日本共産党地下軍事委員会秘密会合
作戦に失敗した日本共産党の地下軍事委員会は都内某所で、今回の作戦を総括していた。
「同志諸君」
都内の薄暗い工場の一室である。
ここに、日本共産党の非合法部門の代表が集まって来ていた。
本来、各「細胞」が一ヵ所に集まるなど、組織防衛の観点からは望ましくないが、今回の作戦で多大な犠牲が出たために、善後策を至急たてねばならず、緊急に会合を持つことになったのだ。
「今回の作戦は想定外の事態により失敗に終わった。一番の原因は、せっかく手に入れた最強の武器を他国の同志に譲り渡し武器を得ようとした点である」
参加者の多くは内心、「?」と感じながらも、無表情に頷く。
何となく話の方向が見えたからだ。
赤提灯の屋台を開いていた例の軍事委員は、今回の作戦を指揮して、漁船に乗り組んでいたが、怪物に粉砕された漁船と運命を共にした。
「作戦を指導した軍事委員は委員会執行部に十分な調整もせずに独断で、行動を起こし、失敗した。」
なるほど、よくある「死人に口なし」だと、参加者は気づいたが、誰もが無表情に頷くだけだ。
死んだ軍事委員は戦前からコミンテルンの手先として有名な人物であったのだ。
だからこそ、ソ連海軍も新型潜水艦を投じてまで作戦に協力したのである。
「彼が引き起こした、分派行動のような振る舞いが、多くの革命的同志を死に追いやる悲劇を生んだのだ」
はい、はい。
参加者は今やすべてを理解した。
死んだ軍事委員にすべての責任を押し付け、「軍事委員会は何ら責任がない」と言いたい訳だ。
内心は馬鹿野郎と言いたいが、そうしなければ、現執行部の過ちを認めたことになるからだ。
「執行部としては指導が行き届かなかった点について、痛恨の極みだが、同志軍事委員も最後は英雄的行動を見せ、失敗を自らの命を持って償ったこともあり、責任問題に関する議論は終結したいと考えるが、異議のある同志はいるだろうか?」
誰もが沈黙する中、議長は「異議なくば、この問題についてはこれで終わりとする。今回、武器を入手するのに失敗したが、武器を手に入れる方法は他にもあるのだ。以前の人民船団方式を利用して、行うやり方と、米帝の手先の腐敗した一部を利用する方式である。」
参加者は、「懲りないなぁ」と内心感じているが、今や親ソ連派より、中共政権に親密な派閥が主導権を握りつつあるのが明白な今、下手な動きをして「分派行動」として切り捨てられたら困る、ため誰もが沈黙したのである。
死人に口なし。よくある話ですから




