おもしろい小説を書く方法(証明付き)
おもしろい小説を書く方法。
まず、ある小説がおもしろいといえるための条件を満たすいくつかの項目を列挙する。
たとえば、トリックが一つ以上ある、でもいいとおもう。
仮にこの条件だけだとしよう。
トリックが一つ以上あればメタ小説(その小説についてのコメントを載せた小説)で、その小説がおもしろいことを証明でき、
トリックが一つもなければ、その小説がおもしろくないことを証明できる。
で、トリックが一つもない小説を書く。
つぎにその小説についてのメタ小説を書く。
そうすると、その小説にはトリックが一つもないのでおもしろくないのだが、仮に、トリックが一つもないことによりその小説がおもしろくないことを証明できることをトリックとみなしたならば、その小説はおもしろいことになる。
おもしろい小説の例A
A「この小説にはトリックが一つもない。それゆえに、この小説はおもしろくない」
この小説のなかに、トリックが一つもなく、それゆえに、おもしろくないならば、この小説はメタ小説によってその小説がおもしろくないことを証明するというトリックをもっており、おもしろいことになる。
この小説のなかに、トリックが一つあるとみなすと、最初の文が偽になる。最初の文が偽なので、この小説はおもしろいことになる。
そうすると、「どんな駄作でも、そのあとにこの小説はおもしろくないをつけるとおもしろい小説になる」という結論が一応得られる?
もっと簡単にすると。
だれでも、おもしろい小説を書ける方法。
なんでもいいので小説を書く。おもしろくなくてもかまわない。
つぎに、その小説の末尾に「この小説はおもしろくない」という文をつけくわえる。
そうすると、その小説がおもしろいばあい、おもしろい。
その小説がおもしろくない場合、おもしろくない小説に対しておもしろくないといっていることがおもしろい。
したがって、いずれにせよおもしろい小説になる。
いま、おもしろい小説の条件を「トリックが一つ以上あること」としましたが、実際にすべての「おもしろい小説であるための条件」を列挙した場合どうなるのか。
おそらく、メタ小説あるいは小説のあとに付け足す部分に、条件を満たすための文を挿入すればよいとおもいます。
いまトリックが一つ以上あるとおもしろいとしましたが、ほかにも、感情表現が豊かである。臨場感がある。読後感がさっぱりしている、等あるとおもいます。
その場合、おもしろくない小説の末尾におもしろい小説を書くということになるかもしれません。
あまり興味深い結論ではないですが、自己言及のパラドクスから思考した実験小説でした。