「ブロークンアロー」には至らぬが
核兵器の取り扱いは難しいです
核兵器に関する事故は、ブロークンアローと米軍部内で呼称されている。
よくある(あんまりあっても困るが)のは核兵器搭載の航空機の事故であるが、中には核兵器本体の信頼性に関しての問題もあるのである。
そのうちの1件が自衛隊に極秘に導入された、W54Jに関わる問題である。
これは本来ならより大きな臨界量が必要なカリフォルニウムを材料にしながらも、タンパ―などに新開発の技術を利用して、NATO弾サイズにまとめた、という優れものであるが、そのあたりに無理があり、一定以上の衝撃、急激な加熱に非常にセンシティブなものであることが判明したのである。
そもそも自発的核分裂しちまう代物を兵器利用するのだからやむを得ない特徴である。
さらに問題があったのは、弾頭のケーシングの寸法に規格外のものがあったことである。
これは幸いにも、還送され点検の際に発見された欠陥であり、すぐさま問題が起こる訳では無いものの、正規状態のものより「若干」強度が低く、より衝撃に弱いとの検査結果が出た。
そのため配備中のW54Jに対して改良型の「対衝撃型コンテナM54A1」に入れ換えるように米軍から、緊急技術通報が発行されることになった。
陸上自衛隊においても、事態を重要視して、ただちに、改良型コンテナを配置したのである。
これでとりあえず問題は解決したはずであった。
正しく取り扱えば、問題なく、ケーシングに不具合の有るものについては次回の定期検査で更新することが通知されていたからだ。
核兵器はまだ歴史が浅く、研究の余地が多い代物であります