5.第三王子との邂逅
フローディア様、絶叫回。
ぎゃあぁぁぁ!!!
最大の破滅フラグが来たぁぁぁ!!!ちなみに、ゲームの中での私・“フローディア・フランソワーズ”の婚約者の第三王子ジル様!!しかも、よく考えたら、この出会いって2人が婚約者になるイベントじゃない?
ここで、ジル様と婚約者の関係になったら、レオン様と結婚できないじゃない!ここは何としてでも阻止せねば!
「これはジル王子ではございませんか?私はフローディア・フランソワーズと申します。こちらは私のエスコート役のリュートですわ。今後ともよろしくお願いします。」
ドレスの裾を上げて、挨拶を交わす。失礼に当たらないかしら?ここで死亡フラグ立てても仕方ないもの。
ジル様はじっとこちらを見つめる。
あぁ、ジル様は正統派の王子様。その性格もお優しく、年頃の淑女は皆ジル様に夢中になってしまう。双子の弟のレオン様と違い、真面目で格好いい風貌。身長も高く、あぁ、これはモテるよなと思っていた。私もレオン様がいなければ、惚れていたかもしれない。けれども、私にはレオン様がいる。勿論、レオン様も格好いい!
だから、惚れません!お願いします。婚約者フラグ立てないで!!!神様!!!
「これは挨拶が遅れました。アルカディア王家第三王子のジルです。」
ジル様は笑顔を見せる。背景に薔薇の花が見える!キラキラしているわ!!私はジル様の笑顔の破壊力のあまりつい後ろによろけてしまう。
「きゃあぁぁぁ!!!」
後ろに倒れてしまう私をリュート様が支えてくださった。
「・・・大丈夫ですか?フローディア様。」
そう!ジル様の目の前で私が転んだ事により、私には大きな傷が残る。それを楯に取り、ジル様に一目惚れしたフローディアは婚約を迫るのだったわ!
ふぅ・・・。リュート様がいて正解だったわ!!いや・・・?リュート様とジル様との格差を見せつけてしまったのかしら?でも、リュート様はレオン様と気付いていないはずだし、大丈夫なはず。これで婚約者フラグはなくなったわ!
「(色んな意味で)助かったわ!ありがとう、リュート。」
「貴方は本当にそそっかしいんですから。」
「大丈夫ですか?」
ジル様にも声をかけられる。なので、私は笑顔で答える。
「ジル様、お心遣いありがとうございます。私は大丈夫ですわ。」
「そうですか。それはよかったです。」
ホッと安心した表情を浮かべるジル様。これであなたが責任を取る必要性はないんですよ。だから、私は一か八かの賭けに出る。
「ジル様、少々伺いたい事がございます。伺ってもよろしいでしょうか?」
ジル様は少しの間、無言になるが、笑顔を見せる。
「えぇ、いいですよ。」
「・・・では、レオン様の誘拐事件についてどう思われますか?」
「・・・!」
ジル様は拍子抜けな表情を浮かべる。まさか、レオン様の事を聞かれるとは思っていなかった様子。リュート様も少々驚く素振りを見せる。
「・・・それはどういう意図で聞いているのでしょうか?」
「単刀直入に申しますと、私レオン様の誘拐事件について調査していますの。その為に、本日のお茶会に、無理を言って参加しましたの。多くの情報を得る為に。でも、大した情報は得られませんでした。だから、王族である貴方に無礼を承知で・・・ね?・・・王族にとって、第四王子のレオン様がいなくなる事でどんなデメリットがあったのですか?」
会話多めの回。