67.俺とレイスの秘密の会話。Side リュート
リュート視点に戻りました。
グループ行動が終わって、解散する時に、アリスさんはフローディア様に問うた。
「でも。何故私の事を応援してくれるの?」
フローディア様はそれはもう満面の笑みで答える。思わず、ドキッとしたくらいに。いや、高鳴るなよ。俺。いや、でもアリスさんがルディー先生の事を諦めないなら、俺も少しは頑張ってみようかな。・・・いや、それはダメだろ!
「それは、私が悪役令嬢だからよ!」
・・・?一同は唖然とする。いやいや、悪役令嬢は他人の恋路を応援はしないでしょう。何を言い出すんですか!?貴方はー・・・!
「そ、そうなんだ・・・。」
流石の、アリスさんも反応できなかったようである。しかし、フローディア様は続ける。
「・・・ここまで私が、来れたのも全てはレオン様のおかげ。レオン様の導きがあったから、私は、ここまでやってこれた。・・・だから、私は、レオン様の為に行動をするの。」
「・・・まるで、ここにいない人間の事を指しているように聞こえた。」
レイスはそう言うが、実際にはレオン王子は亡くなっているだろう?ここにいなくて、当然じゃないのか?フローディア様が天を仰いで、そう祈りを捧げるように言ったので、俺もレイスのように少しはそう思ったが、言葉にする事は出来なかった。
△△△△
夜になって、紳士寮のコテージで休んでいると、途中で喉が渇いたので、水分を取ろうと部屋を出て、水場を探すが、部屋を出た廊下にレイスの姿があった。ボーっと、外を眺めていた様子だったので、気になって声をかけた。
「・・・レイス?こんな夜に何してんだ?」
「リュート?・・・そっちこそ、何してんの?」
「俺は、喉が渇いたから、水を飲みにきたんだ。」
そう言うと、興味もなさそうに呟いた。
「あっそ。それにしても、アリスはルディー先生に告白しているのかな。・・・月って言えば、もうそろそろ満月だ。レオン王子が誘拐された日も、満月の夜だった・・・。」
「・・・?何で、そんな事が分かるんだ?」
月の光に照らされて、レイスは答える。
「フローディアに聞いた。レオン王子は満月の夜に誘拐されて、“最果ての森”に捨てられた・・・。そして、“湖の乙女”に加護を受けて、この世界で生きている。・・・ねぇ、リュート?いや、レオン王子?」
レイスの視線は真っすぐ俺を見ていたー・・・。は?俺が、レオン王子?意味がよく分からない。というか、理解が追いつかない。でも、フローディア様の事だろう。本当の・・・事だろう。じゃあ・・・俺は亡くなったとされるレオン王子なのか?俺は、勿論、生きている。じゃあ・・・俺が、レオン王子なら、レオン王子も生きている事に。
「レオン王子なら、フローディアと身分がつり合う。レオン王子としてだけど、リュートがフローディアと結ばれる未来だって、あるんだよ。何も障害はないんだよ。でも、今は結ばれてはいけない。最終的には、フローディアがレオン王子を誘拐した。その事実は変わらない。だから、フローディアは自分自身を悪役令嬢と言った。」
「それは、そういう意味で・・・。」
「でも、その後に言った言葉は、リュートに向けて言った訳ではなかったように聞こえた。じゃあさ、今まで誰がフローディアをあそこまで、突き進ませていったの?リュートの為?それは、勿論あると思う。でも、導いたって言葉に引っかかりを覚える。・・・リュートはそこまでの自覚、ある?」
「・・・寧ろ、俺がフローディア様に導かれ、ここまでやってこられた。しかし、俺がフローディア様を導いたかって言われると疑問符が浮かぶ。」
レイスは静かに言葉を紡ぐ。
「・・・じゃあ、フローディアが言っていたレオン王子って誰なんだろうね?」
その言葉は俺の心に、深く刺さり、蟠りとして胸を締め付けた。
この為に、レイスがいたと言っても過言はありません。




