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6 先輩、クレープ食べに行きませんか?(2)

「一足遅かったようですね…」

「そうみたいだな」


 翔也に言われたことを気にして急いでクレープ屋へ向かったのだが、既にそこには長蛇の列が出来上がっていた。


「どうしましょう…明日にしますか?」


 彼女は残念そうに俺の顔を見上げてくるが、新オープンした店の人気というのはそう簡単に収まるものではない。明日来たところでまた行列を見ることになるのがオチだろう。


「せっかく来たんだし美浜さえ良ければ並ぼう」

「いいんですか?」

「どうせ何も予定無いしな」

「もしかしてそれ根に持ってます?」

「そんなまさか。それより早く並ぶぞ」


 ジッと睨んでくる彼女から目をそらし、俺は列の最後尾に向けて歩き始めた。




 列は順調に進んでいき、気づけば前には二組の姿しか見えなくなっていた。


「このお店いろんな種類のクレープがあるみたいですけど、先輩はどれにしますか?」


 彼女は店に立てかけてあった看板を指してそう尋ねてくる。

 そこには優に二十は超えるであろう様々なクレープの写真が載っていた。この店はイチゴやバナナのような王道のものからツナやハムのようなおかず系のものまで幅広く取り扱っているらしい。


「俺は適当にバナナとかでいいかな」


 そこまでクレープにこだわりはないので、ここは無難な選択肢を選ぶのが最善だろう。

 しかし彼女は違う考えのようで、俺の回答を聞くと呆れたようにため息をついた。


「先輩、こんなに種類があるのに普通のバナナを選ぶなんて面白くないですよ」

「別にクレープに面白さとかいらないだろ…」

「はぁ、先輩は何もわかってないですね」


 俺の言ってることは間違ってないと思うのだが、彼女はどうしても面白さが欲しいようで、「私はこれにします!」と看板の一番下、それも端の方に載っている『納豆クリーム』を指さした。

 なんだ納豆クリームって…。どう転んでも彼女が泣いて後悔している未来しか見えない。


「それだけはやめた方がいい。きっと、いや絶対に後悔するから」

「いやいや、こういう一見やばそうなやつが結構おいしかったりするんですよ」


 彼女は本気で言っているようだが、その自信はどこからくるのだろうか。


「…後悔しても知らないからな」

「先輩こそ、後で一口欲しいって言ってもあげませんからね!」

「次のお客様どうぞ~」


 そんなやり取りをしていると、ついに俺たちの順番が回ってきた。

 カウンターの前まで進み、宣言通り俺はバナナ、彼女は納豆クリームを注文する。


「っ…かしこまりました。少々お待ちください」


 彼女は気づかなかったようだが、彼女の注文を聞いた店員さんの表情が若干引きつったのを俺は見てしまった。

 その反応を見た俺は改めて思った。


 やっぱりクレープに面白さはいらないな。と

納豆クリームってなんじゃい!変な味を考えてたら迷いに迷ってこうなりました。

(1)の前書きにも書きましたが、(3)はまだ書き途中なのでもうしばらくお待ちください。すいません…

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