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4 先輩、お昼を一緒に食べませんか?(2)

最近暑すぎて扇風機だけじゃ全然足りない…

皆さんも熱中症には気を付けてお過ごしください

「お邪魔しまーす!」


 近くの空いている席から椅子を借りてきた彼女は、俺の机の横にそれを置いて腰掛ける。


「こんにちは夕夏ちゃん。今日は俺もいるんだけど大丈夫?」

「全然大丈夫です!むしろいてくれた方が助かるくらいです。先輩、私と二人きりだと周りの目を気にして全然話してくれないので」

「あー、確かに裕斗はそういうとこあるからなぁ」

「全くです」

「本人の前で好き勝手言ってくれるな…」

「事実だしな」「事実ですし」


 見事なシンクロ。女子と二人きりの状況で周りの目を気にするのは正常な反応だと思うのだが…。しかも相手は学年、性別問わず人気のある美浜夕夏。気にするなという方が無理な話だ。

 今だって何人かの生徒から視線を向けられているのを肌で感じる。居心地の悪いことこの上ない。


「それより先輩、もしかして今日のお昼ってそれだけですか?」


 彼女は弁当箱を開けながら、俺の手元にある菓子パンを見て眉をひそめた。


「これだけだな。今日は親が朝早くて弁当が無かった上に寝坊したから、家にあったのを適当につかんで持ってきた」


 一応育ち盛りの高校生なのでこの量だと間違いなく足りないだろうが、今日は財布も持ってきていないので追加の食料を買うこともできない。まあ家に帰れば何かあるだろうし、それまで耐えれば済む話だ。

 美浜はじっと菓子パンを見つめたまま動かないが、どうしたのだろうか。


「それだけじゃ絶対足りないだろ。俺の弁当少し分けてやろうか?」


 美浜の様子を伺っていると、すでに弁当を食べ始めていた翔也がそんなことを言いながらその大きな弁当箱を差し出してきた。


「翔也は放課後部活あるだろ。そんな人間から弁当は貰えないな」

「遠慮することないって。てか今日の弁当なぜかいつもより量が多くて全部食べたら逆に胃もたれしそうだし、むしろ少し食べてくれ」


 苦笑する翔也の弁当の中身を覗くと、俺が普段食べてる弁当より一・五倍くらい量が多いように感じた。確かにそれを一人で食べきったら胃もたれしそうだ。


「…そういうことなら」


 翔也から箸と弁当を受け取ると、米の隣にギュウギュウに詰められている唐揚げを数個貰った。


「これで十分。ありがとう」

「それだけでいいのか?もっと食べても全然構わないぞ」

「もともと小食な方だし、これで十分だよ」

「そっか、まあ満足したなら良かった」


 翔也はそう言ってニッと笑うと残りの弁当を片付ける作業に入った。


「あの、先輩」


 そろそろ自分の持ってきた菓子パンを食べようと袋に手を伸ばすと、今までそれを見つめて動かなかった美浜が突然口を開いた。


「ん?どうかした?」


 手を止めて様子を伺うと、今度は彼女が持っていた弁当を差し出してくる。


「私もお弁当少しあげます」

「いやそれだと美浜がお腹空くだろ。俺は翔也から貰ったしもう大丈夫だから」

「なんです?翔也さんのお弁当は食べれて私のお弁当は食べれないって言うんですか?」

「え、何そのキャラめんどくさ…」

「いいから食べてください!」


 強引に弁当を渡された俺は、彼女の箸を使う訳にもいかないので仕方なく翔也から再度箸を借りて彼女の弁当に手を付ける。

 彼女の弁当のおかずは唐揚げと卵焼き。唐揚げは翔也の弁当で食べたので、彼女からは卵焼きを貰った。


「ん、この卵焼き甘くておいしい」

「お、お口に合ったようで何よりです」


 母親の作る卵焼きはしょっぱい味付けのなので、甘い味付けの卵焼きは初めて食べたのだが、こっちの方が好みかもしれない。

 自然と二つ目に手を伸ばしかけたが、彼女がその様子をニヤニヤと眺めているのに気が付きとっさに手を引く。


「二つ目、いらないんですか?」

「……遠慮しとく」


 こちらの顔を覗き込むように見てくる彼女に弁当を押し返すと、俺は今度こそ自分の持ってきた菓子パンを手に取り袋を開ける。


「あーあ、女子の手作りのお弁当を食べられる機会なんて滅多にないのに。先輩、余計な意地張ってると人生損しますよ」

「それ、手作りだったのか」

「もちです!私は料理もできるタイプの美少女ですから」

「だから自分で言うなと…。まあどうせ言っても聞かないんだろうけど」

「ふふ、先輩も私のことを分かってきましたね」

「一か月も付きまとわれてたら嫌でも分かるようになるわ」

「付きまとわれるって言い方!」

「事実ですから」

「それわたしのセリフ!」

「二人とも息ぴったりだな」


 いつの間にか弁当を食べ終わったらしい翔也が俺たちのやり取りを見てほほえましそうに笑う。


「…別に普通だと思うけどな」

「あ、先輩照れてる」

「うるさい。それよりもう昼休み終わるぞ、早く教室戻りな」

「もうそんな時間ですか。それじゃあ先輩も翔也さんもまた後で」


 彼女はそう言うと、素早く弁当を片付けて教室から去っていった。


「後でって…放課後も来る気満々か」

「いいじゃん賑やかで」

「賑やかすぎるんだよなぁ」

「もう慣れるしかないな」


 苦笑する翔也を横目に、俺は結局今まで食べれてなかった菓子パンを口に運ぶ。

 二人の弁当を食べた後だからだろうか、口に入れた菓子パンは少し味気なく感じた。

「私のお弁当は食べれないって言うんですか?」がタイトルにしようか迷ったレベルで好き。


ナルシスト美少女の夕夏ちゃんを今後もよろしくお願いします


あと書きたいことを詰め込んだ結果会話の流れが不自然になったような気がするので、もしおかしな点があったら報告お願いします。

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