7.一休みの休日。
前回よりは短い。というか、全体的に短いです。
気分が晴れないまま、その日のお茶会は終わった。その日からしばらく私は集中力を欠いた。それ故にリュート様は景気づけに私を近くの街に連れ出す。
「フローディア様は元気な方が好きですよ。」
「え?・・・どう?私と結婚したくなった?」
「何で、いきなりそんな話になったんでしょうね?つーか、それだけの軽口言えるなら、少しはマシになったろ?」
「うわぁ、口調が崩れるのも久しぶりに聞いたかもしれないわね!」
「確かに、ここ最近はフローディア様、ピリピリしてたからな。口調は中々崩れなかったかもな。そんだけ、悩んでいるならやっぱり、王家の者に伝えたらどう?」
リュート様が私の瞳を真っすぐに見つめて語る。真剣な表情だ。でも、それをきっかけに、リュート様を危険にさらしたくない。何でだろ。あの日は迷わずに進めたのに。”これから起きる事”が怖い。きっと、リュート様を失いたくないのだわ。そして、単純にビビっている。
「私、どうすればいいのかしらね。」
ポツリとリュート様の顔を見ずに呟く。リュート様はやれやれといった感じだ。
「俺はフローディア様のやる事に全面的に協力するさ。だから、その胸の内をさらけ出しちゃえば?」
それでも、真っすぐに見つめるリュート様に、私は思わず抱き着く。
「リュート様ー!!」
「・・・はいはい。後、様呼びするなって。どっちが主人なんだか分かんないだろ?」
そうは言いつつも優しく抱きしめ返してくれる。リュート様は優しい。
私たちは近くの喫茶店に入り、作戦会議を始めた。
「・・・多分、”襲撃事件”はすぐには起きないわ。おそらく、早くても1年後、遅くて2年後といった所かしら?」
「・・・何で、そんなに断定できるのか、俺には分かんねーけど。フローディア様が言うならそうなんだろ。」
「えぇ、深く追及してこないで助かるわ。計画を立てるのにも、それを実行するにもそれなりの時間がかかると思うの。」
そう言うと、リュート様は納得しつつもどこか疑問符を浮かべている気がする。流石に、6年間リュート様を見てきたからそれくらい、解るわ。多分、逆も然り。私が隠し事をしているくらいお見通しなんだろうな。でも、それを打ち明けるのは・・・もう少し後で。
「確かに、第四王子の誘拐事件も、第一王子の誕生日パーティーの準備に追われて、警備が薄くなっていた所を狙われたって話だったな?俺、流石に、5年くらい前の話は全然覚えていないし、逆に覚えていたらそいつ天才だろ。」
「・・・あー。そうね。私たち、赤子だったものね。」
「えー?その反応、覚えてんの?」
「まっさかー。」
確かに、覚えてはいる。でも、所々記憶が抜け落ちている。それは、言うべきではないの。だって、最終的にレオン様を誘拐したのは、私なんだから。
次の話は少し年月が経った話です。