4.お茶会の参加
今回はちょっと長め。
母の死から1年。
レオン様の誘拐を指示した貴族の正体はつかめていない。このままでは、フランソワーズ家の仕業となり、家族もろとも身分剥奪だわ!すっかりその事に気付いていなかったわ!これも破滅フラグ?
そして、あれから父親が私に優しくなった、というか、私を甘やかしてくるようになった。しかし、ここで、甘えてはならないわ。いえ?寧ろ、レオン様の誘拐事件について利用するべきかしら?
と、考えた結果、私は王族主催のお茶会に参加する事になった。今回の主催は第二王子である。ちなみに、第二王子とは3歳離れており、ヒロインの攻略対象から外れている。第三王子はレオン様と双子の兄弟である。その為、攻略対象に含まれる。
攻略対象の王子様枠に含まれるのは、第三王子のジル様、隠れキャラの第四王子レオン様、そして、こちらも隠れキャラの隣国の皇子リード・アズウェル様である。あとは、王子様という比喩的表現に含まれるキャラ達である。勿論、かなりのイケメン!
・・・話が逸れてしまいましたね。しかし、ここで、ジル様に会うのは少々気が引ける。自ら破滅フラグを立てにいくようではないか。だけど・・・。父様にエスコート役に、リュート様にしてくれるよう頼んだのは果たして吉と出るか凶と出るか。ここは運任せね!
そして、お茶会当日。
私は侍女達にみっちりメイクをされ、ドレスアップされた。前世、普通の女子高生だった私にはそれだけでとても疲れるが、本番はこれからよ!
気合いを入れると、私はリュート様の元へ向かう。
「リュート様!・・・いかがかしら?」
「・・・!これは・・・馬子にも衣裳ですかね?」
「えぇ!?せっかく綺麗にしてもらったのに・・・。」
「ふふっ。冗談です。とてもお綺麗ですよ?」
「もう、リュート様ったら!」
「ちなみに、お茶会では俺に様呼びするのはお止めください。俺もそれ相応の対応をさせて頂きますから。」
・・・それは・・・本来はリュート様、レオン様にしないといけない事なのに。リュート様、ごめんなさい。
申し訳なさを隠し、私たちは馬車に乗り込み、王城へ。王城に着くと、かなりの貴族達が呼ばれており、ここから犯人捜しをするのは大変だなと、肩を落とす。それを、リュート様は初めてのお茶会に緊張していると思ったのか、声をかけられる。
「・・・大丈夫ですよ。俺がいますからね。それに、誰だって初めては緊張します。俺だって、柄でもないですけど、緊張していますよ?」
「・・・(そうじゃないけど、)ありがとう。私を気遣ってくれたのね。」
リュート様の励ましに感謝!これで、やる気が出たわ!!
私は挨拶周りを一通り終えると、情報収集へとシフトする。私の家、フランソワーズ家の権力は結構強いらしく、フランソワーズ家の権力にあやかろうとする人達を軽くいなしつつ、レオン様誘拐事件について情報を探る。リュート様は首をかしげているが、これも破滅フラグ回避するためです!
少し疲れが出たのか、少々人混みに酔ってしまう。リュート様はそれにいち早く気が付いたのか、お茶会が開かれている王城の部屋から私を連れ出す。リュート様が連れてきたのは、王城にある庭園だった。
「・・・フローディア様。大丈夫ですか?初めてのお茶会に疲れが出てしまわれたようですね。」
「・・・そうね。あんなにも権力に群がる人物が出てくるとは思ってもみなかったわ。」
「それは・・・フランソワーズ家は公爵家ですからね。権力にあやかろうとする人物はそれなりに出てくるでしょう。それにしても、何故貴方はあんなにも第四王子のレオン様の誘拐事件について調べているのでしょう?」
・・・その言葉には何も答えられなかった。流石に、まだ情報が得られていない時点で言うのもどうかと思われるからだ。レオン様の誘拐事件には謎が多すぎる。誰が、レオン様を誘拐して得をするのかが分からないからである。レオン様は第四王子で、あまり王族でも注目されない人物と思う。こういう所に、設定の雑さが出てくるなとも感じてしまう。レオン様の憎悪を生む為だけに、この誘拐事件を起こした訳ではあるまいな?
そこに、がさりという音に気付いた私たち。振り返ってみると、第三王子のジル様がいた。