能していた。
「ネバネバで…甘くて…でもネバネバで…うぅ…」
いや、堪能しているのは俺たちではなく俺だけか。
「だからやめとけって言ったのに」
「だって…だってぇ…」
お望み通り納豆クリームのトッピングされたクレープを食べた彼女だったが、当然と言うべきかやはりと言うべきか、その表情はとても辛そうだ。
「だってじゃない。まあこれに懲りたら次からは普通のやつを選ぶんだな」
「うぅ…こんなはずじゃなかったのに…」
彼女は恨めしそうに手元のクレープを見つめると、自棄になったのか勢いよく残りのクレープにかじりついた。
「別に無理して食べなくても良いんだぞ?」
「…いえ、残すのは店員さんに失礼ですから」
その真面目さをもう少し前に働かせていればこんな目に遭うことも無かっただろうに。
「俺のやつで良ければ食べるか?」
自業自得だとしても、楽しみにしていたクレープで散々な目に遭っている彼女を見ていたら自然とそう言葉がこぼれた。
「え、いいんですか…?」
「俺はもう十分食べたし、美浜もそれで終わりじゃ後味悪いだろ?」
「えっと、それじゃあお言葉に甘えて」
そう言ってクレープを受け取った彼女だったが、口をつけようとした瞬間、ピタリとその動きが止まった。
何かあったのかと心配になり顔を覗き込むと、彼女は頬を少し赤らめてクレープを見つめていた。
「どうかしたのか?」
「え!?い、いえ、何でもないですよ!」
「本当か?」
何でもないと口にはしているが、その態度は明らかに何かに動揺しているように見える。
この数秒の間で何が彼女をそこまで動揺させたのだろうか。
思考を巡らせていると、ある一つの可能性に辿り着く。
「…なぁ美浜、もしかしてそれが俺の食べかけだってこと気にしてたりする?」
男女間。それも思春期真っ盛りの高校生ならば嫌でも気になるであろう間接キス。それは学校では人目を気にせず話しかけてくるような彼女も例外ではないはずだ。
その証拠に、俺の問いかけを聞いた彼女は耳まで真っ赤にしている。しかし、普段見慣れない彼女の照れた表情を見ていたらこっちまで恥ずかしくなってきた。
「…なんかごめん」
「…いえ、大丈夫です」
お互い相手の顔を見ずに言葉を交わす。
「それよりこれ…どうしましょうか」
彼女は手に持ったクレープを見つめてそう尋ねてくる。
「どうするって…美浜が欲しいなら、食べていいけど」
「えっ…」
その返答は予想外だったのか、彼女の体が再び固まる。
「…どうする?」
「え、えと…いただきます…」
彼女は絞り出したようなか細い声でそう答えると、クレープの端を控えめにかじる。
「ん、おいしいです」
「そりゃあ良かった」
ちらりと彼女の方を見ると、依然顔は赤いままだったがその表情はどこか幸せそうに見えた。
「じゃあそろそろ帰るか」
「そ、そうですね。そうしましょう」
この何とも言えない雰囲気に耐え切れずに帰宅を提案すると、彼女も同じ気持ちだったのかすぐに承諾された。
彼女が残りのクレープを食べ終わるのを待ってから、二人並んで歩き始める。
「クレープ、おいしかったですね」
「そうだな」
「…また、来ましょうね」
「…気が向いたらな」
つぶやくような彼女の声に、俺も小さくそう答えた。
作者のお前が言うんかい!って感じですけど、今回の夕夏ちゃんも可愛かった…
そういえばこの前、1日の合計閲覧数が100を超えた日があったんですよね!皆様読んでいただき本当にありがとうございます。
これからも週1~2話を目標に頑張っていきますので、ゆるりとお付き合いくださいませ




