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2話 ロード中、ロード中


靂の頸ははねられた…………かと思われた。

瞬きの間の刹那。


靂の前に躍り出た群青の髪の少女が身丈程もあろう巨大な剣(クレイモア)を白い少女(怪物)に振りかざしていた。


「──ぁ」


一瞬だった。

振りかざした剣は胴体部分の心臓当たりに切り込み両断した。

切り口から、灰のように塵を撒き散らし、やがて其れも空気に溶け消えた。


「…大丈夫?」


手が差し伸べられた。後ろに光がさしてる訳でもないのに随分とその少女が眩しく見えた。


「う、うん…」


差し伸べられた手を取り立ち上がる。

群青の瞳はこちらを見据えて言った。


「君、まだ生まれたてでしょ?来たばっかりだったのに大変だったね。名前はなんて言うの?」


よく喋るやつである。しかし、()()()()()とはどう言うことだろうか。別に先ほどまで赤ん坊だった記憶はないのだが…


「…ぁ、阿求靂」


ぼそりと名を口にした。本当にこの名前であってる確信はないが、これ以外に名乗る名前はなかった。


「よろしくね!私は柊木(ひいらぎ) 悠希(ゆうき)この世界のこと、教えてあげるよ」


やけにお節介だった。…が、別に裏を考えているとかではなさそうだった。


「…随分と親切なんだね」


素直にそういうと、彼女は照れたようにはに噛んでいる。

少し可愛いとも思った。


歩きながら話すようで、行き先もなく、ただただゆっくりと時は流れていった。






「──なぁ……つまり俺たちってどういう存在なんだ?死者?ゾンビみたいな類なの?」


頭の中を整理しながら悠希に問う。

悠希は少し考えたようにして話した。


「…きっと定義なんてできないものなんだと思う。死者でも心綺楼でもなくて。ここにいたら、きっと何にでもなれるんだよ」


「……そういうものなんだ?」


分かったような分かってないような曖昧な返事をしながら、2人は歩いた。




※※※※


「…ふう、ついたついた」


どうやら目的地無しに歩いていた訳ではないらしい。

だが、靂は首を捻った。

何故ならそこはなにもない平地だったからだ。


「ぇ、えと、野宿…」


絶望したような、呆けたような顔をして聞くと、悠希は慌てて首を振った。


「チガウチガウ!そうじゃなくって説明したろ?私たちは心臓に埋め込まれた血晶で生きてる。供給される魔素(まそ)を身体を通して魔力(まりょく)に変換する。んで、私たちが必要最低限に生きるための魔域(まいき)が展開される。そーしーてっ」


今日話したことを振り返るように話して、平地に向かって大きく手を広げた。


「何を…」


言葉を発そうとして止まった。止めた。


「魔域の展開を広げて、一部に魔力を集結!想像すると共に創造するイメージで、圧縮させて!ていやー!」


そう叫ぶと共に、目の前には家が建っていた。余韻が残っているのかまだキラキラと魔素が当たりに散っていった。


「わぁ…」


短く感嘆していると、えへへ、と悠希は得意げに鼻を擦った。


「きっと、靂ももう直ぐできるようになるよ!」


「…そうかな?」


なんだかこんな凄いことができるのか不安になってきた…



──さ、入ろう!そう悠希は告げて2人は家に入った。




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