46.我が主。 Side リュート
リュートの憂鬱。
我が主、フローディア様は実は人気が高い。私はともかく、同じく平民であるアリアさんやアリスさんと仲良くしている事が気に食わない貴族達がいる。それは何故か?
実は、フローディア様には裏で、ファンクラブがあるほど人気の高い人なのだ。フローディア様は、”孤高の淑女”と呼ばれ、崇め奉られている。それはもはや、宗教の域である。フローディア様はあまり自分を他の人にはあまりさらけ出さない人だと思われているし、実際近くにいる俺達だってフローディア様はどこか陰のある方だと思っている。
だが、実際は単純に友人が出来ない人なのである。正直、残念なところもあるし、どんな相手でも強硬姿勢を崩さない。やっぱり、素を晒さない人。心のどこかで、他人を信じきれない部分のある方だと思う。だから、自分をさらけ出さない。イメージは当たっている。
でも、俺は心の内を全てさらけ出してほしいと思ってしまう。それも、俺だけに。これは、独占欲なのだろう。フローディア様はお美しい。いつかは誰かがフローディア様を攫ってしまうのだろう。そう、思うのがとても辛い。辛いのなら、こんな気持ち捨てられたらいいと思う。しかし、それは出来ない。
俺は心の底から貴方をお慕いしています。だから、貴方が誰と結ばれてもどこまでも近くにいさせてください。
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俺は生徒会室に向かう途中で、”フローディア様ファンクラブ”の面々と予想される人達に出会った。水魔法を展開して、光の反射を利用して自身の姿を見せないようにした。どうやら密談している様子である。密談内容はフローディア様の見ていないところで、アリアさんやアリスさんを陥れようとする計画の話であった。
フローディア様は2人に今まで見た事ないようなくらい、より素の自分をさらけ出しているように見受けられる。確かに、今まで同性の友人はいなかったばかりに、面を喰らってしまうが、それも同性同士であるが故だと諦める半面もある。
そんなフローディア様の幸せを壊す輩がいるなら、俺は全力でそいつらを潰さなければならない。ましてや、敬愛している人物の顔を潰すなんて、ファンクラブにいる価値もないと思う。
はぁ・・・。これは、少し厄介な事になりそうだと思いつつも生徒会室に向かった。
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生徒会室に入ると、真っ先にアリアさんが挨拶してくれる。アリアさんは優しい方だ。この方がフローディア様の友人であるのは、フローディア様にとって、とても光栄な事であると思う。アリスさんもどこかフローディア様に似ていらっしゃる一面もあり、とても気が合うのだろう。2人ともフローディア様にとって必要な方だ。傷つける訳にもいかない。特に、アリアさんは魔法が使えない。俺が守ってあげないと。
生徒会長と目が合い、挨拶すると、声をかけられる。
「リュート、君には警備をしてもらえないか?」
一瞬、何の事か分からなかった。生徒会長はその瞳に何か強い意志を、俺に託していた。・・・ハルキ・コンフォート様。唯一、フローディア様の口調が崩れるくらいに、フローディア様が信頼なさっている方である。時頼、よく分からない異国の文字?みたいなので、文通されている。俺の一番の強敵。
しかし、ここで言っている意味が俺には分かった。この人も情報力が割と高い。きっと、アリアさんを守って、フローディア様の面目を保ってほしいとの事だろう。何故フローディア様に関する情報が早いのだろう?この人は、フローディア様が好き・・・とか?
でも、この人にはフローディア様に恋愛感情があるとは何故か思えなかったのだ。正直、どっちかって言うと、フローディア様に似ている感じがどことなくする。フローディア様とハルキ様。2人は一体、どういう関係性なのだろう?
実は、今のフローディア様は人気があるよって話。