69.俺の気持ちは揺らめいて。 Side リュート
前回の話、ブタ切り。
朝になって、林間学校も無事に終えた。でも、俺の気持ちは晴れないまま。フローディア様は、林間学校が始まる前は憂鬱そうであったが、終わりになると気持ちが大分軽くなったようだ。しかし、俺の心は、昨日レイスが言った言葉が突き刺さったままだ。
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「・・・じゃあ、フローディアが言っていたレオン王子って誰なんだろうね?」
レイスはそんなに意識して言った訳ではなかった。でも、俺にはその言葉が喉につっかえて、上手く飲み込めなかった。レオン王子は俺。でも、あの時、フローディア様は俺に向けて言っていたか?
「・・・?何、急に黙り込んじゃって。よく分からないけど、分からないなら“最果ての森”の“湖の乙女”に会いに行けばいい。願いを叶えてくれるんでしょ?満月の夜は近いから、すぐに事実が確かめられるよ。」
「“湖の乙女”・・・。」
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俺は屋敷に戻り、満月の夜を待った。そして、満月の夜になる日。俺は一人、“最果ての森”に赴く。フローディア様はどこかへ外出なさった日だった。
伝説上では“最果ての森”の奥地に湖があり、そこを加護しているのが“湖の乙女”。俺はそこを目指していった。湖の近くになると、緊張して足取りが重くなる。でも、俺は湖の乙女に会いに行かなくては。そうでもしない限り、俺の気が済まない。あぁ、でも、真実を知るのが怖い。
そんな考えが頭を蝕みながらも、湖付近までやってきていた。雲が月を隠している。だから、今とても暗い。しばらくしてから、やっと雲がはれて、満月が姿を現した瞬間、どこからともなく女の人の姿が見えた。俺は迷わず叫んでいた。
「湖の乙女!」
彼女は優しく微笑み、全てを見透かすかのように言葉を紡いだ。
『貴方は15年前の・・・。アルカディア王家の血をひく者・・・。ここに来たという事は貴方自身が真実を欲するという事ですね・・・。』
「それを何故・・・?」
俺の疑問を、簡単に見透かす湖の乙女。というか、15年前のって?俺、以前にここに来た事があったのだろうか?・・・否、来た事はないはずだ。けれども、湖の乙女が嘘を吐くとも思えない。多分、俺がレオン王子時代だった時に来たのだろう。レオン王子が誘拐されたその晩に。
クスリと笑う湖の乙女。やっぱり、俺はここに来た事があるんだな。そして、俺はレオン王子なのだと自覚させられる。
『貴方が欲する真実は手に入りましたか?・・・リュート様、否レオン王子と称されるお方。』
「やはり、俺はレオン王子なのですね!貴方にお会いした事があるようなそんな感覚に襲われるのです。湖の乙女。俺はどうして・・・。」
『貴方は悪事を働く者達によって置き去りにされたのです。そして、聡明なお方が貴方をお救いになったのです。そう、貴方は彼女をよく知っている。・・・そうでしょう?』
ドクン。思わず、目を見開いた。多分、フローディア様の事を言っている。そう思うと、胸が激しく鼓動する。あぁ、やはり、俺はフローディア様に救われた。でも、フローディア様はいつ誘拐される事を知ったのだ?だって、15年前はフローディア様だって、赤子だぞ?それについては、フローディア様だからなぁとも思わない事はないが。
「フローディア様は何故俺がレオン王子で、ここに置き去りにされる事を知ったのか教えていただきたい!湖の乙女の力なら、それくらい分かりますよね?」
『それが、貴方の願いですか?』
「はい!」
強く頷くと、彼女は快く応えてくれる。
『・・・それは、彼女は並行世界の貴方の行動を知っているからです。誘拐されて、悪事に手を染めた貴方の行動を。これまで知り得るはずのない情報を持っていたのはその為です。』
平行世界・・・。要するに、パラレルワールドとかそういう類だよな?そのパラレルワールドの俺の行動を知っているのは何故でしょうか?
『彼女は前世の記憶があり、前世では平行世界の貴方の行動を知り得る状態にありました。だからでしょうね。その記憶を基に赤子の頃から行動しているのです。』
前世の記憶?それって・・・?もしかして、悪事に手を染めた俺の被害を受けていたとか!?だから、俺を見張っているとか?いや・・・でも、それだったらす・・・俺に好きとか嘘でも言うのだろうか?俺はフローディア様の事が好きなのに。貴方は俺を一体どうしたいのですか?
ついに、終わりが見えてきましたよ!




